山下晃和さんが万能ギアを体感グラベルロードの遊び方に定義なし 「SHIMANO GRX」で自転車×キャンプツーリング

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 ますます熱を帯びる新ジャンル「グラベルロード」。汎用性に富んだアドベンチャースタイルは、従来ツーリングをメインとした層にも波及し、新たな可能性を広げている。旅サイクリストの山下晃和さんもその一人。シマノのグラベルアドベンチャーコンポーネンツ「SHIMANO GRX」を搭載したバイクで、自転車だからこそ可能な自転車×キャンプツーリングを満喫した。山下さんによる実走リポートをお届けします。

←<2>「野辺山グラベルチャレンジ」に初参加 シマノGRXで分かったグラベルの楽しみ方

自転車×キャンプツーリングをGRX搭載バイクで体感 Photo: Shusaku MATSUO

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“ツーリングの達人”として各地を旅するモデルの山下晃和さん Photo: Shusaku MATSUO

 ここ最近、キャンプブームとささやかれているが本当なのだろうか。アウトドア業界の人に話を聞くと、ここ5年間でキャンプ人口は右肩上がりだそうだ。また、ファミリーで行くキャンプだけでなく、ソロキャンプという一人で行くキャンプまで派生してきているあたり、すでに1つのレジャーとして確立してきたように思う。

機材の進化が流行をけん引

 しかしながら、移動手段は圧倒的にクルマが多く、モーターサイクルも少しずつ増えているが、自転車でのキャンプはそれほどでもない。とはいえ、自転車メーカーの展示会でもテントを構えていたところが多く、また流行に敏感なショップでも、自転車×キャンプを少しずつ広めている途上だ。

「プレイアトレ土浦」で荷をほどき、バイクへ装備を取り付ける Photo: Shusaku MATSUO
自走でキャンプ場「フォンテーヌの森」を目指す Photo: Shusaku MATSUO

 それは、従来の大きくて重かったキャンプ道具が、2000年代に火がついたスルーハイカー達(ロングトレイルを歩く登山フリーク)が生み出したウルトラライトと呼ばれる道具類が革新的に進化したことと、バイクパッキングといったパニアバッグの概念を覆す積載方法により、選ぶ幅が広がったからと言っても過言ではない。

オンロードも快適に走れるのがグラベルロードの特徴 Photo: Shusaku MATSUO
走り出してしばらくすると、うっそうとした森の中へ Photo: Shusaku MATSUO
未舗装路の入り口で小休止 Photo: Shusaku MATSUO

 今回は、晩秋のキャンプツーリング。自転車を輪行バッグに入れて、キャンプ道具を背負うとそれなりの重量になるが、持ち物を選べば、決して不可能ではない。海外ツーリングに行く時も段ボール梱包した自転車を電車にも飛行機にも輪行で運んでいたので、それに比べればかなりマシだ。

フロントシングルギアが変速のぎこちなさを解消した Photo: Shusaku MATSUO

 特に飛行機輪行はここ最近、羽田空港まで自走していくスタイルなのでもっと楽をしている。以前書いた飛行機で行く長崎キャンプツーリングなどは、その一例。公共交通機関と自転車を組み合わせれば、その日のうちにワープができ、テントを開けたジッパーの扉から、絶景と愛車を望むことができる。これは自転車キャンプツーリングだけの特権とも言える。

わき道へ逸れ、未舗装路を堪能

 今回は、キャンプ用品と愛車を電車に持ち込み、駅からキャンプ場を目指す輪行スタイルを決行。JR土浦駅から宿泊地の茨城県つくば市「フォンテーヌの森」を目指した。

 電車の輪行も慣れれば難しくない。おそらく、3回やれば15分以内でできるようになる。JR土浦駅は、プレイアトレ土浦があり、サイクリストにとって願ったり叶ったりの施設が整っているので、輪行の荷ほどきをするスペースも室内だ。ル・サイク土浦店とカフェの間にあり、全く寒くないのが幸せ。

絶好のグラベルロードに囲まれた「宍塚大池」 Photo: Shusaku MATSUO
優れたグリップのレバーが掴みやすく、高速走行時にも車体を安定させる Photo: Shusaku MATSUO
JR土浦駅から約7kmでキャンプ場「フォンテーヌの森」へ到着 Photo: Shusaku MATSUO

 JR土浦駅からフォンテーヌの森まではわずか7km。アクセスもかなり良い。気持ちが乗れば、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を快走するのも良し。今回は“ゆっくりするキャンプ”がメインなので、寄り道は宍塚大池と買い出しくらいだ。この宍塚大池は初めて訪れたが、ロケーションが最高に良くて、美しいダブルトラックのダートが国道からすぐに現れるだけでなく、奥へ走って行っても池沿いにグラベルが続くので、まさにグラベルロードバイクにふさわしいような楽園だ。

 今回の相棒でもあるトンプソンのグラベルロード「R9300」はアルミフレームにカーボンフォークになっていて、フレームのジオメトリーはどちらかというとロードバイクに近い。タイヤも35cとそれほど太くはない。その分、ロードでの走行スピードはかなり快適で、モーターサイクルの林道ツーリングに似た遊びができると思ったのだ。実際に、長崎では林道を見つけてはダートライドを楽しみながら、3日間で200km近い移動も難なく走破し、見たいところは全て寄る機動力を体感できた。

林の中で映えるグラベルロード。トンプソン「R9300」にシマノGRXを組み合わせた Photo: Shusaku MATSUO
リアディレーラー「RD-RX810」にはチェーン暴れや脱落を防止するスタビライザーが搭載 Photo: Shusaku MATSUO
やや外側に広がるレバー形状がフレアハンドルにマッチ Photo: Shusaku MATSUO

 ところが、完成車についていたシマノ105のギヤ比がキャンプ道具満載の車体で坂道を登りあげるにはなかなかハードで、何度か押し歩きをせざるえなかったので、専属メカニックに相談をし、GRXへのカスタムを導入することに決定。その後、一気に世界が変わったのである。

指をかけやすいレバー形状で、悪路でも確実にブレーキできる Photo: Shusaku MATSUO
フロントヘビーな車体でも、確実な制動力を発揮する油圧ディスクブレーキ Photo: Shusaku MATSUO

 僕の脚力が落ちたのが原因だと思っていた坂道もスルスル上れるようになった。105はフロントのギヤが50-34T、リアは11-30Tだったのに対して、GRXに変えてからはフロントが40T、リアが11-40Tに。最も軽いギア比で前後1:1となり、上りでも軽快にクランクを回せるようになったのである。フロントシングルになったので、ギヤチェンジでのぎこちなさもなくなった。

 ブレーキング時の制動力も上がっただけでなく、GRXのレバー「ST-RX810」が抜群に握りやすく、ブラケットの凹凸部が泥だらけのグローブでも滑らなくなったのも非常に快適だった。

 実は、日本初開催のグラベルイベント「グラインデューロ」に出場した際もこのグラベルロードで完走した。台風の影響のため、雨でドロドロになり、転倒している人もちらほら見かけた。自分はGRXの恩恵を受け、一度も転倒せず、むしろ転倒の気配さえなく走破できた。しかもキャリアと泥除け付きで。

自然に溶け込むアウトドアスタイル

 さて、キャンプに話を戻すと、キャンプ場に着くや否や、好みの場所を探すところから始まる。炊事場に近く、自転車を立てかけられる良い木があり、木漏れ日が入り込む雰囲気のあるサイトを見つけた。

ガスバーナーで湯を沸かし、遅めのランチ作りに取り掛かる Photo: Shusaku MATSUO
これだけの量を積載するポテンシャルが自転車にはある Photo: Shusaku MATSUO

 ここのキャンプ場のスタッフはとても親切なので、平日はいつも好きなところを選ばせてくれる。お気に入りのソロテントを設営して、昼ごはんにコトコトとパスタを茹でて食べ、辺りが暗くなる前に焚き火の準備。葉っぱや木っ端を作って、細い枝から太い薪に火を移し、徐々に火を育ていく。

木漏れ日が入り込むサイトでソロテントを設営 Photo: Shusaku MATSUO

 テント、チェア、自転車、さらに、自分の身体まで炎の光が、すべてをオレンジ色に包んでくれる。寒さがグッと増した森の中で暖を取る。さらに身体を温めるためにコーヒーを淹れる。静寂の中に、ガリガリとミルを挽く音だけ。贅沢な時間だ。

静寂の中で挽いたコーヒーを味わう Photo: Shusaku MATSUO

 自転車キャンプの楽しさは、大自然の中で寝られることが1番だが、自分の道具をどのように積載するか、また、どうやって快適にキャンプの時間を過ごすかの試行錯誤も面白い。多くを持ち運ぶと重くなるが、譲れないものもある。それは、調理器具、コーヒー、焚き火、読書、昼寝、重点を置くものは人それぞれ。GRXに替えてから、少しだけ多くの物を積んでも気にならなくなった。

 ルートやキャンプ場の想像をして、荷物を選定している時間は、まるでパズルを組み立てる時のよう。パズルが上手くハマった時の快感はたまらない。

キャンプシーンに溶け込むグラベルロード。楽しみ方に定義はない Photo: Shusaku MATSUO

 これから自転車×キャンプを楽しむ人が増えてほしいと願うばかりだ。自然の中に入り込んで、一番自然を壊さないのもまた自転車なのだから、クルマのキャンパーよりも、もっと胸を張っていいはずだ。

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 シマノGRXは、未舗装路走行に最適な機能を備え、今年登場したばかりの最新コンポーネントだ。凹凸のある道路を走行時、暴れる車体を確実に抑えられるレバー形状や、チェーンが上下して脱落を防止しつつ正確に変速するスタビライザーを備えたリアディレーラーなど、グラベルロードバイクに求められるスペックがふんだんに用いられている。

グラベルアドベンチャーコンポーネンツ「GRX」 ©SHIMANO
電動式(DI2)もラインアップしている ©SHIMANO

 スピードが必要とされるグラベルレースのみならず、幅広い用途もカバーしている。今回のキャンプツーリングのように、車体に荷物を積載し、重量が増した際でも、軽い力で制動する油圧ディスクブレーキを完備。電動コンポーネンツ(DI2)もラインアップしており、乗り手のストレスや疲労を軽減する。外側に広がったSTIレバー形状は、フレアハンドルとも相性が良い。フロントバッグを積載してもブレーキ、変速動作の邪魔にはならない。ツーリングシーンにも最適だ。

 さまざまなシーンやジャンルにマッチする、新たな可能性を秘めたコンポーネントである。

山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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