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栗村修の“輪”生相談<167>30代男性「グローブをしないプロロードレーサーが増えているのは何故でしょうか?」

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最近、レースを見ていると、プロロードレーサーたちでグローブをつけていない方々を散見します。10〜15年前と比べ、明らかに増えたように思います。

 近年、空気抵抗・空力の効率化が盛んに話題になっておりますが、そのようなことと、グローブの未装着は関係があるのでしょうか。

 個人的には、グリップや汗の処理といった観点からグローブは重宝しています。

 栗村さんのご見解をお教えいただければ幸いです。

(30代男性)

 おっと、面白いご質問ですね。ウェアについても広く扱ってきたつもりですが、グローブは扱っていませんでした。

 まず最初に申し上げたいのは、「グローブは必ずつけてください」ということです。ヘルメットと同じ保護具なのですから。

 僕は、グローブは少し不当に軽視されていると思います。手のけがは直接生命に危険を及ぼさないイメージがあるからかもしれませんが、経験のある方はお分かりのように、「手の平」の怪我は思った以上に様々なダメージを及ぼします。ハンドルを握りにくくなりますし、人間は常に手を使う生き物で、近年はスマホを四六時中触っているくらいですから、日常生活にも大変な制限がかかります。グローブ装着は、プロテクトという意味だけでも必須です。

 その上でレースを見ると、僕は近年グローブをしない選手が増えているという印象は持っていなかったのですが、おっしゃるように非着用者が結構目立つのも事実です。中には、装着してスタートした後に走りながら外す選手もいると思いますが、ともかく、つけていない選手は一定数いますよね。

 しかし、さすがに空力への影響はほぼないと思いますし、あってもわずかでしょう。つけていないのは、単にグローブが嫌いか他の理由があるからだと思います。

今年のさいたまクリテリウムのスタートライン Photo: Yuzuru SUNADA

 僕が現役の頃もグローブをつけない選手はいましたね。擁護するわけじゃないんですが、昔のグローブは革製だったので汗をかけば蒸れるし、乾燥すると硬く小さくなるし、おまけにクサいと、とても褒められたものじゃなかったんです。だから、グローブを外す選手の気持ちは分かりました。

 しかし今のグローブははるかに進化しています。軽いし通気性はいいし、フィット感もばっちり。つけることのメリットの方がはるかに大きいでしょう。

 一方、あえてつけない理由について考えてみると、以下が挙げられます。

・グローブ装着による不快感や痛み、ムレなど

・グローブ焼けが恥ずかしい(むしろカッコいいと感じるひともいる…)

・グローブを装着するとハンドルを握る際のグリップ力が向上するが、バーテープ素材の進化によりグローブなしでも滑りにくくなった。ただし、今もゴム素材のブラケットは、汗をかく夏などはグローブなしでは滑りやすい点は変わっていません

・グローブパッドの影響で握り心地が変わってしまうのが気に入らない

 グローブは不当に軽視されていると書きましたが、もう少し正確に申し上げると、僕はロードバイクの世界では「握る」という行為が軽んじられていると思うんです。手のサイズや形は千差万別なのに、ブラケットの形やサイズは基本一種類だけ。これはちょっと無理がありますよね。身長150㎝の女性と2mの大男が同じブラケットを使うんですよ。

 シューズにはたくさんサイズがあるし、インソールも選べます。ペダルにも色々あります。足はこんなに大事にされているのに、なぜ手は軽視されるのでしょうか。不思議です。

 本来であれば、ブラケットのサイズや形状にも種類があるべきですし、もっといえばブラケットとグローブのパッド形状がトータルで考えられていれば、更に握り心地は向上するはずです。

 ちょっと余談になりましたが、せめてグローブやバーテープにはこだわることをお勧めします。現役時代の僕なんて、ブラケットで上体を支えるダンシングを多用したせいか、ブラケットとの相性で成績が変わったくらいですから。

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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