ノミネート全車がディスクブレーキBiCYCLE CLUB主催「日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020」が発表 Cyclist松尾修作も選考委員に

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 バイシクルクラブが主催する「日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020」が発表された。審査にはCyclist編集部の松尾修作も選考委員として参加。2020年モデルを代表する10車種を、異なるバックボーンを持った9人の選考委員が選んだ最優秀バイクとは?

日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020の受賞車は? ©︎BICYCLE CLUB

 3回目の開催となった日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020。ことしは昨年にも増して多角的にノミネートされたバイクを評価するため、9人の選考委員が選出された。バイシクルクラブの岩田淳雄編集長、山口博久副編集長、シドニー五輪MTB日本代表の鈴木雷太氏、インプレライダーの管洋介氏、ハシケン(橋本謙司氏)、浅野真則氏、自転車ジャーナリストの難波賢二氏、自転車ウェブサイト「FRAME」ディレクターの田村明寛氏、そしてCyclist編集部の松尾修作が担当した。

©︎BICYCLE CLUB

 経歴が異なる選考委員が異なるため、さまざまな評価軸が存在する。しかし、好みのバイクを選ぶわけではない。テクノロジーや時代性、コストパフォーマンスなどを総合的に判断し、「『2020年を代表するモデルはこれだ!』がコンセプトとなっている」と選考委員長の岩田氏が表明していた。

 採点方法は、各選考委員の持ち点10をそれぞれ評価したいモデルに配点。いくつの車種に配点しても構わないが、1モデルへの配点は最大3までとなる。9人が入れた点の合算で、最高点を獲得したモデルが日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020となる。

 松尾の選考基準は以下の通り。

 「ノミネートされたバイクはすべてディスクブレーキ仕様となり、今現在のトレンドを反映する結果となった。制動力を司る機構だが、フレーム形状の自由度を向上させたことで、二次的にスペックを向上させたモデルも多く登場している。今回は速さだけでなく、プラスアルファの性能を持っているかを重視。全力で評価する」

 ノミネートされた10車種は、純レーシングバイクからエンデュランスバイク、軽量化を突き詰めたモデルなど多種多様。全車種がディスクブレーキを採用したモデルで、トレンドを反映させた仕様が出そろった。ノミネートされたバイクは下記の通り。

日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020ノミネートバイク

■BH「G8 DISC」
■キャノンデール「スーパーシックスエヴォ ハイモッド DISC」
■キャニオン「アルティメットCFエヴォDISC」
■コルナゴ「V3-RS」
■デローザ「メラク」
■オルベア「オルカM10i LTD-D」
■ピナレロ「ドグマF12 DISK」
■スペシャライズド「Sワークスルーベ」
■トレック「ドマーネSLR9」
■ウィリエール「ZERO SLR」

採点発表

 各選考委員が1日中コースを走り、点数を入れた配点がこちら。

選考委員の配点結果 ©︎BICYCLE CLUB

 採点の結果、全ての選考委員から票が集まったキャノンデールの「スーパーシックスエヴォハイモッドDISC」が日本バイシクル2020に輝いた。

日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020に輝いたキャノンデール「スーパーシックスエヴォハイモッドDISC」 ©︎BICYCLE CLUB

相反する性能を両立するのが今のトレンドだ

Cyclist編集部員の松尾修作 ©︎BICYCLE CLUB

Cyclist編集部・松尾修作:視点の違いで甲乙の付け方も変わる難しい選考となった。ディスクブレーキが標準化してきたことで、バイクに求められる基準が多様化したためだ。ひとつのスペックに特化しただけでは、いい評価はつけられない。そんななか、スーパーシックスエボはレースで求められる要素すべてを高いレベルで実現。ゼロSLRも軽量バイクの長所を伸ばし、短所を補う設計で驚かされた。コンフォート系のドマーネ、ルーベも独自の機構を組み合わせ、スピードを身につけている。相反するとされた性能を両立していることが2020年のトレンドと言える。

各ブランドの総合力が試された今回

岩田淳雄選考委員長(バイシクルクラブ編集長) ©︎BICYCLE CLUB

岩田淳雄選考委員長:「ザ・エアロバイク」が姿を消した今年の10ベスト。エアロダイナミクス向上は、もはやあたりまえのように各モデルで取り入れられている。ルーベとドマーネが快適性のための独自機構を売りにする以外は、飛び道具と言えるような新機構は見当たらない。そのためシンプルにブランドの総合力が問われる選考となったと思う。その圧倒的な存在感が魅力のドグマF12は、所有欲を激しくそそる。V3-RSのシンプルさ、ゼロSLRの官能的な乗り味も素晴らしい。しかしアルティメットCFエボの軽さは、それを上まわる魅力だった。

結果的にイタリアンバイクに得点が集まった

山口博久氏(バイシクルクラブ副編集長) ©︎BICYCLE CLUB

山口博久氏:ピナレロ・F12はエガン・ベルナルによってツール・ド・フランスを制したバイクとして、まさに2020年を象徴するレーシングバイクだ。さらに乗りやすいバイクという点を評価し、3点とした。また、トレック・ドマーネSLR9については、太めのタイヤを履けるレーシングバイクという、新しいジャンルである点を評価し、2点とした。トータルで日本のフィールドでは扱いやすい一台だといえる。このほかのバイクは甲乙をつけにくく、ほんのわずかな乗り味の差、好みにより1点ずつ配点した。結果的にイタリアンバイクに点数が集まってしまった。

メーカーの狙うポイントが同じになってきた

シドニー五輪MTB日本代表の鈴木雷太氏 ©︎BICYCLE CLUB

鈴木雷太氏:どのバイクも加速性能を残しつつ、快適性をしっかりとプラスして、かつエアロに振っているモデルが多かった。メーカーが狙っているポイントが同じになってきているのを感じた。ロードの基本性能である速さを体現できるモノ。速さといっても上りや下り、加速性能などいろいろとあるが、とにかく「速い」といえるバイクはどれだ!? といったポイントを掘り下げていき、扱いやすさと快適性のバランスをみて「オルカM10i LTD-D」「アルティメットCFエボディスク10.0LTD」「Sワークス ルーベ」の3台はとくに高得点となった。

デザインと性能の進化度合いとコンセプトに注目

インプレライダーの管洋介氏 ©︎BICYCLE CLUB

管洋介氏:全車種がディスクロードということでデザインや性能に大きな飛躍がみられるか、未来を予感させるコンセプトであるかという部分にも注目した。目を引いたのは油圧ディスク採用により可能になったハンドル付近のケーブル内装化。それによって美しいフレームのディテールを引き出したメラク。スーパーシックスエボはケーブル内装化で難しくなったステムの調整を新機構で解決した。そのなかでルーベの油圧ダンパーを採用したコラムサスペンション機構の精度の高さには脱帽した。ロードバイクの難しいコントロールを見事に解消し、未来を見据えた一台だ。

性能差では甲乙つけがたい時代になっている

インプレライダーのハシケン(橋本謙司氏) ©︎BICYCLE CLUB

ハシケン:性能差は極めて拮抗しており、それだけで甲乙つけ難い時代に入っているなかで、昨年のヴェンジに続きルーベに点を入れた事実は自身でも驚きを隠せない。剛性と快適性の相反する性能を高次元で実現しているルーベは先進性も高く、限られた票を入れる理由になった。また、スーパーシックスエボのバランスのよさも、最良の一台を選ぶ理由になる。最軽量のアルティメットCFもクライマー垂涎だ。このほか、オルカ、ゼロSLR、メラクなどの最新ディスクブレーキがもつソリッドなフィーリングが強い優等生バイクたちは2020モデルを牽引する存在だ。

高性能はもはやあたりまえ。別観点で差別化を

ライター浅野真則氏 ©︎BICYCLE CLUB

浅野真則氏:とくに心を揺さぶられたポイントのあるバイクに加点する方式で採点。「得点0=悪い」ではない。最高得点のオルカは、優れた走行性能に加え、アップチャージなしでカラーオーダーに対応するマイオーを導入する点を高く評価。走行性能ではスーパーシックスエボも印象的だった。アルティメットCFエボは、ディスクブレーキ仕様=重いという固定観念を打ち破った点を評価。ルーベはフューチャーショックに一定の評価はしつつ、欧米人に比べて絶対的パワーが低い傾向にある日本人には、重量増がネガティブな要素になると考えた。

トレンド感と「らしさ」を持つドグマとドマーネ

自転車ジャーナリストの難波賢二氏 ©︎BICYCLE CLUB

難波賢二氏:ブランドが持っている「らしさ」とはなんだろう。V3-RSやメラクのブレていない走りの「らしさ」はまさにそのもの。一方で「トレンド」はエアロ、快適さ、ディスクブレーキの、一歩先のフュージョンであり、「もうこれ一台でいいんじゃないの」感だと思う。その点、ルーベとスーパーシックスは猛烈に速くて快適だが、らしい走りかというとちょっと違う。ドグマとドマーネは両極端でアプローチも異なるが、結果として全部まとめ上げて「らしさ」も入っている。今年の一台と呼ぶにふさわしいバイクに仕上がっていると感じた。

万能度が高いバイクには高得点を付けた

「FRAME」ディレクターの田村明寛氏 ©︎BICYCLE CLUB

田村明寛氏:自転車に何を求めるか。僕は、自転車を使っていろいろな楽しさを体験したい。それが自転車に求めるものだ。ヒーヒー言いながら山に登って、最高の景色を見たい。追い風の中、平地を爆走して「あれっ自分って速いかも!?」という気分もたまには味わいたい。時には未舗装路を走って、自然と一体になるのもいいだろう。そしてできれば、それを一台の自転車で実現したい。自転車の楽しさは無限かもしれないが、お金や保管スペースは有限なのだ。そして、そんな万能バイクに僕は出合ってしまった。「万能度」が高いと感じたバイクには高得点を付けた。

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