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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<314>2020-2022シーズンのUCIワールドチーム“内定” 戦力アップのコフィディスが返り咲き

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 国際自転車競技連合(UCI)は10月24日、2020年から2022年までを対象にしたUCIワールドツアーライセンス資格取得チームを発表した。今シーズンまでの18チームに加えて、新たに、コフィディス ソリュシオンクレディが資格を確保。今後3年間は、全19チームがロードレースにおける最上位カテゴリーに就く見通しとなった。今回は、19チームの確認とともに、来季のUCIワールドツアー、そして同ライセンスを含めたレースシーンの将来像にも触れていきたい。

2020年から3年間のUCIワールドチームが発表。19チームが最上位カテゴリーで戦うことになる =ツール・ド・フランス2019第10ステージ、2019年7月15日 Photo: Yuzuru SUNADA

来季のライセンス申請の中からUCIワールドチームを先行発表

 2020年シーズンに向けた各チームのライセンス申請に関しては、男子の同ワールドチーム、同プロコンチネンタルチーム(来年からUCIプロチームに改称)、UCI女子ワールドツアーの3部門合わせて45チームが提出していることを、UCIが10月5日に発表していた。これらの流れから、まずは向こう3年間をトップカテゴリーで走る同ワールドチームを先行して公開した格好だ。

UCIワールドツアーライセンスは5つの分野が審査基準となる(写真はイメージ) =ツール・ド・フランス2019第16ステージ、2019年6月23日 Photo: Yuzuru SUNADA

 今回のUCIワールドツアーライセンスの資格取得チームの発表にあたっては、UCI規則2.15.011に沿って、UCIライセンス委員会による審査のもとチーム選定が行われた。審査基準となるのは、管理・倫理・財務・組織・スポーツの5分野。つまりは、チームとして経済面、運営面、スポーツマンシップ、アンチ・ドーピングといった面が整備されているかどうかが重要なポイントであるといえよう。

 その結果、2020年から3年間は以下の19チームが最上位カテゴリーにあたるUCIワールドツアーライセンス資格を取得する見通しとなった。

アージェードゥーゼール ラモンディアール
アスタナ プロチーム
バーレーン・メリダ
ボーラ・ハンスグローエ
CCCチーム
コフィディス ソリュシオンクレディ
ドゥクーニンク・クイックステップ
EFエデュケーションファースト
グルパマ・エフデジ
ロット・スーダル
ミッチェルトン・スコット
モビスター チーム
チーム ディメンションデータ(2020年からNTTプロサイクリング)
チーム イネオス
ユンボ・ヴィスマ
カチューシャ・アルペシン(2020年からはイスラエルサイクリングアカデミーによるチーム運営)
チーム サンウェブ
トレック・セガフレード
UAE・チーム エミレーツ

※チーム名はUCIの発表による

戦力充実のコフィディスがトップカテゴリー返り咲き

 UCIによる今回の発表では、「同ライセンス委員会による最終決定が下される」との文言も含まれていることから、例年11月から12月にかけて発表される上位カテゴリーの登録状況をもって正式決定となりそうだ。とはいえ、同ワールドチームについては、当初20チームが申請していたなかで19チームに絞られたところを見ると、これらチームが来季に向けて“内定”を得たと見てもよさそうだ。

 これまで18チームで構成されてきた同ワールドチームだが、そこに1チームが新たに加わることになる。それは、コフィディス ソリュシオンクレディ。フランス伝統のチームが、11年ぶりにトップカテゴリーに戻ってくることとなる。

コフィディス ソリュシオンクレディが11年ぶりにUCIワールドチーム返り咲き。写真はブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージを制したヘスス・エラダ =2019年8月29日 Photo: Yuzuru SUNADA

 今シーズンのコフィディスは、ヘスス・エラダ(スペイン)がブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージを制したほか、UCIヨーロッパツアーをメインに20勝。2020年に向けては、スプリント路線で絶対的エースとなるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を獲得したほか、グランツールの総合成績を狙える存在としてギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)が加わるなど、同ワールドツアーを戦うことを念頭に戦力を強化。ビッグレースをにぎわすことのできるだけの充実したチーム力が見込まれている。

ナイロ・キンタナが2020年に加入するアルケア・サムシックはUCIワールドチーム昇格ならず =ツール・ド・フランス2019第18ステージ、2019年7月25日 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、同ワールドチームへの申請を行いながら、それが認められない格好となったのが、アルケア・サムシックだ。ツール・ド・フランスの常連でもあり、ワレン・バルギル(フランス)が今年は個人総合10位。来年に向けてはナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が加わり、グランツールを中心に期待が高まっていたが、UCIによる審査基準には届かなかったようだ。

 なお、トップカテゴリー19チームに加えて、今季のUCIワールドランキングにおいて、同プロコンチネンタルチームの中では最上位の16位で終えたトタル・ディレクトエネルジーが、3つのグランツールを含む2020年のUCIワールドツアー全レースの出場権を確保。続く17位となったワンティ・グループゴベールが、同ワールドツアーのうち約20のワンデーレースで構成される「UCIクラシックシリーズ」の出場権を確保したことも発表された。これらについては、チーム状況に応じてレースごとに出欠を判断でき、欠場の場合はUCIプロチームに付与されるワイルドカードが1つ増えることになる。

将来を見据えた動きも着々

 今後3年間は19チームがUCIワールドツアーを走ることになるが、これはレースシーンの将来を見据えた第一歩であることを理解しておきたい。

 UCIの会長を務めるダヴィ・ラパルティアン氏は、2023年からは同ワールドチームを再び18に減らすことで各所が合意に達していることを明かしている。いわば、2020年から2022年は次の展開につながる3年間を意味し、この期間中に獲得したUCIポイントの最も少ないチームが下位カテゴリーに降格する可能性が高い。

 ただ、19チームすべてが3年間を何事もなく戦い続けられるかも不透明なのが、このスポーツの難しいところ。前述した5つの分野が1つでも崩れるようだと、チーム存続にもかかわる事態となりかねず、果たしてUCIや各チームの計画通り先々のシーズンを送ることができるかも注目していく必要があるだろう。

今週の爆走ライダー−シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAE・チーム エミレーツ)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシスト や逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 いま、イタリアきってのロードとトラックの兼任ライダー。ロードシーズンを終えて、もう1つの“本番”でもあるトラックでの活躍に向け動き出した。

エリア・ヴィヴィアーニ(先頭)とともに2度目の五輪出場を目指すシモーネ・コンソンニ(左から2人目)。ターゲットはマディソンでの金メダル獲得だ =UCIトラック世界選手権2016、2016年3月2日 Photo: Yuzuru SUNADA

 というのも、彼はロード、トラックとも世界のトップに君臨するヴィヴィアーニのレースパートナーなのである。マディソン(2人1組で戦うポイントレース)では、世界指折りのペア。東京五輪での金メダル獲得を目指してバンクを疾走する。

 来年に向けて、競技により集中できる環境として、ヴィヴィアーニとともにコフィディス入りを決めた。役割は明確で、ヴィヴィアーニの発射台。現チームではスプリントを任されることも多く、エースがどんな気持ちで走っているかを学ぶことができた。これからは、エーススプリンターを勝たせるべく、全力で尽くすことになる。

 次なるチームへの合流を前に、印象を聞かれると「赤いジャージはプロトン内でも印象的だった」といい、伝統あるチームの一員になることを喜ぶ。「何にチャレンジするかを自分自身で設定し、キャリアを進化させること」をテーマに設定したいとも。まずは、東京五輪がかかるトラック、そしてメインのロードともに成功を目指していく。

 尊敬する相手でもあり友人でもあるヴィヴィアーニとともに戦うことが多くなるはずだ。もっといえば、ヴィヴィアーニの浮沈を握る懐刀でもある。プレッシャーがのしかかるが、これも「自分自身で設定した新たなチャレンジ」。活躍した暁には、彼の名が世界中に轟き渡ることだろう。

2020年からはコフィディス ソリュシオンクレディで走る。トラックで培ったスピードを最大限生かす =ジロ・デ・イタリア2019第9ステージ、2019年5月19日 Photo: Yuzuru SUNADA
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」ではメディアオフィサーとして、チーム広報やメディア対応のコントロールなどを担当する。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

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