title banner

ロードバイク 2020モデルのトレンド<4>エンデュランスロードは百花繚乱 個性爆発中の注目カテゴリーに

by 安井行生 / Yukio YASUI
  • 一覧

 かつてビッグメーカーは、軽量で反応性を重視したコンペティティブロード、空力性能を重視したエアロロード、快適性重視のエンデュランスロード、という3本の柱を立ててロードバイクを売っていました。しかし現在は、「エアロ化が進むオールラウンドモデルからフレーム形状が似るワケを探る」の前編後編で説明したようにコンペティティブロードがその方向性を微変、太いタイヤを履くようになり、空力と快適性をも重視しはじめたことで、文字通りのオールラウンドロードに変貌しています。

 となると、3つのカテゴリーの境目がどんどん曖昧になってくるわけです。事実、某業界関係者は某メーカーの新型オールラウンドロードに試乗した際、「ここまで快適性が高いんならエンデュランスロード売れんくなるで…」とボヤいておられました。

今回のテーマはエンデュランスロードについて。写真はジャイアントのエンデュランスロード「DEFY ADVANCED PRO 0」 Photo: Kairi ISHIKAWA

エンデュランスロードの置かれた立場

 しかも、近年グラベルロードというカテゴリーが誕生し、アメリカを中心に一大ブームが巻き起こっています。それに呼応するようにグラベルロード自体も急激に進化、“グラベル”という単語からは想像できないほどキビキビ走るモデルも多くなっているようです。

近年、グラベルロードというカテゴリーが誕生。「gravel」は砂利を意味し、グラベルロードは未舗装路を走ることを前提とする。写真はメリダの「SILEX+ 8000-E」 Photo: Masahiro OSAWA

 するとエンデュランスロードの立場がなくなってくるんですね。「オールラウンドロードでも十分快適」。「グラベルロードだってよく走るし」。そうなってくる。快適性を上げたオールラウンドロードと運動性能を高めたグラベルロードの板挟み状態。現在のエンデュランスロードはなかなかツラい立場に立たされているわけです。

 しかしそんなエンデュランスロード、機材ライター的な視点でモノを見ると、非常に興味深いものがあります。連載第2回で「最近の万能ロードはどれも似てきた」と書きましたが、実は今、最も千差万別、多種多様、百花繚乱、個性爆発なのがエンデュランスロードというカテゴリーだからです。

設計思想が各社で異なるエンデュランスロード

 かつてのコンペティティブロードは、無駄のないチュービングで表面積を削り(=重量減)、高弾性糸を使いつつシンプル&軽量&高剛性にまとめるのがお決まりのパターンでした。現在のオールラウンドロードは、カムテール&ケーブル内蔵&インテグレーションが常套手段。エアロロードは、最初に空気がぶち当たるハンドルまわりの空力性能を重視しつつ(ハンドル~ステムの専用設計化、翼断面化、ワイヤー類のフル内蔵化)、各パーツを専用設計としつつ、全身カムテールにして剛性面でも重量面でもそつなく仕上げる。

 エアロロードやオールラウンドロードは、多くのメーカーが同じ方向を向いていると言えます。どちらも一つの「お約束」に収斂しつつあり、注目点は技術達成度の高低のみ。しかし、エンデュランスロードはここにきて設計思想が各社バラバラになってきているんです。

キャノンデールのオールラウンドモデル「SUPERSIX EVO HI-MOD DISC」。エアロロードの要素を多分に取り入れているのが特徴 Photo: Shusaku MATSUO
メリダのエアロロード「REACTO DISC 10K-E」 Photo: Masahiro OSAWA

 最もオーソドックスなものが、フォークやチェーンステーやシートステーなどを異形にして積極的にしならせるタイプ(①)。キャノンデールのシナプスやジャイアントのディファイがこれに当たります。単純化して考えるならば、路面の凹凸に対して動くのはフレーム末端とホイールだけということになるので、バネ下重量が軽くなるというメリットがあります。

キャノンデールのエンデュランスロードシナプス(2018年モデル)。シートチューブをわずかに湾曲させ振動吸収性の向上を図ったのが特徴 Photo: Shusaku MATSUO
振動吸収性とねじれ剛性を高めたステー部分 Photo: Shusaku MATSUO
ビアンキのエンデュランスロードの「INFINITO」。振動抑制技術のカウンターヴェイルを素材に導入。フレームの形状ではなく素材に技術を採用して乗り心地を向上 Photo: Masahiro OSAWA

 タイム各車やビアンキのカウンターヴェイルのように、素材そのものに振動処理能力を持たせるタイプも①の仲間とすべきですが、これはどちらかといえば一発目の衝撃を緩和するというより、振動の減衰や、特定の周波数を殺すことに重きを置いた設計でしょう。

 ①は前述のバネ下重量削減に加え、設計がシンプルになるため軽くできるという大きなメリットがありますが、快適性を高めれば動力伝達性が低下しやすい、というジレンマを抱えます。フレームをしならせて振動を吸収させようとすればするほど、剛性が低くなり、動力伝達性が犠牲になるからです。同じチューブで動力伝達と快適性の両方を確保するのは非常に難しいですから。構造的に“アッチを立てればコッチが立たず”状態に陥りやすいんです。

 また話が長くなってしまったので、エンデュランスロードの話は次回に続きます。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ロードバイク ロードバイク 2020モデルのトレンド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載