価値の提案が課題にe-BIKEはますます熱く 多種多様で奇抜なモデルも揃ったサイクルモード

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 「CYCLE MODE International 2019」(サイクルモード インターナショナル)では、今年も多数のe-BIKEが披露された。フルサスペンションタイプのe-MTBが増え、モデルの多様化が進み、e-BIKEへの関心が年々高まっていることがわかる展示会だった。e-BIKEの今を探るとともに、先々についても関係者に話を聞いてまわった。

今年もe-BIKEが多数登場。2018年のe-BIKE元年と比べてもメーカー・車種が大きく増えた Photo: Masahiro OSAWA

シマノは2年で11ブランド26車種に

 シマノは最上位モデルとなる「E8080」シリーズほか、今夏に発表した「E6180」「E5080」の2シリーズを搭載したe-BIKEを多数展示した。

 ブースには、ミヤタサイクルの「クルーズ 5080」、メリダの「リッジランナー 8080」ほか、ネストの「X-VALLEY E6180」などを展示。オンロード、オフロード問わず、幅広いシーンにe-BIKEが登場する世界観を表現していた。それができるのはシマノならでは。国内において、11ブランド、26車種に電動アシストユニットを提供しており(未発売も含む)、指折りの存在となっている。

 2017年9月に電動アシストユニットの国内展開を発表してから2年余り。多くのメーカー、ブランドが参画しており、ムーブメントを作り出すための準備は着々と進んでいるように見える。「E6180」「E5080」といった普及モデルも登場したことで、まだ先々も増えていく可能性は十分。1年後にどうなっているのか、注目しておきたい。

オンロードでもe-BIKEがごく普通にある世界を表現。写真はミヤタサイクルの「クルーズ」 Photo: Masahiro OSAWA
ミヤタサイクルの「リッジランナー8080」 Photo: Masahiro OSAWA
ネストの「X-VALLEY E6180」 Photo: Masahiro OSAWA

新ドライブユニットをアピールしたボッシュ

 ボッシュは電動アシストユニットを提供するトレック、コラテックなどのe-BIKEを展示した。注目されるのは、今年6月に発表のあったe-MTB向け新ドライブユニットの「Performance Line CX」(パフォーマンスラインCX)だ。前モデルより25%の軽量化、48%の小型化に成功。小型化が進んだことでチェーンステー長を短くできるなどフレーム設計の自由度も高めた。

 新パフォーマンスラインCXを採用した車種として、トレックの「Rail9.7」「Allant +」、コラテックの「X-vert」などが展示されていた。

新パフォーマンスラインCXを採用したトレックの「Rail9.7」 Photo: Masahiro OSAWA
パフォーマンスラインCXを採用した「Allant +」 Photo: Masahiro OSAWA
新パフォーマンスラインCX。前作よりユニットの重量を約1kgほど低減 Photo: Masahiro OSAWA

コンセプトモデルが面白いヤマハと参考カラーモデルを展示したパナソニック

 2013年のサイクルモードでe-BIKEを披露して以降、国内のe-BIKE市場をリードしてきたのがヤマハ発動機だ。同社の展示でひと際目を引いたのは、参考展示モデルの「YPJ-MTBフルサスコンセプト」だった。

 注目すべきは、フレームの形状。最新のe-MTBはダウンチューブにバッテリーを装着するタイプが増えているが、同社の場合は少し勝手が違う。ダウンチューブにバッテリーを取り付けることには変わりないが、ダウンチューブの中心部にバッテリーを備えるスペースを作り、そこへ嵌める形になっている。あくまで参考モデルということで、理由については明かせないという。

YPJ-MTBのフルサスコンセプトモデル。手前がフレーム、奥が完成車イメージ Photo: Masahiro OSAWA
バッテリーがダウンチューブに配されつつも他社とは少し違う仕組みだ Photo: Masahiro OSAWA

 このほか2020年に発売されるe-クロスバイクの「YPJ-EC」、オールマイティーモデルの「YPJ-TC」、e-MTBの「YPJ-XC」のニューカラーモデルも展示されていた。

 パナソニックサイクルテックのブースでは、今年3月に100台限定で販売されたフルサスe-MTBの「XM-D2」のシルバーカラーモデルを参考出品として展示。加えてMTBの聖地「白馬岩岳」で展開するMTBのレンタルサービスなどの取り組みなども紹介していた。

フルサスe-MTBの「XM-D2」のシルバーカラーモデルを参考出品 Photo: Masahiro OSAWA
e-MTBの「XM1」と街乗り仕様のe-BIKE「XU1」を展示しつつ、これまでの取組をパネルで紹介 Photo: Masahiro OSAWA

オフロードバイクからきたファンティック

 ファンティックをご存知だろうか。おそらく聞き覚えがない人が多数だろう。それもそのはず。ファンティックはオフロードバイク(オートバイ)メーカーだからだ。そんなメーカーがe-MTBを作ってしまった。「なぜ?」という疑問に担当者は「オフロードバイカーたちがダウンヒルライドの練習にe-MTBを使っていたから」だという。だったら…ということで出来上がったのがファンティックのe-MTBとなる。ドイツのブローゼの電動アシストユニットを使用しているのも、特徴として挙げられるだろう。

トレイルバイクの「XF1 INTEGRA 150 TRAIL」 Photo: Masahiro OSAWA
アーバンタイプのe-BIKE「LIVING」 Photo: Masahiro OSAWA

ベネリとバーファン

 創業100周年を機にe-BIKE事業に乗り出したイタリアンブランドがベネリだ。

ベネリの「mini Fold 16 Classic」 Photo: Masahiro OSAWA

 2015年に日本国内市場にe-MTBを投入。今ではMTBよりも市場が大きいフォールディングタイプのe-BIKEに力を入れ市場展開を図っているという。この日展示されていた「mini Fold 16 Classic」を初め、ベネリブランドの電動アシストユニットは中国のBafang(バーファン)のものを使用。漕ぎ出しの軽さなど、ドライブユニットに関して柔軟に応じてくれるバーファンと手を組んだという。

 そのバーファンも、バーファンのシステムを採用したデ・ローザの参考モデルやミニバイクのような奇抜なルックスが印象的なROCKA FALMEのe-BIKE「FUMA」などを展示していた。ROCKA FLAMEは「おしゃれに未来を駆け抜けろ」をブランドコンセプトとしており、そこから作りたいものを作った結果として遊び心に溢れたモデルが誕生したようだ。

バーファンのシステムを採用したROCKA FLAMEの、オートバイのようなe-BIKE「FUMA」 Photo: Masahiro OSAWA

BESV

 e-BIKE専門メーカーのBESV(ベスビー)も今夏発表した新モデルを中心に展示。折り畳みタイプの小径車「PSF1」、e-MTBの「TRS2 XC」と「TRS2 AM」などを紹介していた。

ベスビー初のフォールディングモデルとなる「PSF1」 Photo: Masahiro OSAWA
シマノ「STEPS E8080」を搭載したe-MTB「TRS2 AM」 Photo: Masahiro OSAWA

これからのe-BIKE

 e-BIKE元年と称された2018年は、クロスバイク、MTBなどをベースにしたe-BIKEが多数登場。2019年は2020年モデルとして多数のフルサスe-MTBが発表された。メーカーは多種多様な選択肢を用意しており、丁寧に情報を集めないと追いきれなくなるほどに一気に多様化した。

 対して、まだ手付かずともいえる、e-ROAD(ロードバイクのe-BIKE)について、来年の登場を予想する関係者が複数いたのも印象的だった。ロードバイクの軽量性を損なわないために、バッテリー容量を減らし、軽量化を図ったモデルなら受け入れられるのでは?といった見方もあった。いずれにせよ、e-ROADが出始めるならば、選ぶ側にとってはさらに選択肢が増えるような状況となる。

 ただその一方で、選択肢の増加が購買につながるかは未知数だ。現段階は買い手が誰なのか、誰に響くのか、という視点から業界各社は模索しているだけとも言える。ターゲットを探るばかりではなく、e-BIKEを通じた価値の提案が受け入れられてこそ、実を結ぶと見る関係者もいる。そうした意見を踏まると、これから先は新車種の登場だけに期待を寄せるのでは足りない。e-BIKEの価値をいかにして伝えるか、伝わるか、という観点から各社の施策にも注目していきたいところだ。

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