例年以上の盛り上がりにファンは歓喜、時に絶叫 「さいたまクリテリウム」で熱気に包まれたさいたま新都心の一日

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 世界のトッププロが集うレースイベントの「2019ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」が10月27日にさいたま市内で開催された。ツール・ド・フランス2019の覇者、エガン・ベルナル(チーム イネオス)ほか、かつての王者クリストファー・フルーム(チーム イネオス)ら多数のスター選手が集結。トッププロの走る姿にファンは歓喜し、クリテリウムメインレースに勝利した新城幸也(バーレーン・メリダ)の走りに絶叫した。さいたまが沸き、熱気に包まれた。

クリテリウムメインレーススタート前の様子 Photo: Masahiro OSAWA

新城幸也がメインレースで初勝利

 さいたまクリテリウムは「ツール・ド・フランス」の名を冠したレースイベント。さいたま新都心駅周辺に周回コースが設定され、今年で7回目の開催を迎えた。

 今大会ではレースイベントが例年以上に盛り上がった。各チーム1人がエントリーし、予選を勝ち抜いた4人で競うスプリントレースでは、黒枝咲哉(シマノレーシング)が勝利、1チーム3人で3.1kmのコースの最速タイムを競うチームタイムトライアルレースでもシマノレーシングが勝利した。

スプリントレースに勝利した黒枝咲哉(シマノレーシング) Photo: Masahiro OSAWA

■チームタイムトライアルリザルト
1.シマノレーシング
2.宇都宮ブリッツェン
3.マトリックスパワータグ

■スプリントレースリザルト
1.黒枝咲哉(シマノレーシング)
2.沢田 桂太郎(チームブリヂストンサイクリング)
3.ミカル・クウィアトコウスキー(チーム イネオス)

 ファンが絶叫したのは1周約3.5kmのコースを17周回、総距離59.5kmで争われるクリテリウムメインレースだった。周回を重ねながら、ロマン・バルデ(アージェードゥーゼール ラモンディアール)が坂道の上に設定された山岳ポイントを、マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)がポイント賞をとってファンを沸かせた。

 最後は、新城幸也がゴール手前の上り坂でアタックをかけて勝利。ゴールとともに歓喜とざわめき、絶叫が聞こえ、その声が観ているこちらの気持ちも大きく盛り上げてくれた。10月の夕暮れにひとり家にいるくらいなら、絶対に来たほうがいいと断言できる高揚感がそこにはあった。

先頭ゴールした新城幸也(バーレーン・メリダ) Photo: Masahiro OSAWA

■クリテリウムメインレースリザルト
1.新城 幸也(バーレーン・メリダ)
2.エガン・ベルナル(チーム イネオス)
3.プリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・ヴィスマ)

さいたまクリテリウムの空気感

 レースイベントなのだから、誰が勝った、負けたと述べるのもいいのだが、さいたまクリテリウムのいいところは「場の空気感」だ。ツール・ド・フランス中継からは見えない、選手たちのリラックスした表情や動きがそこにはある。サインを求めれば数多くの選手がサインに応じ、レース後のハイタッチを求めればハイタッチしてくれる。テレビのなかの偉人たちが、自分の目の前に現れれば、誰でも気分は高まるはずだ。

ハイタッチをするベルナルとログリッチェの背後にはいかにも日本的な家屋。この光景にテンションが上がってしまう。筆者が通っていた学校から数百メートルの場所なのだが、自転車少年だった当時、この地をマイヨ・ジョーヌが駆け巡ることなど想像さえできなかった。それを思うと胸が熱い Photo: Masahiro OSAWA

 そして、個人的に毎年期待しているのが、選手の体つき観察である。ジャパンカップでもワールドクラスの選手がくるものの、体つきを観察するのは、平坦なコースのさいたまクリテリウムのほうが適している。

 元プロロードレーサーの宮澤崇史さんが「体つきは重要です」と教えてくれたことがある。世界トップレベルの選手の体幹は寸胴型であり、ものすごく太い幹のようになっていると話してくれた。そのことを目視で確認できるのが、日本ではこの大会のみであり、それだけを観にくるだけでも価値があると思えてならない。今年もまた、体幹ウォッチャーとしては、「あぁ、やっぱり違うな」と痛感させられたわけだ。

ログリッチェの体幹をチェック Photo: Masahiro OSAWA
お腹が出ているように見えるのはすべて筋肉のはず Photo: Masahiro OSAWA

 ちなみに、スプリントレースで勝利した黒枝咲哉に関しては、ちょっとしたストーリーがある。今から遡ること1カ月ほど前。さいたまクリテリウム出場選手発表会後に腹ごしらえしようと入ったファミリーレストランでのこと。

 そこにはロード全日本チャンピオンの入部正太朗(シマノレーシング)がたまたまいた。もちろん発表会に入部選手がいたからなのであるが、その際、「さいたまクリテどうですか?」という問いかけに対して「スプリントレースで黒枝がやってくれると思う」と入部選手が予言していたのだ。その予言は見事的中。黒枝が優勝した瞬間にロイヤルホストの鉄板(おそらくハンバーグ)を思い出したのは筆者だけだと自負できる。

ゆったり派におススメのさいたまスーパーアリーナ

 屋外ばかりではない。今大会で会場として3年ぶりに復活した「さいたまスーパーアリーナ」も熱気に包まれていた。さいたまスーパーアリーナはコースの一部に組み込まれて、選手が通過することになっており、アリーナに設けられた席からクリテリウム観戦ができる。アリーナ内にはオフィシャルサポーターズのためのヴィレッジが設けられ、さいたま地元グルメやクラフトビールを味わえたりもする(有料)。そればかりではなく、アリーナには、チームピットが設置されており、走りゆく選手の姿を観るだけではなく、くつろぐ様子も見えたりと、ワイルド派ではなくゆったり派の観戦によさそうだった。

さいたまスーパーアリーナ内の観戦エリア Photo: Masahiro OSAWA
オフィシャルサポーターズヴィレッジ Photo: Masahiro OSAWA
さいたま市初の地ビールになるという「氷川の杜」のビール Photo: Masahiro OSAWA

サイクルフェスタにも行ってみた

 多数イベントが開催され、飲食や物販も行われるサイクルフェスタにも足を伸ばしてみた。こちらもまた盛況。長蛇の列が出来上がった先には、無料でサコッシュを配布する「ポタガール」のみなさんがいたり、2020年さいたま市に誕生するプロロードレースチーム「さいたまディレーブ」がPRしていたり、e-BIKEの団体「e-Mobility協会」がe-BIKEの試乗会をやっていたりした。

ポタガールのみなさんが配布していたオリジナルサコッシュ Photo: Masahiro OSAWA
e-BIKEの団体「e-Mobility協会」ではe-BIKEの試乗会を実施 Photo: Masahiro OSAWA
物販ではバレットがバックルで着脱するセパレートタイプのレーサーパンツを販売していた Photo: Masahiro OSAWA
左写真のレーサーパンツにはサイドポケットもあり何かと便利そう Photo: Masahiro OSAWA

 隣のエリアの「キッズロア」ではキッズたちが自転車をこぎまくっていた。何回も同じコースを回り続け、「そんなに楽しいか?」と聞きたくなるほどの無心さである。

無心に漕ぎ続けるキッズの姿に感動してしまう Photo: Masahiro OSAWA

 思い返せば、そこから遡ること数時間前。早朝から盛り上がっていた集団を発見して「自転車レースって何が楽しいんですか?」と筆者は聞いていた。そのうち一人の20代ギャルが「はぁー? 何言っちゃってんの? 草生えるーwww」と反応してくれた。自転車が仕事なのに、何てことを聞いてくるのだと。「好きだけど、あなたの熱量には敵わない」というのが筆者の本音なのだが、ギャル氏は「まぢ、草生えるー」と大量に草を生やしながらいろいろと説明してくれた。

 細かくは記さないが、頭で理解はできつつも、感謝しつつも、わかったようなわからないようなというような結論に…。けれども今、無心に漕ぐ子供の姿を思い出すと、理解することがすべてじゃないかも、と思えてくる。楽しむ感覚は人それぞれ。それ以上でも以下でもないのかもしれない。

 そんなことを考えつつ、朝から晩までひっきりなしにあった、様々な出会いと発見。こんなことは、日常生活ではなかなかない。とってもフレッシュな感覚だ。気分上々、要はサイコーである、だからこそ改めて、かのギャル氏に再び会うことがあったら言いたい。「自転車レース、超サイコー」と。

SNSで主に関東近郊から集まったというグループ。大量に草生やしてくれたギャル氏、楽しかったです Photo: Masahiro OSAWA

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2019ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム

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