海外強豪選手と迎え撃つ国内勢の走りにも注目豪華メンバーが集結したジャパンカップサイクルロードレース2019をプレビュー

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 アジア最上位カテゴリーのワンデーレースであるジャパンカップサイクルロードレースが、10月20日に栃木県宇都宮市の森林公園周回コースにて開催される。先日の台風19号による土砂災害に見舞われたが、復旧作業が進められ、予定どおり開催する運びとなった。昨年と同様のコースでレースは行われる。今回はレースの展望と有力選手についてプレビューしていく。

宇都宮市・森林公園周回コースで開催されるジャパンカップサイクルロードレース。古賀志林道には多くのファンが沿道で観戦する Photo: Yuzuru SUNADA

勝負どころは古賀志林道の上り

 ジャパンカップは1990年に開催された世界選手権で使用したコースをもとに、1992年に創設。今年で28回目の開催となる。

勝負どころとなる古賀志林道。写真は2016年にこの場所でアタックを決め、独走勝利を飾ったダヴィデ・ヴィレッラ Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは1周10.3kmの森林公園周回コースを14周して行われる。最大の特徴は、なんといっても古賀志林道のつづら折りの上りだろう。距離にして1.15km、平均勾配8%の上りとなっていて、例年のレース展開としては終盤に古賀志林道でのアタックを皮切りに、絞り込まれた小集団によるスプリント勝負、もしくは独走に持ち込んで逃げ切りが決まることが多い。

 他にも古賀志林道の山頂からのテクニカルなダウンヒル、田野町交差点から森林公園に至る上り区間など、アタックポイントも豊富。1周の標高差は185mに達する難コースである。

 また、古賀志林道の頂上には3、6、9、12周目に山岳ポイントが設定される。それぞれ先頭通過を果たした選手が表彰対象となる。

イル・ロンバルディア覇者が参戦

 トレック・セガフレードからは、モニュメント(5大ワンデーレース)のひとつであるイル・ロンバルディアを制したバウケ・モレマ(オランダ)が参戦。10月に出場した5つのワンデーレースで、4回一桁順位ととても好調で、2015年以来2度目の優勝を狙うだろう。

自身初のモニュメント制覇となるイル・ロンバルディア優勝を飾ったバウケ・モレマ Photo: Yuzuru SUNADA
ツール・ド・フランスで2日間マイヨジョーヌを着用したジューリオ・チッコーネ Photo: Yuzuru SUNADA

 さらに、チームメイトのジューリオ・チッコーネ(イタリア)はジロ・デ・イタリアでステージ1勝、ツール・ド・フランスで2日間マイヨジョーヌを着用する活躍を見せた選手。モレマとの2枚看板で、別府史之らのアシストを受けて戦う。

 ユンボ・ヴィスマはツール総合3位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ)が初出場。そして、ブエルタ・ア・エスパーニャでプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)の総合優勝を支えたロベルト・ヘーシンク(オランダ)、セップ・クス(アメリカ)、ニールソン・ポーレス(アメリカ)、レナード・ホフステッド(オランダ)、さらに3年連続出場となるジャパンカップを熟知したクーン・ボウマン(オランダ)と凄まじいほど強力なメンバーが揃っている。誰でも勝利が狙える布陣といえそうだ。

昨年に引き続きの参戦となるロベルト・ヘーシンク Photo: Yuzuru SUNADA
ブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージで勝利したセップ・クス Photo: Yuzuru SUNADA

 バーレーン・メリダは、ソンニ・コルブレッリ(イタリア)が注目選手のひとりだ。古賀志林道の上りは、破壊力があるといっても距離は1.15kmで、トッププロなら3分弱で走り抜ける。いわゆる上れるスプリンターにとって、ギリギリ耐えられるか耐えられないかといった強度の上りであり、上れるスプリンターとして数々のワンデーレースを制してきたコルブレッリ向きのコースともいえるのだ。

 ほかにもクライマーのダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、ヘルマン・ペルシュタイナー(オーストリア)、そして2015年に3位に入った新城幸也ら勝利を狙える選手が豊富に揃っており、屈指の戦力を誇るチームであるといえよう。

ダミアーノ・カルーゾは2012年以来3度目の出場で、2011年に7位に入ったことも Photo: Yuzuru SUNADA
ミラノ〜トリノで勝利したマイケル・ウッズ Photo: Yuzuru SUNADA

 EFエデュケーションファーストはマイケル・ウッズ(カナダ)が初出場。10月5日のジロ・デッレミリアは2位、10月9日のミラノ〜トリノでは、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)とのスプリント勝負を制して優勝を飾った。さらにイル・ロンバルディアでも5位に入るなど、モレマに負けず劣らず好調な選手である。特に短い上りでの爆発力は世界トップクラスであり、古賀志林道でのアタックに期待がかかる。

 ミッチェルトン・スコットは怪我やコンディション不良による欠場が相次ぎ、4人での参戦となるが、昨年8位に入ったロバート・スタナード(オーストラリア)、2008年のツアー・オブ・ジャパンで総合優勝を飾ったキャメロン・マイヤー(オーストラリア)といった日本と相性の良い選手を中心に優勝争いに絡む可能性は十分にありそうだ。

NIPPOはラストレース

 NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネは、2017年にクリテリウムと本戦で連勝を飾ったマルコ・カノラ(イタリア)、昨年のアジア人最優秀選手賞を獲得した中根英登、オリンピック選考ランキングでそれぞれ3位・4位につけている石上優大と伊藤雅和、ジロ・デ・イタリアで度々逃げに乗った初山翔、ツアー・オブ・ジャパンで山岳賞、ツール・ド・北海道で総合優勝を飾ったフィリッポ・ザッカンティと、充実した戦力を誇る。

2017年、豪雨のジャパンカップを制したマルコ・カノラ Photo: Yuzuru SUNADA
2018年アジア最優秀選手賞を獲得した中根英登 Photo: Yuzuru SUNADA

 初出場のデルコ・マルセイユ プロヴァンスは、トレーニー2人を含む若手主体のメンバー構成だ。2017年までNIPPOに所属していたイウリ・フィロージ(イタリア)に期待が集まる。

 同じく初出場のワロニー・ブリュッセルも、トレーニー2人を含む若手主体の構成。なかでもバティスト・プランカールト(ベルギー)に注目したい。パンチャー的な脚質の持ち主なので、勝負のかかった古賀志林道での有力勢の加速についていくことができれば、優勝も狙えるかもしれない。

ツール・ド・ポローニュでは逃げで存在感を見せ、総合敢闘賞ジャージを着用したシャルル・プラネ Photo : STIEHL / SUNADA

 6度目の出場となるチーム ノボノルディスクは、2017、2018年とチーム最上位でフィニッシュしたシャルル・プラネ(フランス)と、2度のハンガリー王者の経験を持つベテランのペートル・クストルを中心に戦うものと思われる。

 残念ながら雨澤毅明が欠場となったリュブリャナ・グスト・サンティックだが、大雨の2017年大会で7位に入ったベンジャミン・ヒル(オーストラリア)がエースを担うと思われる。他にも2017年ツール・ド・とちぎで総合優勝、今年のツアー・オブ・ジャパン いなべステージで勝利するなど、日本のレースとの相性がとても良い。

 マレーシア籍チームのチーム サプラ サイクリングでは、来シーズンはチームNTT(現ディメンションデータ)への移籍が決まっているベンジャミン・ダイボール(オーストラリア)に注目だ。ツール・ド・ランカウイ総合優勝、ツアー・オブ・チンハイレイク総合3位などの実績を持ち、クライマーとして高い登坂力を持つ。さらにツール・ド・とちぎのプロローグでは、3kmタイムトライアルで勝利しており、短時間の高出力も得意であるため、本大会でも優勝戦線に絡める実力の持ち主だといえよう。

昨年に続きブリッツェンの戦略に注目

 地元・宇都宮ブリッツェンは、オリンピック選考ランキング1位の増田成幸での上位進出を狙ってくるだろう。昨年は並み居る強豪チームを抑えて、集団コントロールを担う大胆な戦略を披露したが、今年はどんな作戦を用いるのか注目だ。

オリンピック代表選考で、現在1位につけている増田成幸 Photo: Yuzuru SUNADA

 マトリックスパワータグは、今季のUCI公認レースで世界4位タイとなる12勝を飾ったオールイス・アウラール(ベネズエラ)に注目だ。Jプロツアーでも6勝をあげ、総合優勝を果たすなど、日本のレースとの相性も抜群。ワールドクラスの登坂力に食らいつくことができれば、優勝も決して夢ではない。

 シマノレーシングは全日本王者の入部正太朗をはじめ、同じく全日本選手権4位の湊諒、同20位の木村圭佑、2017年U23日本王者の横山航太という、ほぼベストメンバーの布陣で挑む。

 チームUKYOは2015年8位、2016年7位、2017年2位、2018年14位と安定した成績を残しているベンジャミ・プラデス(スペイン)を中心に戦う。全日本選手権3位に入った横塚浩平は、2017年のジャパンカップオープンレースを制している。

2017年に2位に入ったベンジャミ・プラデス Photo : Yuzuru SUNADA
ジロ・デッレミリアに出場した小林海 Photo: Yuzuru SUNADA

 チーム ブリヂストンサイクリングは、ツアー・オブ・ジャパンでアジア人最上位となる総合7位で完走した石橋学で上位進出を狙う。キナンサイクリングチームは、別働隊が海外遠征中のため日本人選手主体の構成で挑む。那須ブラーゼンは、地元の声援を受けて逃げで存在感を見せたいところ。日本ナショナルチームは、初出場となるツアー・オブ・ジャパン総合8位の小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)に注目だ。

圧倒的戦力のワールドチーム中心の戦いか

 金曜から土曜にかけて雨の予報となっているが、日曜の本戦は晴れる見込みである。そのため、戦力が非常に突出しているワールドチーム同士の競り合いに持ち込まれる可能性が高い。

 特にラスト2〜3周の古賀志林道では、ワールドクラスのクライマー・パンチャーを中心に、猛烈なペースアップがかかることが予想される。国内勢を含む日本人選手が勝負に絡むためには、この動きに食らいつける位置取りがとても重要となるだろう。

過去10年のジャパンカップサイクルロードレース優勝者一覧

2018年:ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
2017年:マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
2016年:ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
2015年:バウケ・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
2014年:ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
2013年:ジャック・バウアー(オーストラリア、ガーミン・シャープ)※繰り上げ
2012年:イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
2011年:ネイサン・ハース(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)
2010年:ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)
2009年:クリスアンケル・ソーレンセン(デンマーク、チーム サクソバンク)

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