例年にない高難易度にツール・ド・フランス2020のコースが発表 第1週から難関山岳ステージが相次ぐ

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 2020年6月27日にフランス南部の都市・ニースで開幕する第107回ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションが、10月15日にフランス・パリで開催された。来季のコースの最大の特徴は、アルプス山脈を中心に例年より山岳ステージと山頂フィニッシュが多く設定されていることにある。近年にない革新的な2020年のツールのコースを紹介していく。

ツール・ド・フランス2020コースプレゼンテーションに登場したクリストファー・フルーム(左)や、前回王者のエガン・ベルナル(左から2番目)たち ©ASO

第1週から激しい山岳ステージが多数

 グランデパール(開幕地点)は、当初からの発表とおり地中海沿岸の都市であるニースだ。

ツール・ド・フランス2020の全コースロフィール ©ASO

 第1、第2ステージでは、パリ〜ニースの最終ステージでよく使われるコースを通る。初日の第1ステージはスプリンター向きの平坦ステージとなっており、ステージの勝者が最初にマイヨジョーヌに袖を通す者となるだろう。

ツール・ド・フランス2020のルートマップ。昨年と異なり、フランスの下半分を中心にレースが行われる ©ASO

 第2ステージは、いきなり登坂距離16.3km・平均勾配6.3%のコルミアーヌ峠や登坂距離14.9km・平均勾配7.4%のトゥリーニ峠が登場。終盤はパリ〜ニース最終ステージでたびたび勝負どころとなったエズ峠も組み込まれ、いきなり総合争いが繰り広げられることだろう。

 第3ステージは南仏特有の丘陵地帯を通過するものの、レース終盤は平坦路中心となりスプリンター向きの一日となるはずだ。第4ステージで早くも本格的な山頂フィニッシュが登場。ステージ自体は丘陵ステージにカテゴライズされているものの、アルプス山脈の麓に位置するフィニッシュ地点のオルシエール=メルレットの上りは登坂距離7.1km・平均勾配6.7%であり、標高1825m地点まで駆け上がる。クライマーたちの脚試しには十分な難易度となっている。

 第5ステージは平坦ステージと分類されているものの、フィニッシュはアップダウンがあるため、パンチャー向きのステージといえそうだ。

第6ステージ、モン・アグエルへの上りと、勾配の厳しいラ・ルセット峠 ©ASO

 第6ステージは中央山塊に位置する標高1560m地点のモン・エグアルへと至る山頂フィニッシュステージだ。フィニッシュに至る上りは平均勾配4%ほどであるが、その手前のコル・デ・ラ・ルセット(登坂距離11.7km・平均勾配7.3%)の上りが強烈となっている。第7ステージはピレネーへと向かうつなぎのステージでスプリンター向きの平坦ステージだ。

 第8ステージは140kmの山岳ステージだ。バレ峠(登坂距離11.7km・平均勾配7.7%)、ペイルスールド峠(登坂距離9.7km・平均勾配7.8%)と、ピレネーおなじみの難関山岳を立て続けに越えて、ラストは長いダウンヒルを経てフィニッシュする。第9ステージは残り18.5km地点にラスト4kmの勾配が10%を超える激坂・マリーブランク峠が登場。両日とも山頂フィニッシュではないものの、総合争いで大きなタイム差がつきかねない難易度の高いステージである。

ピレネーを代表する名峠を通過する第8ステージのコースプロフィール ©ASO
ラスト18.5km地点のマリーブランク峠が強烈な第9ステージ

 このように、いきなりアルプス・中央山塊・ピレネーとフランスを代表する3つの山岳地帯を走り、総合成績が大きく動きかねないステージが5日間も登場。第1週としては例年とは比べ物にならないほど難易度の高いコース設定となっている。

貴重なスプリンターの見せ場が登場

 スペインとの国境付近の街・ラランスから選手たちは空路で北上。フランス中西部のシャラント・マリティムで最初の休息日を迎える。第10、第11ステージは、起伏の少ないようやくスプリントステージらしい平坦ステージとなっているが、その翌日から再び中央山塊に突入。典型的な丘陵ステージである第12ステージを経て、第13ステージはピュイマリー・ペイロール峠へと駆け上がる。ラスト2kmは平均勾配11%超えの激坂フィニッシュだ。

勾配10%オーバーの激坂フィニッシュが待ち構える第13ステージのピュイマリー・ペイロール峠 ©ASO
第15ステージではグラン・コロンビエ峠が登場する ©ASO

 第14ステージは中央山塊を抜け、フランス第2の都市であるリヨンへ到達。道中は2つの長い上りがあり、ラスト15kmはリヨン市内の3つの丘を含むアップダウンの激しそうなコースとなっているのだが、大会主催者はなぜか平坦ステージに分類している。

 第2週を締めくくる第15ステージは、ジュラ山脈に位置するグラン・コロンビエへとフィニッシュする。登坂距離17.4km、平均勾配は7.1%となっているが、ところどころ勾配がゆるい区間が存在するため、上りはおおむね8〜10%程度の勾配の続く険しいヒルクライムとなる。

 東から西へ、そして西から東へとフランスを横断した集団一行は、2度目の休息日を迎える。

クイーンステージと36.2kmの個人TTがキーに

 最終週は休息日明けから山岳ステージ3連戦が始まる。第16ステージは終盤に長い上りを経て、ラスト20kmは下り基調の平坦区間で、最後は短い上りフィニッシュとなっている。逃げ屋向きのコースレウアウトだ。

今大会最高標高地点に到達するメリベルのロゼ峠 ©ASO

 第17ステージが、今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)だ。標高2000mのマドレーヌ峠(登坂距離17.1km・平均勾配8.4%)を越えて、最後はメリベルへと至るロゼ峠は登坂距離21.5km・平均勾配7.8%で、山頂の標高はなんと2304m。今大会最高標高地点である。ラスト5kmはほとんど勾配10%オーバーとなっており、クイーンステージにふさわしい難易度を誇っている。

 第18ステージも相当難易度の高いステージだ。今年の第20ステージでは、土砂崩れのためルート回避を余儀なくされたロズラン峠(登坂距離19.9km・平均勾配6%)を筆頭に、大中小4つの峠が立て続けに登場する。

終始上って下ってばかりの第18ステージ ©ASO
ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユにフィニッシュする36.2kmの個人タイムトライアル ©ASO

 激闘の3連戦を終え、第19ステージは久々にスプリンター向けの平坦ステージだ。しかし、厳しい山岳ステージで疲弊したスプリンターたちが集団スプリントに持ち込めるとも限らないだろう。

 そして、第20ステージが今大会のマイヨジョーヌ争いの雌雄を決する一戦となる36.2kmの個人タイムトライアルだ。しかも、フィニッシュ地点はヴォージュ山地に位置する標高1035mのラ・プランシュ・デ・ベルフィーユである。近年は2014・2017・2019年に登場した場所であるが、最終盤で個人タイムトライアルのコースとして登場するのは初めてのことだ。今年登場したグラベル区間はカットされるものの、上り区間の破壊力は抜群だ。とはいえ、全体的には30kmを超える中距離タイムトライアルということもあって、ピュアクライマータイプの選手よりタイムトライアルスペシャリスト向きのコースであるといえよう。

 最終第21ステージは、毎年恒例のパリ・シャンゼリゼへと至る平坦ステージで、栄えある王者とともに、スプリンターの名誉をかけた戦いが繰り広げられる。

激戦必至な難易度の高いコース設定

ツール・ド・フランス2020 コースカテゴリー

平坦ステージ:9
丘陵ステージ:3
山岳ステージ:8
個人タイムトライアル:1

 大会主催者は平坦ステージを9つとカウントしているが、完全に平坦といえるステージはわずか3ステージのみで、実際のところ集団スプリントが見込まれるステージは5つから7つくらいだろう。明らかに例年よりスプリンターに不向きな山岳中心のステージ構成だ。

今年のツールでは非常にアグレッシブな姿を見せていたフランスを代表するアタッカーであるジュリアン・アラフィリップ(左)とティボー・ピノ(右) ©ASO

 総合争いにおいては、フランスを代表する5つの山岳地帯すべてを通ることもあって、本格的な山岳ステージが多数登場する。さらに、上位3選手に最大8秒が与えられるボーナスポイントが、山岳ステージを中心に全8カ所登場するため、アタック好きなクライマーに有利といえそうだ。

 しかし、36.2kmの個人タイムトライアルでは、タイムトライアルを得意とするオールラウンダーにタイム挽回、あるいは圧倒的差をつける機会が提供されている。タイムトライアルを苦手とする総合系の選手たちは、山岳ステージでの攻撃的な走りが必須である。

 近年のツールにはない特徴が盛り込まれた挑戦的なコース設定となっており、めまぐるしく総合成績の入れ替わるようなレース展開が期待されるだろう。

ツール・ド・フランス2020 ルート

6月27日 第1ステージ  ニース〜ニース 156km 平坦
6月28日 第2ステージ ニース〜ニース 187km 山岳
6月29日 第3ステージ ニース〜シストロン 198km 平坦
6月30日 第4ステージ シストロン〜オルシエール=メルレット 157km 丘陵
7月1日 第5ステージ ギャップ〜プリヴァ 183km 平坦
7月2日 第6ステージ ル・テイユ〜モン・エグアル 191km 丘陵
7月3日 第7ステージ ミヨー〜ラヴァール 168km 平坦
7月4日 第8ステージ カゼール=シュル=ガロンヌ〜ルダンヴィエル 140km 山岳
7月5日 第9ステージ ポー〜ラランス 154km 山岳
7月6日 休息日
7月7日 第10ステージ イル・ドレロン・ル・シャトー=ドレロン〜イル・ド・ル・サンマルタン=ド=レ 170km 平坦
7月8日 第11ステージ シャトライヨン=プラージュ〜ポアティエ 167km 平坦
7月9日 第12ステージ ショヴィニー〜サラン・コレーズ 218km 丘陵
7月10日 第13ステージ シャテル=ギヨン〜ピュイマリー・カンタル 191km 山岳
7月11日 第14ステージ クレルモン・フェラン〜リヨン 197km 平坦
7月12日 第15ステージ リヨン〜グラン・コロンビエ 175km 山岳
7月13日 休息日
7月14日 第16ステージ ラ・トゥール=デュ=パン〜ヴィラール=ド=ラン 164km 山岳
7月15日 第17ステージ グルノーブル〜メリベル・コル・デ・ラ・ロゼ 168km 山岳
7月16日 第18ステージ メリベル〜ラ・ロシュ=シュル=フォロン 168km 山岳
7月17日 第19ステージ ブール・アン=ブレス〜シャンパニョール 160km 平坦
7月18日 第20ステージ リュール〜ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ 36km 個人タイムトライアル
7月19日 第21ステージ マント=ラ=ジョリー〜パリ 122km 平坦

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