いつかはビワイチ!という中級者におすすめ琵琶湖と京都が一挙両得、新ビワイチ推奨コース 「守山〜京都〜小関越え」を三船雅彦さんと実走

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 滋賀県守山市が発行する無料のサイクリングマップ「ビワイチ推奨コースマップ」に、いつかはリアル・ビワイチ(琵琶湖一周)にチャレンジしてみたい初級者〜中級者にぴったりの新コース「守山〜京都〜小関越え」が加わった。走りごたえのある峠越えも含み、リアル・ビワイチを目指す上での脚試しにもなるコース。プロサイクリストの三船雅彦さんと、そのルートをたどった。

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琵琶湖一周に憧れを抱くなら

 新コースは守山市から京都市に至り、守山市に戻ってくる72.6kmのルート。同サイクリングマップでは琵琶湖一周はもちろんのこと、三船さんが監修した滋賀県全体を楽しめる合計7つのコースを収録する。携帯しやすいスマホサイズに折り畳め、また防水紙を使用しているので、汗や雨に濡れても破れることがない。地図は琵琶湖周辺全体を見通すことができ、ビワイチや周辺のサイクリングには必携のマップだ。

コースのポイント

(1)琵琶湖と京都市内を一度に楽しめる
(2)序盤に「途中越え」、後半に「小関越え」の2つの峠
(3)プチ観光や食事も楽しみつつ1日たっぷり走れる適度なボリューム
(4)リアル・ビワイチの約1/3の距離

「守山〜京都〜小関越え」のルートマップ © Moriyama City

 ルートは守山の第二なぎさ公園にある「琵琶湖サイクリストの聖地碑」から、琵琶湖大橋を渡ってそのまま内陸の坂を上り、「途中越え」から京都府に入り、「大原三千院」から八瀬まで一気の下りで京都市内へ。市街地をかすめて南下したあと、山科から今度は「小関越え」で滋賀県側へと入り、琵琶湖の湖岸沿いに守山のスタート地点へと戻るというもの。リアル・ビワイチの約1/3の距離で、ロングライドの感覚をつかむのにはもってこいだ。

 京都市内では気分に応じて寄り道・観光も可能。京都と琵琶湖を一挙両得な欲張りコースだが、意外にコンパクトな距離に収まっているのが魅力。時間も比較的余裕があるので、休憩スポットでお喋りなどを楽しみつつ、のんびり走っても無理なく1日に収まるボリュームだ。

 実は約200kmのリアル・ビワイチを目指すにおいて一つのハードルとなるのが、「1日中自転車と共に過ごす」ということ。休憩や寄り道が多くても、まずは丸1日を自転車に乗って過ごすという感覚をつかめば、あとは自転車を走らせる時間の割合を増やすことで、自然と距離を伸ばすことができる。将来のリアル・ビワイチを見据えつつ、まずは丸1日のサイクリングを楽しむことから始めよう。

「途中越え」は何の途中なのか

 スタート地点は琵琶湖を望むサイクリストの聖地碑から。琵琶湖の景色に感動したサイクリストが、思わず脚を天に伸ばしたポーズを取ってしまったという、ビワイチの気持ち良さを表現した像が湖畔に立っている。自動車でのアクセスなら、公園近くの大型ショッピングモール「ピエリ守山」の無料駐車場が利用可能。また近い将来、聖地碑の近くにサイクリスト向けの道の駅が整備される計画もある。

ビワイチや周辺サイクリングの際にはぜひ立ち寄りたい聖地碑 Photo: Ikki YONEYAMA
琵琶湖大橋はヒルクライムへの足慣らし? Photo: Ikki YONEYAMA
琵琶湖大橋の“頂上”から湖を一望 Photo: Ikki YONEYAMA

 まずは琵琶湖に架かる琵琶湖大橋を渡り対岸へ。自転車は歩道を渡ろう。全長1.4kmの橋は途中、船舶が下を通れるように大きく盛り上がっている。これから挑む峠越えに向けての足慣らしとばかりにペダルを漕ぐ。橋の頂上は琵琶湖の北側を望める展望スポットだ。

 橋を渡り、堅田の市街地を真っ直ぐ抜け、目の前の山へとそのまま上っていく。ここからは5kmほどの峠越え。今回のコースでは最初にして最も本格的な上り区間だ。棚田の広がる伊香立を抜けて走っていくと、やがて「途中」のバイパス入口へ。クルマはバイパスのトンネルを通るところだが、自転車は風情のある途中の集落を抜けていこう。

途中への上り途中にある還来神社。そばには公衆トイレもある Photo: Ikki YONEYAMA
旧道で途中の集落内を抜けていく。雰囲気のある旧途中郵便局前を通過 Photo: Ikki YONEYAMA

 そもそも何故「途中」なのかということだが、遡ること平安時代、比叡山の僧侶・相応和尚が無動寺と葛川明王院を開山した際に、両者の中ほどに位置したこの村を「途中村」と命名したのが由来だとか。言ってしまえば実に安易な名前だが、そのまま定着して千年以上。偉いお坊様の命名だからずっと残ったのだろうか。

集落を抜ければ峠はもう近い Photo: Ikki YONEYAMA

京都市内を縦断 バリエーションは自由に

 旧道はやがて新道と合流して、すぐに途中越えの頂上を抜ける。早くもここからは京都だ。しばらくは下り基調の里山の風景を抜けていく。徐々に集落が開けてくるとそこは大原の里。天台宗五門跡の一つに数えられる大原三千院が位置している。寺院は国道から逸れて少し上った場所にある。自転車でも門前まで行けるが、観光地なので歩行者には十分注意しよう。

コンクリートに囲まれた途中峠。三船さんが若い頃は右上に見える旧道しかなかったそう Photo: Ikki YONEYAMA
大原三千院。境内の美しい庭園が知られている Photo: Ikki YONEYAMA

 大原を後に、さらに下り基調を京都市内へ向けて下っていく。宝ヶ池からは徐々に京都市街の趣に。白川通りを南下していこう。山の手を走る白川通りは、イチョウやケヤキの街路樹が並ぶファッションストリート。同時に全国的にも知られるラーメン店の本店があったりもする。

 ルートはこのまま京都市内の東端をかすめていくが、少し脚を伸ばせば有名スポットも目白押しだ。平安神宮もその一つ。日本有数の朱色の大鳥居から応天門を望む眺めは、古の都の情景を想像させる。自転車で通るだけでもイメージが膨らむ場所だ。

壮大な平安神宮の大鳥居を抜けて京都市内を南下 Photo: Ikki YONEYAMA

 平安神宮側から白川通りに戻る途中には、琵琶湖疎水とその記念館がある。琵琶湖疎水は19世紀に、琵琶湖の水を京都に引くために作られた水路。トンネルや水路閣(空中に水を通す水路橋)などで、山あり谷ありの地形に水路を通している。そろそろ折り返し地点で滋賀・琵琶湖側へと戻っていく。その前にちょっと一服。南禅寺の門前にある「南禅寺 順正」で、絶品のゆどうふを頂いて、お腹でも京都を堪能した。

南禅寺前のゆどうふ専門店の老舗「順正」 Photo: Ikki YONEYAMA
そのままでも美味しいゆどうふ。前菜やデザートなども色々な豆腐料理を味わえる Photo: Ikki YONEYAMA

小関を越えて琵琶湖畔へ

 南禅寺の横を疎水沿いに小さな丘を越えると山科へと下る。ここが京都盆地の東の端。ここから琵琶湖のある近江盆地へは「小関越え」を通って抜ける。東海道の表通りは国道沿いの「逢坂(おおさか)越え」だが、その抜け道に当たる。峠の関所が表通りの東海道「大関」に対して「小関」と呼ばれたことから、峠自体が小関越えとなったようだ。

歩行者道の小関越えと舗装路の分岐点。上の方で再度合流する Photo: Ikki YONEYAMA
湖西バイパスの高架下を上っていく Photo: Ikki YONEYAMA

 山科駅入口の外環三条の交差点を過ぎ、京都東ICが目の前に迫る四ノ宮の交差点を左折すると、ジャンクションを迂回するように小関越えの山間へと入っていく。

バイパスの下から上まで一気の上り坂 Photo: Ikki YONEYAMA

 湖西バイパスの高架の下をくぐったら、一気の上りが始まって逆にバイパスを見下ろすところまで上がる。峠自体は長くないが、そこそこ勾配は急なので、変速では軽いギヤを選んで、ペダルを“踏む”のではなく“回す”ようなイメージで進もう。

 木や竹に囲まれた緑のトンネルを進み、やがて真上だけが開けた小さな丘にたどり着く。右側には小さなお堂。ここが小関峠だ。少しのダウンヒルを楽しむと、目の前に琵琶湖の水面が見えてくる。京都から琵琶湖は県境を越えるものの、想像していた以上に近く、ほとんど隣町といった風情だ。

静かな小関峠。小さな地蔵堂だけが往時をしのばせる Photo: Ikki YONEYAMA
江戸時代に作られた石造りの小関越道標が残っている Photo: Ikki YONEYAMA

 三井寺の横を抜けてそのまま一気に大津の琵琶湖畔へ。待ちに待った琵琶湖の湖岸道路を進むと、すぐに湖の南端になる。湖はそのまま瀬田川となって流れ出し、やがて淀川に合流して大阪湾へ至る。ちなみに琵琶湖と瀬田川の境界はどこかというと、かつてはこの付近唯一の橋だった瀬田の唐橋を境としていたらしいが、現在は東海道本線の橋の少し上流になっているという。

真の琵琶湖南端?

 ルートは瀬田の唐橋を渡って左岸(湖東)へと行くところだが、少しだけ南下をして寄り道。石山寺を過ぎて、唐橋から4kmほど下ると、そこには瀬田川洗堰がある。明治期に建設された瀬田川の水量調整施設で、琵琶湖から下流への流量をコントロールしている。機能的にはここが琵琶湖の南端と言ってもいいだろう。現役の洗堰の上を橋で渡ると、水資源の利用や治水について学べる「アクア琵琶」があり、かつて使われていた南郷洗堰の姿も見ることができる。

琵琶湖から流れ出る水量を調節する瀬田川洗堰 Photo: Ikki YONEYAMA
かつて使われていた石とレンガ造りの南郷洗堰も一部保存されている Photo: Ikki YONEYAMA
石山寺前の茶丈藤村 Photo: Ikki YONEYAMA

 洗堰を後にしていよいよ琵琶湖畔を北上。とその前に、石山寺の門前にある和菓子店「茶丈藤村」(さじょう・とうそん)で一休み。バイクラックがありビワイチのサイクルサポートステーションにもなっており、実は女将がサイクリストというお店。バイクラックの横に立てかけられている一見オーナー不明のスチールバイクは、女将の自作というから驚きだ。

三船さんは焼き餅入りぜんざいで、しっかりエネルギー補給 Photo: Ikki YONEYAMA
名物「たばしる」におうす(抹茶)を合わせて Photo: Ikki YONEYAMA

 唐橋を渡って北上を始めると、終点の守山までもう少しだ。湖岸道路はクルマの交通量が多めなので、のんびり走るなら車道と隔てられた自転車歩行者道路を行くのもいいだろう。

琵琶湖畔をのんびり守山へ。車道でなく自歩道をのんびり走るのも楽しい Photo: Ikki YONEYAMA
琵琶湖大橋が見えてきたらゴールはすぐそこ Photo: Ikki YONEYAMA

 スタートで最初に渡った琵琶湖大橋が見えてくると、いよいよゴールだ。1日かけてのサイクリングを無事ゴールできたなら、もうリアル・ビワイチへの資質は十分。ぜひ今度は琵琶湖一周にもチャレンジしてみてほしい。

次はリアル・ビワイチに挑戦しよう! Photo: Ikki YONEYAMA

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