守山市「ピエリ」からスタート1日ビワイチにチャレンジ「守山⇒マキノ⇒守山」 プロサイクリスト三船雅彦さんが伝授

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 滋賀県の琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」の注目度が年々上昇している。いつかは行ってみたい…とはいえ、全体を一周すると約200kmという初心者には敷居の高い“大冒険”サイクリング。そこで今回は、ビワイチと長距離のエキスパート、プロサイクリストの三船雅彦さんとともに、ビワイチを達成するための攻略ポイントをチェックしてみよう。

「守山発・左回り」がオススメ

三船さんのビワイチ攻略法「ルート選び編」

(1)景色の良い反時計回りがおすすめ
(2)車を停められる「ピエリ守山」発着が便利

 ビワイチに挑戦する際に、最初に気になるポイントは「どこを発着点にするか?」だろう。琵琶湖近辺に住んでいない多くの人は、まずクルマや鉄道などで琵琶湖近くまで移動してからスタートすることになる。

琵琶湖を一望できる温泉施設「水春」(ピエリ守山提供)

 守山市の自転車特命大使を努める三船さんがおすすめするのは、近年ビワイチに力を入れている守山市からのスタートだ。琵琶湖大橋そばの大規模ショッピングモール「ピエリ守山」では、2,800台収容の無料駐車場がサイクリング目的にも利用できるほか、今年3月に温泉施設「水春」(営業時間10:00(日祝は7:00)~24:00(最終受付23:30))がオープンして、ビワイチ後にすっきり汗を流してから帰ることができる。琵琶湖を望む絶好のロケーションで、展望風呂、さざなみの湯、つぼ湯のほか、溶存物質の高い天然温泉「琵琶湖美人の湯」で疲れを癒すことができる。

ビワイチに便利な無料駐車場を併設する「ピエリ守山」(ピエリ守山提供)
カフェ&レストラン「オレンジバルコニー」では、イタリアンを中心にカフェメニューまで味わえる(ピエリ守山提供) 

 また、琵琶湖を一望できるカフェ&レストラン「オレンジバルコニー」では、イタリアンを中心にスパニッシュやエスニックを感じさせる食事のほか、ワッフルなどのカフェメニューも用意。買い物や食事もできるので、家族で来て別行動…なんてこともできるかも。

守山市が無料配布している「ビワイチ推奨コースマップ」の表紙。コンパクトに折り畳め、防水紙を採用しているので携帯に便利だ © Moriyama City
リニューアルした「ビワイチ推奨コースマップ」には、新たに県内の人気観光施設への寄り道ポイントを表示 Photo: Kenta SAWANO
琵琶湖を中心にビワイチのコースや見どころを紹介。ビワイチの標準ルートは距離190.1km、獲得標高1159m © Moriyama City

 次に気になるポイントは「どちら向きに回るか?」だが、これは左回り(反時計回り)がおすすめだ。これは左側通行の日本では、左側に琵琶湖を見て走る方がクルマに遮られず景色が良く、また交差する道路が少なくなるのでスムーズに走れるというのが理由。ちなみにビワイチ向けの道路標示や走行空間の整備も、ほぼ左回り側に対して行われている。まずは左回りからチャレンジするのがいいだろう。

琵琶湖とビワイチを見守る「琵琶湖サイクリストの聖地碑」 Photo: Ikki YONEYAMA
ピエリ守山の駐車場でロードバイクを準備。サイクリストは「E」の駐車場を使うことになっている Photo: Ikki YONEYAMA

 ということで、三船さんとピエリ守山でロードバイクを下ろし、ビワイチへと出発する。これまでビワイチに「100回は来ている」という三船さん。本場ヨーロッパなどでロードレースの選手として活躍し、選手引退後は超ロングライド「ブルベ」を中心に活動。全長1200kmの過酷な「パリ〜ブレスト〜パリ」を3度走破するなど、長距離はお手の物。心強いアドバイザーだ。

 今回のコースは、湖北のマキノ町(高島市)がほぼ中間地点にあたる。三船さん的に言うならば「守山⇒マキノ⇒守山」だろうか。楽しい1日の冒険へのスタートだ。

湖東は観光スポットが点在

 スタートしてから1kmほどの第二なぎさ公園には「琵琶湖サイクリストの聖地碑」がある。200kmの無事走破を祈って立ち寄ろう。湖に近い湖岸道路は自動車の交通量も多いが、一部で道路脇の植込みを減らして、車道で自転車の走行空間を広げる整備が進んでいる。年々走りやすくなっているのだ。

ビワイチルートでは自転車走行空間を広げる整備が進んでいる Photo: Ikki YONEYAMA
道路から奥まった場所にある厳かな藤ヶ崎龍神 Photo: Ikki YONEYAMA

 10kmほどで、ピワイチ定番のパワースポット、藤ヶ崎龍神を通る。一瞬内陸に入る湖岸道路からそれて、湖沿いの未舗装路を少し走ると、湖に向けて小さな赤い鳥居が置かれた龍神さまに行き着く。神聖な光景に息を飲む場所だ。

 ビワイチの基本ルートは湖岸道路だが、時々そこから離れた方が走りやすい場所がいくつかある。長命寺港から湖畔に沿って走る道もその一つ。ややアップダウンが多くなるが、先を急ぐ自動車は湖岸道路で近道をするため、交通量が少なく走りやすい。緑に囲まれた道からは、時折琵琶湖に浮かぶ沖島の姿を望むことができる。沖島は淡水湖では日本唯一の有人の離島だ。

長命寺港ではちょうどビワイチ挑戦中の竹花恵子さん、佐々木さんの2人と交流 Photo: Ikki YONEYAMA
今日初めて会った人たちともビワイチを通じて仲間に Photo: Ikki YONEYAMA
奥に見えるのは琵琶湖の離島・沖島 Photo: Ikki YONEYAMA

 古くから東山道、さらには中山道と街道筋だった湖東エリアは、宿場町や寺社などが各所に点在する歴史街道だ。「湖畔だけでなく、いろいろな道を通ってみると面白いですよ」と三船さん。ビワイチ“リピーター”ならではの楽しみ方を教えてくれた。織田信長が築いた安土城もこの近くだ。とはいえ先は長い。今回はあまりしっかり観光をしている時間はない。

 湖畔沿いを真っ直ぐ進んでいくと、やがて彦根の街が近くなる。彦根城を望む城下町の町並みを再現した夢京橋キャッスルロードへは、突き当たりまで行かずに「長曽根町北」の交差点を右折すると便利だ。そのまましばらく、内陸の北国街道ルートを長浜まで進む。長浜の黒壁スクエアは、昔の町家や土蔵を生かしたレトロな町並みが美しく、ぜひ一度は通っておきたい場所だ。

長浜のレトロな町並みを行く Photo: Ikki YONEYAMA
和菓子屋さんでお土産購入! Photo: Ikki YONEYAMA
黒壁スクエアを曲がっていく。明治時代から黒壁銀行と呼ばれ親しまれた古い銀行を改装して、現在はガラス作品を集めた「黒壁ガラス館」に Photo: Ikki YONEYAMA

北端を過ぎ、メタセコイア並木に感嘆

 湖畔沿いを走っていた県道が尾上温泉を過ぎると、しばし内陸の道を進む。木之本IC近くを左折すると、戦国の歴史に名高い賤ヶ岳(しずがたけ)が真横。本能寺の変の後、羽柴秀吉と柴田勝家が覇権を争った「賤ヶ岳の戦い」で知られる場所だ。

旧賤ヶ岳トンネルを抜けると、奥琵琶湖の景色が広がる Photo: Ikki YONEYAMA

 旧賤ヶ岳トンネルを抜けると再び琵琶湖が左手に現れる。このあたりが琵琶湖のほぼ北端だ。山が湖畔まで迫っているのと、入り江の奥のため波も穏やかで、これまでと違った風景が広がっている。しばらく奥琵琶湖の美しい景色を楽しみながら湖畔を進む。琵琶湖にせり出した海津大崎は桜の名所でもある。このあたりで距離は100kmに達する。

 海津大崎を抜けてマキノに入ったら、ぜひ内陸のマキノ町に立ち寄りたい。町の中央部を南北に真っ直ぐ貫くメタセコイア並木は、まるで夢の世界に紛れ込んだよう。湖北屈指の絶景&写真映えスポットだ。このあたりは気候も日本海側となり、冬は雪にも包まれる。幻想的な道はビワイチの折り返し地点にふさわしい場所だ。

雄大で幻想的なメタセコイア並木 Photo: Ikki YONEYAMA

 そろそろ昼食休憩を取っておこう。高島市の市街地を抜けて南下し、今回は近江高島駅の近く、築150年の旧商家を再生した複合施設「高島びれっじ」内の「ワニカフェ」でランチ。地産地消の食材を生かした美味しい料理を味わうことができる。ランチセットは前菜盛り合わせにスープ、これにパスタ、スパイスカレー、オムライスのいずれかを合わせて、ドリンクとデザートまでが付いてくる。サイクリストに人気なのはスパイスカレーだそうだ。

町家を改装した「びれっじ」内のカフェでランチ Photo: Ikki YONEYAMA
町家は奥が深い。隠れ家のように「ワニカフェ」がある。サイクルラックも設置 Photo: Ikki YONEYAMA
ホッと一息ついてビワイチ後半への英気を養おう。三船さんはオムライスをセレクト Photo: Ikki YONEYAMA
サイクリストに人気というスパイスカレー。季節ごとの地元の食材を生かしたメニューを提供 Photo: Ikki YONEYAMA

観光を楽しむなら途中宿泊も

三船さんのビワイチ攻略法「装備&補給編」

(1)ルートが心配ならGPSサイコンを活用しよう
(2)コンパクトに携帯できる上着を用意
(3)補給はコンビニなど利用で約2時間ごとを目安に

 さて、200kmのビワイチに挑むにあたっての装備を三船さんに尋ねてみたが、「特別なものはなく普段通り」とのこと。一般的なロードトレーニング向け装備ということで、ボトルと、替えチューブやタイヤレバー、携帯ポンプなどのパンク修理道具、携帯工具、前後ライト、サイクルコンピューターといったところ。コースに自信がなければ、ルートのGPSデータを入れて走行中も参照できるサイクルコンピューターを使うと便利だ。

三船さんの愛車、エディメルクスのサンレモ76。セカンドグレードのレーシングモデルで、若干マイルドな味付けが超ロングライドに合う Photo: Ikki YONEYAMA
ハンドル周りはサイクルコンピューター、ライト、ベルなど。ブルベの際はGPSサイクルコンピューターを2台使うそう Photo: Ikki YONEYAMA
予備チューブなどはサドルバッグにコンパクトに収納。テールライトは電池式を使う Photo: Ikki YONEYAMA
タイヤは耐久性を重視したタイプを装備 Photo: Ikki YONEYAMA

 長距離ライドでは機材トラブルは避けたいもの。ビワイチ前には、ショップで一通りのメンテナンスを済ませておくと安心だ。また輪行や車載で車輪を外した場合は、車輪が真っ直ぐ入っているか、クイックがしっかり締まっているか、ブレーキが片利きしていないかなど、乗車前にしっかりチェックしておこう。もちろんタイヤは直前に指定空気圧を入れておこう。

 衣類に関しても一般的なサイクルウェアであれば特に問題ないそう。ただし湖北は同じ琵琶湖畔でも気候が日本海側になり、気温が5℃以上違うこともあるという。ジレ(ベスト)などコンパクトに携帯できる上着は用意しておこう。以下に三船さんのウェア選びの実例を教えていただいた。

●夏仕様

半袖ロードウェア、ビブショーツ、ソックス、グローブ、キャップ、メッシュのインナーウェア

●春・秋仕様

半袖ロードウェア(夏仕様よりも若干生地の厚いもの)、ビブショーツ、ニーウォーマー、アームウォーマー、ソックス、グローブ、キャップ、インナーウェア

【コメント】注意点は朝と昼の気温差が大きくなること。朝の最低気温に合わせた装備にすると、日中が暑くて不快になります。重ね着やアームウォーマーで調整をお勧め。場合によっては薄手のベストも効果的。

●冬仕様(想定気温10℃前後)

長袖ロードウェア、ビブタイツ、ソックス、長指グローブ、ウィンターキャップ、インナーウェア(メリノウール長袖)、ウィンドベスト(気温に応じて)、シューズカバー

【コメント】一口に冬と言っても気温や湿度に幅があるので「これ」と言うのは言い切れませんが…。これでも寒く感じる場合は、ホットクリームやネックウォーマーなども効果的。特に頑張りすぎて汗をかくと余計に寒さが増すので、体温が上昇した時にジッパーの上げ下げで調整したり、アウターウェアの着脱で調整すればいいのでないかと思います。シューズカバーもソックスタイプをアップしていますが、気温や天候次第ではネオプレン素材やゴアテックスなどの防水防風仕様の方が適している可能性もあります。

夏仕様のウェア一式 Photo: Msahiko MIFUNE
春・秋仕様のウェア一式 Photo: Msahiko MIFUNE
冬仕様のウェア一式 Photo: Msahiko MIFUNE

 携帯する補給食に関しても、「コンビニや商店が常にあるので、特別なものや多くを持つ必要はない」という。走りながら食べやすいものを少しずつ食べ、1.5〜2時間おきにコンビニなどで15分程度の短い補給休憩を取るイメージ。携帯する量は次の補給までの2時間分と、予備としてもう1時間ほど走れるくらいでいいそう。あまり持ちすぎても荷物になって重いだけだ。

コンビニで買う補給食の一例。ボトルを2本装備する際は、1本をスポーツドリンク、1本は水にしておこう Photo: Ikki YONEYAMA

 なお、日のあるうちに1日で200kmを走破するのであれば、昼食など30分以上ストップする大きな休憩は、1回までにしておくのがいいだろう。「本格的に観光をしながら走れるのは、1日80kmくらいが限界」と三船さん。観光を楽しみながらビワイチをするのであれば、途中に宿を取って2〜3日かけて走ることになる。

琵琶湖のさまざまな表情を一日で感じて

 再びビワイチの道路に戻り、湖西を南下していく。湖上に鳥居が浮かぶ白鬚神社は、湖西エリア随一のパワースポット。創建は2千年前と伝えられ、近江最古の神社とされる。境内を整備したのは豊臣秀頼だというから、いかに琵琶湖が古くから著名人からの信仰を集めていたかがわかる。

白鬚神社の鳥居前を通過 Photo: Ikki YONEYAMA

 やがて堅田で、スタート地点の守山から琵琶湖大橋をはさんだ反対側にたどり着く。一周まで残りは45km程度。もし時間や体力が足りないのであれば、ここでショートカットも可能だ。といはいえここまで来たら、しっかり一周を達成しておきたくなるところだ。

 やがて県都・大津の市街地が近付き、高層ホテルやマンションなどが周囲に増えてくる。湖を望む風景も湖北とはまるで別物。遊覧船が浮かび、多くの人びとが忙しく行き来する、ベイサイドリゾートの趣になる。

大津まで来ると湖畔に背の高い建物が多くなってくる Photo: Ikki YONEYAMA

 近江大橋を過ぎると、対岸が一気に近付き、琵琶湖は「瀬田川」へとその姿を変える。この瀬田川は京都を通り、やがて淀川となって大阪湾に流れ込む。関西の水がめである琵琶湖の、ここが南端にあたる。瀬田の唐橋で瀬田川を渡り、進路を再び北へ。橋の歴史は古く、この場所に最初の橋が架けられたのは奈良時代。日本最古橋の一つに数えられている。

瀬田の唐橋を西から東へ。湖西から再び湖東へ。ゴールはもうすぐ Photo: Ikki YONEYAMA

 湖岸道路を北に向け走ると、ゴールはもうすぐ。日が傾いてきた中、見覚えのある琵琶湖大橋が近付いてくると、そのたもとがスタート地点のピエリ守山だ。せっかくなので、もうほんの少しだけ足を伸ばして聖地碑まで走ろう。琵琶湖を望む女神の顔が、冒険の達成を祝福してくれるだろう。(提供:守山市)

<2>琵琶湖と京都が一挙両得、新ビワイチ推奨コース「守山〜京都〜小関越え」→

夕焼けの中、ビワイチ無事完了! Photo: Ikki YONEYAMA

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