2015年のジャパンカップ覇者、今年も来日予定モレマがラスト18kmを独走でロンバルディア初制覇 チヴィリオで絶妙のカウンターアタック

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 イタリア北部のロンバルディア州を舞台にしたUCIワールドツアーのワンデーレース、「イル・ロンバルディア」が10月12日に開催され、残り18km地点でアタックしたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が独走逃げ切りで同大会初優勝を飾った。

第113回イル・ロンバルディアは、独走逃げ切りを決めたバウケ・モレマが初優勝を飾った Photo: Yuzuru SUNADA

シーズンを締めくくる“落ち葉のクラシック”

 第113回目の開催となるイル・ロンバルディアは、ベルガモをスタートし、コモにフィニッシュする243kmで争われた。歴史と格式が特に高いとされる5大クラシックレース「モニュメント」の一つに数えられる大会。今年のコースは178.9km地点のマドンナ・デル・ギザッロ(登坂距離8.6km、平均勾配6.2%、最大勾配14%)、192.4km地点の「ソルマーノの壁」と呼ばれるコルマ・ディ・ソルマーノ(登坂距離1.9km、平均勾配15.8%、最大勾配27%)、226.2km地点のチヴィリオ(登坂距離4.2km、平均勾配9.7km、最大勾配14%)、そして237.7km地点のサンフェルモ・デッラ・バッターリア(登坂距離2.7km、平均勾配7.2%、最大勾配10%)の4つの上りがレースが動くポイントとなっていた。

イル・ロンバルディアの舞台となるコモ湖畔を走るプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 スタート直後に8人の逃げが決まった。メンバーはレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)、ファウスト・マスナーダ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク)、マルコ・マルカート(イタリア、UAE・チームエミレーツ)らを含んでいた。ユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団に対して、最大6分程度のリードを築いてレースが進行した。

 マドンナ・デル・ギザッロの上りが近づくと、メイン集団はチーム イネオスがけん引開始。逃げ集団とのタイム差を2分半程度まで縮めてきた。

集団内で走行するエガン・ベルナル Photo: Yuzuru SUNADA

 集団が迫るなか、先頭の逃げ集団からはマスナーダが抜け出した。後続を引き離して、山頂を先頭で通過すると、少し遅れてスクインシュが追いつき、2人が先頭集団を形成した。

 また、山頂を目の前にしたメイン集団からは、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタック。逃げから脱落してきたメンバーを次々にパスしていくと、ソルマーノの壁の登坂中に先頭2人に追いついた。

 すると、1分後方に迫ったメイン集団で有力選手たちが動き始めた。ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)のペースアップにより、集団が逃げを飲み込んだ。勾配が厳しくなる山頂付近に差し掛かっても、集団のペースが落ちることなく、上りが苦手な選手、コンディションが悪い選手がふるいにかけられ、山頂を越える頃には先頭集団が20人程度に絞り込まれた。

モレマのカウンターアタックが決まる

 下り区間、下ったあとのコモ湖畔の細かいアップダウンの続く区間で、散発的にアタックとペースアップが仕掛けられるものの、決定打には至らずも、残り34km地点でティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)の2人が飛び出した。少しけん制気味のメイン集団に対して、40秒程度のリードを築いて、チヴィリオの上りに到達した。

終盤に積極的な動きを見せたティム・ウェレンス Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はアシスト3人を残すユンボ・ヴィスマが先頭でチヴィリオの上りに入った。すると、集団後方に位置していた前々年の覇者ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がボトルを踏んでしまい、何とか落車は免れたものの失速。同時に集団先頭ではモビスター チームがペースアップ。結果的にニバリが集団から脱落してしまった。

 すると残り19km地点で、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がアタック。独走に持ち込むことはできなかったが、逃げていたウェレンスとブッフマンを吸収し、先頭は10人程度まで絞り込まれる。一旦ペースが落ち着いたタイミングで、後方からモレマがカウンターアタックし、集団から単騎抜け出した。各チームともアシストの大半を失っている状況では、追走のペースが上がらず。モレマが独走に持ち込むことに成功した。

チヴィリオの上りで勝利に繋がるアタックを仕掛けたバウケ・モレマ Photo: Yuzuru SUNADA

 取り残された集団から、マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)らが追走を試みるも、完全にアシストを失ったエース同士の集団はけん制の力が強く、ここから抜け出すことは困難な状況だった。

最後まで踏み切ったモレマが初優勝

 モレマは独走を維持したまま、チヴィリオの山頂を先頭通過。メイン集団は30秒ほど遅れて山頂に到達した。

 続くダウンヒル区間でもモレマは快調に飛ばしていく。メイン集団は10人以上残しているものの、前を引きたがらない選手同士の駆け引きによって、なかなかペースが上がらず。けん制状態の集団からしびれを切らしたログリッチェがアタックを仕掛け、単独で先頭のモレマを追い始めた。

独走で先頭を追いかけるプリモシュ・ログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭のモレマと追走のログリッチェとのタイム差は40秒で、最後のサンフェルモ・デッラ・バッターリアの上り区間に到達。メイン集団は先頭のモレマから50秒程度まで差が開いていた。

 上りに入ると、メイン集団からウッズ、バルベルデ、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナプロチーム)、エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)が一気に加速。4人はログリッチェを捉えて、遅れて合流したジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)を加えて追走集団が6人となった。

 今度はベルナルが全開のアタック。しかし、バルベルデ、フルサング、ログリッチェ、ウッズはピタリと食らいついていた。続いてカウンターでバルベルデがアタック。山頂を通過したモレマから20秒ほど遅れてバルベルデが単独追走を開始した。

 ダウンヒルでベルナルとフルサングが追走のバルベルデに追いつくも、ラスト1kmのアーチをくぐり抜けていった先頭モレマとのタイム差は20秒のまま。

 何度も後ろを振り返りながら、勝利を確信したモレマが両手を広げ、空を見上げながらフィニッシュ。自身初となるモニュメント勝利を飾った。トレック・セガフレードとしては、9月末に行われた世界選手権を制したマッズ・ペデルセン(デンマーク)に続き、シーズン終盤でのビッグタイトル獲得となった。

自身初のモニュメント制覇を達成した32歳のモレマ Photo: Yuzuru SUNADA
2位争いのスプリント勝負をバルベルデ(右)が制し、ベルナル(左)は惜しくも3位 Photo: Yuzuru SUNADA

 2位には3人によるスプリントを制したバルベルデが入り、3位となったベルナルは初のモニュメント表彰台を獲得した。

 なおモレマは、10月20日に開催されるジャパンカップサイクルロードレースに参戦予定だ。過去2015年に同大会を制した経験を持ち、優勝候補として注目が浴びることとなるだろう。

モニュメント初制覇を遂げたバウケ・モレマ(中央) Photo: Yuzuru SUNADA

イル・ロンバルディア2019 結果
1 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 5時間52分59秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +16秒
3 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
4 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
5 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) +34秒
6 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
7 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
8 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +50秒
9 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
10 ルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)

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