ランキング2位の岡篤志を一騎打ちで下すアウラールが最終戦も制してJプロツアー年間優勝 チーム総合優勝もマトリックスが獲得

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 国内最高峰のロードレースツアー、Jプロツアー第22戦「第3回JBCF秋吉台カルストロードレース」が10月6日、山口県美祢市で行われ、年間個人ランキング優勝を争う2人のゴールスプリント勝負を制したオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)が優勝し、今シーズン6勝目で同時に年間王者の証であるプロリーダージャージを獲得した。チームランキング優勝はマトリックスパワータグ、23歳未満の選手が対象のネクストリーダージャージは今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング)がそれぞれ獲得した。

個人ランキングを争う2人の一騎打ちはアウラールに軍配が上がった Photo: Nobumichi KOMORI

日本一のカルスト台地が舞台

 年間ランキング争いで、近年稀に見る大接戦となっている今シーズンのJプロツアー。個人ランキングでは1位のアウラールと2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が118ポイント差、チームランキングでは1位のマトリックスパワータグと2位のチーム ブリヂストンサイクリングが119ポイント差とそれぞれ僅差。最終戦となる今レースの結果次第では順位が入れ替わる可能性があることから、チーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンは積極果敢なレースでマトリックスパワータグの牙城を崩そうとすることが予想される。

国定公園である秋吉台を舞台に今シーズン最終戦が行われる Photo: Nobumichi KOMORI
スタート前には西岡晃・美祢市長から選手たちに激励の言葉が贈られた Photo: Nobumichi KOMORI

 そんな最終戦の舞台となるのは、今年で3回目の開催となる秋吉台カルストロードレース。日本最大級のカルスト台地として知られ、風光明媚な観光地として多くの観光客が訪れる秋吉台を南北に走るカルストロードの往復に、両端2つの小周回を組み合わせた公道特設コースは1周29.5kmで、全体的にアップダウンの厳しいレイアウト。さらに、残り2km付近からは平均斜度12%、最大斜度28%の激坂“カルストベルグ”が控えており、昨年の完走者はわずか13人の難コースで、今シーズンの王者を決める最終戦に相応しい舞台が整った。レースは周回を5周する147.5kmで開催された。

最終戦のスタートの瞬間を今かと待つ選手たち Photo: Nobumichi KOMORI

年間ランキング逆転を賭けたにらみ合いに

 正午にスタートが切られたレースは、ニュートラル区間を過ぎて正式スタートが切られるとアタックの応酬に。その中から佐藤信哉(VC福岡)と伊藤舜紀(東京ヴェントス)の2人がアタックを決めて集団から先行すると、さらに集団からは木村圭佑(シマノレーシング)、桂慶浩(ヴィクトワール広島)、中川由人(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)、水野恭兵(eNShare-エルドラード)が追走に飛び出し、ほどなくして先行していた2人に合流、6人の逃げ集団が形成された。

水野恭兵(eNShare-エルドラード)、佐藤信哉(VC福岡)、木村圭佑(シマノレーシング)の3人が逃げる展開になる Photo: Nobumichi KOMORI

 しかし、この6人の逃げ集団も1度目のカルストベルグでふたつに分断され、先頭は佐藤、木村、水野の3人になり、その後方に伊藤、桂、中川の3人が続く展開に。一方のメイン集団は、それぞれランキングの逆転を狙うことで利害が一致したチーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンが協調してコントロールを開始し、2周目には後方逃げ集団の3人を吸収。3人の逃げ集団とのタイム差を3分弱程度に保ってコントロールする展開になった。

序盤に積極的な逃げを見せた水野恭兵(eNShare-エルドラード)は敢闘賞を獲得 Photo: Nobumichi KOMORI
集団から単独で飛び出した石原悠希(ホンダ栃木)が逃げ集団へのブリッジを試みる Photo: Nobumichi KOMORI

 すると、2周目の折り返しを過ぎたタイミングでメイン集団からは石原悠希(ホンダ栃木)が単独で飛び出して逃げ集団への追走を開始。石原は3周目を迎える前のカルストベルグで逃げ集団に追いつき、逃げ集団は4人になった。

メイン集団はチーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンがコントロール Photo: Nobumichi KOMORI
4人になった逃げ集団が雄大な秋吉台の中を逃げ続ける Photo: Nobumichi KOMORI
チーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンがコントロールするメイン集団が少しずつペースを上げ始める Photo: Nobumichi KOMORI

勝負は最後のカルストベルグへ

 その後、レースは4人の逃げ集団と、チーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンがコントロールするメイン集団という展開のまま進んでいったが、4周目に入る直前のカルストベルグで逃げ集団では佐藤と水野が遅れて木村と石原の2人に。一方のメイン集団も4周目に入るタイミングで入部正太朗(シマノレーシング)がアタックを仕掛けて単独で抜け出したことで活性化するかと思われたが大きな動きにはならず、集団をコントロールするチーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンがコントロールを維持することになった。

4人の逃げ集団が分断し、先頭は石原悠希(ホンダ栃木)と木村圭佑(シマノレーシング)の2人に Photo: Nobumichi KOMORI
入部正太朗(シマノレーシング)がメイン集団から単独アタックを仕掛けるも不発 Photo: Nobumichi KOMORI

 4周目に入ると、メイン集団をコントロールするチーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンが少しずつペースを上げ始め、ついに先行していた逃げ集団の2人を吸収。レースは振り出しに戻った。そのままひとつの集団でカルストベルグに入ると、ここまでメイン集団内で脚を温存していたフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)がアタックを試みるも、これはチーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンがしっかりとチェック。集団は少しバラバラになりながらも、アウラールや岡などの有力選手勢がしっかり先頭に残った状態でレースは最終周に入った。

個人ランキングを争うオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)と岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が集団先頭でカルストベルグをクリアしていく Photo: Nobumichi KOMORI

 最終周に入ると、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)や入部、横山航太(シマノレーシング)、木村らがアタックを仕掛けて揺さぶりをかけるが、集団をまとめて最後のカルストベルグ勝負に持ち込みたいチーム ブリヂストンサイクリングと宇都宮ブリッツェンのアシスト選手がしっかりと引き戻して集団をきっちりコントロール。ひとつの集団のまま、勝負は最後のカルストベルグに持ち込まれることになった。

 カルストベルグに入ると、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がアタックを仕掛けて若干先行したことで集団はバラバラに。しかし、この動きをマンセボが捕らえ、先頭は個人ランキングを争うアウラールと岡という状況に。勝った方が個人ランキングの優勝も手にするゴール勝負を制したアウラールが見事に最終戦を勝利で締めくくり、同時に年間個人ランキングでの優勝も勝ち取った。

個人ランキング優勝を決定づける今シーズン6勝目を飾ったオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) Photo: JBCF

マトリックスパワータグが個人・チームのダブル制覇

 この結果、上記の通り個人ランキングはアウラールが1位を守り、王者の証であるプロリーダージャージを獲得。チームランキングも、優勝したアウラール、3位のマンセボ、6位のトリビオとトップ10に3人を送り込んだマトリックスパワータグが2位のチーム ブリヂストンサイクリングを引き離して優勝。また、23歳未満のランキングトップの選手が着用するネクストリーダージャージは、今シーズンがJプロツアー初参戦ながら2勝をマークした今村が獲得した。

表彰式。左から2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、優勝したオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)、3位のフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) Photo: Nobumichi KOMORI
プロリーダージャージを獲得したオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)とネクストリーダージャージを獲得した今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング) Photo: Nobumichi KOMORI
チームランキングは今シーズン圧倒的な強さを見せたマトリックスパワータグが優勝 Photo: Nobumichi KOMORI

■第3回 JBCF 秋吉台カルストロードレース
1 オールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 3時間57分21秒
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1秒
3 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) +6秒
4 石橋学(チーム ブリヂストンサイクル) +16秒
5 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
6 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +22秒
7 徳田優(チーム ブリヂストンサイクル) +32秒
8 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) +35秒
9 米谷隆志(リオモ・ベルマーレ)
10 岡泰誠(イナーメ信濃山形) +37秒

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