日本勢は新城、中根ともに完走ならず23歳ペデルセンがデンマーク初の男子エリート制覇 UCI世界選手権ロードレース

by 武井きょうすけ / Kyosuke TAKEI
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 イギリス・ヨークシャーで開催のUCI世界選手権ロードレースは9月29日、最終レースとなる男子エリートのロードレースが行われ、終盤にかけて逃げた3人によるゴールスプリントを、23歳のマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)が制して、デンマークに男子エリート初の世界選ロード優勝をもたらした。日本の新城幸也(バーレーン・メリダ)、中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)はともに途中リタイアだった。

3人の先頭集団のゴールスプリントをマッズ・ペデルセン(デンマーク)が制して優勝 Photo: Yuzuru SUNADA

今年のジロ、ブエルタ覇者が逃げ

 レースウィークがほぼ雨で占められた今大会、最終日も強い雨が断続的に降りしった。多くの観客が詰めかける中、早朝に雨天の影響によるコース変更の知らせが届いた。ライン部分を185kmから125kmへ短縮。後半のハロゲイトでの13.83kmの周回を7周回から9周回へ。全体では当初の285kmから、265kmへ短縮となった。

日本代表で出場した新城幸也(左)と中根英登の2人 Photo: Yuzuru SUNADA

 日本チームのチームカーはルクセンブルクと同じチームカー。UCIポイントランキングで大きく劣るため、監督が同乗できず、メカニックのみが割り当てられたチームカーに乗ることとなる。

 レースは序盤から有力選手も含む逃げが生まれた。直近のブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)や、今年のジロ・デ・イタリアを制したリチャル・カラパス(エクアドル)、またナイロ・キンタナ(コロンビア)を含む11人がまず先行する。

 日本チームは2人での参加のため反応はせず、メイン集団でレースを進めた。男子エリートでもライン区間から落車、パンクが多く、中根が足止めを余儀なくされるシーンもあったが、冷静に集団へ復帰。新城は落ち着いてメイン集団でレースを展開した。

ライン区間を進むメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 逃げは最大で約5分まで差を付けたが、今大会の個人タイムトライアルを制したローハン・デニス(オーストラリア)が中心となり、メイン集団は逃げに対するタイム差を調整。ハロゲイトの周回へと入る頃には、1分を切る差となっていた。

サバイバルと化した周回、5人が先行

 メイン集団では次の動きへの緊張感が高まる中で、周回のフィニッシュ地点の直前で落車が発生。ベルギーのエースで優勝候補の一人、フィリップ・ジルベールも転倒してしまう。チームメートのレムコ・エヴェネプールがジルベールの肩を抱いて励まし、ジルベールはバイクを交換して再スタート。今大会個人タイムトライアル2位のエヴェネプールがメイン集団へ引き戻そうとけん引するが、レース前半でもトラブルで一度遅れていたジルベールは、集団へあと一歩で復帰ができないままレースを終えることになった。

エヴェネプールが追走の先頭をけん引 Photo: Yuzuru SUNADA

 周回に入りメイン集団は、早々に逃げ集団を吸収。雨天、低温、過酷なコンディション。仕事を終えた各国の選手たちは早々に補給所でリタイアを選ぶ。逃げていたログリッチェやカラパス。一方メイン集団で逃げを追いかけたデニス。これも世界選手権の日常だ。

日本のエース、新城幸也も周回前半で遅れを喫してしまう Photo: Yuzuru SUNADA

 日本チームは苦戦が続く。ジルベールの落車時、新城はメイン集団の中段で難を逃れたが、中根は後方で再び足止めを受けてしまう。前に上がれない中根は残念ながら集団へ復帰するとこができなかった。そして新城も3周目に入るところでメイン集団から遅れてしまう。暑いコンディションを得意とする新城にとって、この日の気温は分が悪いか。結局メイン集団への復帰はかなわず、4周目でのリタイアとなった。ディフェンディングチャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)も同じ頃レースを去る決心をした。

 周回5周目、メイン集団が活性化する。アメリカのローソン・クラドックがアタック。これにスイスのシュテファン・キュングが反応して合流し、2人がわずかに先行する形となった。

クラドック(左)とキュングがまず先行 Photo: Yuzuru SUNADA
先頭はペデルセンとキュングの2人に Photo: Yuzuru SUNADA

 その後、メイン集団からはデンマークのペデルセンが単独で先頭へ追い付き、逆に先頭からはクラドックが脱落。続いてイタリアのジャンニ・モスコンがメイン集団から先頭へと合流することに成功する。メイン集団ではベルギーのイヴ・ランパールトが前を引くが、多くの選手が消耗しており活性化にはつながらず、先行する3人との差は徐々に開き始めた。

 周回はラスト3周、オランダはマイク・テウニッセンが一度先頭に追い付くものの、すぐに脱落。ここで今大会最有力の一人、オランダのマチュー・ファンデルプールがメイン集団からのアタックを敢行した。切れ味鋭いアタックに反応できたのは、イタリアのマッテオ・トレンティンのみ。2人は一気に先頭へと追い付き、先頭はキュング、ペデルセン、モスコン、ファンデルプール、トレンティンの5人となる。このうちイタリア勢が2人を占め有利な状況だ。

 残り2周、先頭5人に対し、1分前後の差で追うメイン集団もようやく活性化する。先頭ではモスコンが厳しい様子を見せるものの、遅れては追い付きながら、先頭集団内ではトレンティンのために仕事もこなし続ける。

5人の先頭グループ Photo: Yuzuru SUNADA

伏兵ペデルセンがスプリントで伸び

 先頭では圧倒的に有利と見られていたファンデルプールだが、残り1周に入ったところで、まさかの急ブレーキ。会場にどよめきが走った。残った4人はけん制することなく逃げ続ける。追走はペテル・サガン(スロバキア)、グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)ら有力選手が控えるが、逃げの勢いは衰えない。

キュングが強力に先頭を引く Photo: Pool / SWP / SUNADA

 逃げ集団では優勝を目指した戦いが始まる。キュングが力強く上りをテンポで踏むと、ついにモスコンがドロップ。強烈なテンポにペデルセンも遅れるがなんとか復帰する。追走も活性化。サガンがジャンプアップし、デンマークのミケル・ヴァルグレンと前を追うが時既に遅しとなった。

 逃げ切りが決まった3人のゴール勝負となりけん制が始まる。誰もがイタリアのトレンティンの優勝を想像した。ゴール前、トレンティンがスプリントに入る。しかし伸びが足りず、力強くペデルセンがトレンティンをかわし優勝。デンマーク史上初の男子エリートのチャンピオンとなった。完走はわずか46人という、厳しいサバイバルレースとなった。

スプリントを開始するとペデルセンが早々にトレンティンをかわして先頭に立った Photo: Yuzuru SUNADA
信じられないという様子のペデルセン Photo: Yuzuru SUNADA
先頭集団に加わったが、最終局面でまさかの脱落となってしまったファンデルプール Photo: Yuzuru SUNADA

 日本チームは厳しい現実を突きつけられている。男女エリート、完走者が一人もいない。東京オリンピックに向け、この結果を直視し改善する必要があると、強く感じる世界選手権となった。

男子エリートの上位3人。(左から)2位のトレンティン、優勝のペデルセン、3位のキュング Photo: Yuzuru SUNADA

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