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ロードバイク 2020モデルのトレンド<1>普及価格モデルまで進んだロードバイクのディスクブレーキ化とビッグメーカーの強み

by 安井行生 / Yukio YASUI
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 2020モデルのロードバイクシーンを俯瞰する原稿を、という依頼をいただきました。まずはより一層進んだロードバイクのディスクブレーキ化についてです。シマノがティアグラにまで油圧ディスクブレーキ仕様を用意したことで、20万円以下の完成車にもディスクモデルが設定されるようになり、トレックやジャイアントなどはクロスバイクのディスク化も進めています。

ティアグラの油圧ディスクブレーキを搭載したジャイアントのアルミロード「CONTEND AR 2」 Photo: Kenta SAWANO

オールラウンドモデルにも波及

 最初はエンデュランスロードから、その次はエアロロードへと浸透していったロードバイクのディスクブレーキ化ですが、現在は軽量で万能なオールラウンダー(エモンダ、ターマック、スーパーシックスエボ、アディクトなど)まで波及しています。

 ただ、ディスクロードに関する方向性はメーカー間でやや差があり、トップレンジのリムブレーキは開発を中止したと公言するメーカーもあれば、リムブレーキにもメリットを見出してラインナップし続けるメーカーもあります。とはいえ今後はもうリムブレーキモデルが増えることはなさそうです。

ディスクブレーキはオールラウンドモデルにも波及。写真はトレックの軽量カーボンバイク「Émonda SL 5 Disc」 Photo: Shusaku MATSUO

高剛性化がデメリットの場合も

 ディスクロードに関してはこのサイクリストでの連載「案外深いディスクロードの世界」でも書いたばかりですが、あれから何台かに試乗する機会があったので、それをふまえ、改めて「2020年現在のディスクロード雑感」を書き記しておきます。

 完成度が上っている、という印象は変わりません。むしろ、「ディスクロードの完成度の高まり」がミドルグレードにまで及んできたと感じられました。ただし、現状ではディスク化することでフレームもホイールも高剛性化&重量増という方向に移行することが多いので、快適性には注意したほうがいいでしょう。特に、素材的にも設計的にも凝った快適性向上策を盛り込みにくいエントリーモデルは要注意です。

 そのフレーム&ホイールの高剛性化については、それが「動力伝達性の向上」というメリットになるか、それとも「ペダリングフィールの悪化/一体感の低下」というデメリットを呼び込むかは、モデルや乗り手によって変わるところでしょう。自分の好みと目的に照らし合わせ、慎重な判断が必要になります。

ハンドリングフィールの左右差が目立つものも

 何台かのディスクロードに試乗していて、一つ問題点に気付きました。ハンドリングフィールの左右差です。中にはハンドリングが左右で明らかに異なるものがあるんです(数としては少ないですが)。左側にはパタッと倒れるのに、右側にはつっかえ棒をしたように倒れづらい…という感じです。

 これはおそらく、ディスクロード特有の構造によるものだと思われます。

 まずフォークの設計が左右非対称。左側には台座とブレーキキャリパーが付く。制動時にかかる負荷に対して強化もしなければならない。しかも、多くのフォークがブレーキホースをブレードに内蔵しています。ホースを内蔵するためには、ブレードに穴を空けなければなりません。当然、穴の周りの積層を増やすなどして強度・剛性低下を防がなければならない。左右差が生じて当然でしょう。

ディスクブレーキ台座とディスクローターは進行方向に対してフォークの左側に。この部分には大きな負荷がかかるためフォークの左右の造りは同一ではない Photo: Masahiro OSAWA

 さらに複雑なのは、フォークに付くフロントホイールも左右非対称になってしまうということです。ディスクブレーキのフロントホイールには、ハブの左側にローターが付くため、オチョコが発生し、左右でスポーク角度が同じになりません。しかも、ローターからかかる力に対応させるため、左右でスポーク数やスポークパターンを変えているモデルもたくさんあります。

 MTBもオートバイも左右非対称設計ですが(オートバイはダブルローターのものも多いですが)、ロードバイクはそれらに比べて華奢なうえ、タイヤが細いので、フォークやホイールの剛性差が表出してしまいやすいのだと思います。

 もちろんメーカーはちゃんと左右の剛性値はそろえているのでしょう。でも実際には、フォークとホイールは荷重が刻々と変化する中で路面からの衝撃を受けローターからの制動力も受け…という複雑な状態に置かれます。そういう状況下では剛性“感”に差が出てしまうんだと思います。

ビッグメーカーには強みアリ

 ここで強みを見せるのが、ホイールまでトータルで開発できるビッグメーカー。どんなにフォークを左右対称に仕上げても、左右非対称なホイールを入れられては台無しです。ホイールまで目を光らせ、不確定要素を排除すれば、左右差なんていうレベルの低いデメリットは潰すことができるでしょう。事実、ホイールまで開発しているメーカーのディスクロードに左右差を感じるモデルはほぼありませんでした。

ビッグメーカーではホイールまで手掛けるところも。写真はジャイアントのハイパフォーマンスブランド「CADEX」のホイール Photo: Kenta SAWANO

 普通はスラロームのように右と左のコーナリングを繰り返さないから多少左右差があってもいいんじゃないの? という意見もあるでしょう。でも、我々は普段からフォークとホイールに左右交互に負荷をかける走り方をしています。そう、ダンシングです。

 ある試乗ロケでご一緒した某プロ選手は、ディスクブレーキ用ロードホイールに関して「ダンシングで振ったときに左右の振れ方が違うものがある。ダンシングはリズムが大切なのに、片方だけカクッとなるのでリズムが崩れてしまう」と言っておられました。

 ディスクロードは買いどきと言っていいと思います。僕も「もう買ってOKだ」と判断して、ディスクロードを注文しました。

 でも買う際には、快適性と剛性感とハンドリングに注意です。できれば試乗をして、スラロームでハンドリングの左右差を、ダンシングで振れ方の左右差を検証することをお勧めします。

安井行生
インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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