イタリアのプロチームもゲスト参加有料道路が年に一度自転車の聖地に 「嬬恋キャベツヒルクライム2019」1000人が疾走

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 群馬県我妻郡嬬恋村で9月1日、「嬬恋キャベツヒルクライム大会」が行われ、普段は自動車専用有料道路の「万座ハイウェー」の上り坂をサイクリストが走り抜いた。国内外から1075人のライダーがエントリーし、今年で第4回の本大会は過去最高の参加者数となった。

万座ハイウェーを疾走する参加者たち Photo: Marvo FAVARO

嬬恋キャベツヒルクライムとは

 「嬬恋キャベツヒルクライム大会」は、嬬恋村と万座温泉を結ぶ有料道路「万座ハイウェー」を走破する、19.8kmの市民レーサー向けの人気の大会だ。「万座ハイウェー」は自転車通行禁止の自動車専用道路だが、一年に一度だけ自転車に解放され、これを目当てに全国から集まる自転車愛好家も多い。標高差1010m・平均勾配5.1%と、ヒルクライムを極める人からビギナーや女性まで最適なコースだ。ファミリー向けのショートコースも設定され、子供にレースの雰囲気を味わわせたい家族が多く見られる。コースや景色の良さ、地元の温かいおもてなしを絶賛する声が多く、嬬恋を代表する大会にまで成長した。

大会のお楽しみの一つ、参加賞。嬬恋村の特産の高原キャベツをモチーフとしたものが人気。今年はポケットに収めるリュックサック Photo: Marvo FAVARO
特産のキャベツや地元野菜は人気 Photo: Marvo FAVARO

自転車活用推進法発足以前にも注目の大会

 本大会は自転車活用推進法が成立する以前に2015年から始まり、嬬恋村、プリンスホテルグループと地元企業の全面的なバックアップを受け、スキーやアイススケートなど、ウィンタースポーツがメインスポーツだった嬬恋村に新しい可能性を生み出した。自転車が健康維持促進のきっかけになると国が定めた指針以前に、大会は地方創生につながるということから地元自治体が注目し、この大会が誕生した。産経新聞社・吉川達郎執行役員から次のコメントを頂いた。

 「サンケイスポーツとしてこれまでマラソンや、色々なスポーツイベントに携わってきましたが、自転車の熱は日本でも高まってきて、ヨーロッパの大会は日本でも見られるようになりました。もともと幅広い層が支持しているので、我々も自転車大会を手伝うことを決めました。嬬恋村は温泉も高原野菜もありますし、東京から近いし、人情も厚い場所です。非常に面白い大会です。1日だけ有料道路を全面ストップさせ、このような舞台設定はそんなにありません。この大会に参加するサイクリストの皆様は、様々な大会に出ていると思いますが、ここで大きな魅力を感じていると思います。国際色豊かで大会で年々に参加人数が増えており、これからもより良い大会に育てていきたいと努力いたします」

千葉県松戸市から来た和田さん「毎年子供を連れて来ています。大会の雰囲気がいいし、楽しい。今年はショートコースで息子と走ります」 Photo: Marvo FAVARO
静岡県三島市から蕎麦屋を中心に集まったグループ。代表の山川さん「昨年5人で来ましたが、今年は8人に増えました。大会とコースは楽しいので、来年はもっと来ますよ」 Photo: Marvo FAVARO
地元の中学生も参加(左から、山崎くん、滝沢くん、松橋くん) Photo: Marvo FAVARO
温かい食事を振る舞う地元のボランティアの皆さん Photo: Marvo FAVARO

年々人気上昇の理由

 参加者の多くは、レースだけでなく、前日に行われた様々なイベントを楽しみ、会場が賑わいに包まれた。一つの目玉は、イタリアのプロコンチネンタルチームNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ専属のメカニックが行う「ラヴァッジョ」と呼ばれる洗車の無料サービスだ。

西勉さんによる説明を真剣に聞く参加者。洗車は一人の特権だが、見学は自由 Photo: Marvo FAVARO

 チームトラックの前で抽選に選ばれた6人の参加者だけが受けることができる特別サービスとあって、抽選の倍率はとても狭き門。メカニックの西勉さんは、綺麗に自転車を保つ意味とメンテナンスの重要性を丁寧に説明しながら自転車を長く使うコツを伝えた。会場のすぐ横にプロ選手仕様のチームバイクの無料試乗会が行われ、多くの人は高級自転車の乗り心地を体感した。

 もう一つの新しい試みが子供向けの自転車教室だった。車と自転車の接触事故が増えている中で、子供たちに交通ルールとレースルールを楽しく教えることが一つの大きな課題になってきた。子供向け自転車教室を専門的に行う「ウィーラースクール」によるスラロームや集団走行などの技術練習が行われ、NIPPOの選手も参加。一方、会場のメインステージでは、ジロ・デ・イタリアで大活躍し、話題となった初山翔選手のトークショーが行われ、多くの人はヒルクライム大会を攻略するためのコツだけでなく、ヨーロッパのレース中の体験談を楽しんだ。

子供自転車教室のウィーラースクールには、2歳から10歳まで、延べ17人が参加 Photo: Marvo FAVARO
実習の前に簡単な交通ルールレッスンも行われる Photo: Marvo FAVARO
NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの選手たちも子供を指導 Photo: Marvo FAVARO

西村育人さんがエキスパート2連覇

 大会当日は、午前9時にレースがスタート。先頭を切ったのが、エキスパート・一般の部の選手たちだ。このカテゴリーは18歳から70歳までの人たちがエントリーし、タイムを争う部だ。

スタートを切る先頭グループ。初山翔選手と伊藤雅和選手が先導する Photo: Marvo FAVARO

 男子で優勝を飾ったのが、西村育人さん(神奈川県)。昨年に続き2連覇を達成。昨年より14秒タイムを短縮し、47分45秒の大会新記録となった。女性の部でトップ記録を出したのは宮下朋子さん(愛知県)で、タイムは58分33秒。NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの選手も一般参加者に加わり、参加者から「まるでヨーロッパのレースを味わっているようだ」との声が聞かれた。

普段は自動車専用の道路が年に一度、自転車のための道に Photo: Marvo FAVARO
ゴールに向かう先頭集団 Photo: Marvo FAVARO
ゴール直前で抜け出した西村育人さんがエキスパート2連覇を達成 Photo: Marvo FAVARO

優勝を果たした西村育人さんのコメント

優勝トロフィーとして、地元の野菜の組み合わせ、優勝ジャージ、チームNIPPOのヘルメットとバッグ(非売品) Photo: Marvo FAVARO

 万座ハイウェーの料金所前まで10人でグループを固めていたが、そこから逃げ合戦が始まりました。しかし、今年もNIPPOの選手が前を逃げた選手を捕まえて、我々がついていくような形で追ってきました。最後の集団は6人に絞られ、ペースが安定したところ、ゴールの100m手前で私が飛び出し、優勝を果たしました。とにかくレース展開は早かったです。

トップ集団と一緒に走っていた伊藤雅和選手のコメント

 下からすごく早いペースでした。私たちもがんばってついていきました。みなさんの“足の見せ合い”のような感じでした。我こそが!という雰囲気が伝わってきてすごくいいレースでした。みなさん強かったです。

ゴールを切った選手たちに人気の笹団子が振舞われる Photo: Marvo FAVARO
下山後、温かい豚汁を味わう参加者 Photo: Marvo FAVARO

 授賞式の後はNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネによるじゃんけん大会が行われ、チームのスポンサーが提供した豪華商品やオリジナルグッズ、ジャージ、サイン入りポスター、地元温泉の無料宿泊券が配られ、大会は幕を閉じた。来年の再会を誓う参加者が多く、大会のフィナーレは微笑みに包まれた。

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