『Cyclist』編集部がインプレッションe-BIKEで蔵王のイイとこどり! Livの「ESCAPE RX W-E+」が魅せた“e-ヒルクライム”の世界

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 e-BIKEでヒルクライム─自転車乗りなら誰もが一度はそんな“憧れ”を抱いたことがあるのではないだろうか。その夢を叶えるe-BIKEツアーを、台湾の自転車ブランド「ジャイアント」が開催した。場所は東北屈指の絶景ヒルクライムスポットとして名高い霊山、蔵王。全国区の難易度をもつ名コースが、e-BIKEにかかるとどんな世界に変わるのか。ローディーにとって禁断かつ魅惑の“e-ヒルクライム”を『Cyclist』編集部の後藤恭子がたっぷりと体験した。

Livの「ESCAPE RX W-E+」で颯爽と上る女優の一青妙さん。健脚ローディーもe-BIKEには敵わない! © GIANT

国内唯一の女性専用スポーツe-BIKE

 同ツアーはジャイアントの台湾支社が実施した「ツール・ド・東北2019」を含むサイクルツアーの一環として開催された。ジャイアントグローバルグループのボニー・ツー会長を含む女性を中心とした14人のサイクリストが乗るのは、同社の女性ブランド「Liv」(リブ)が展開する女性専用スポーツe-BIKE「ESCAPE(エスケープ) RX W-E+」。日本でも国内初の女性専用設計として6月に発売されている。

リブが6月に発売した国内初の女性専用スポーツe-BIKE「ESCAPE RX W-E+」。乗り降りしやすい小さめのフレームに小柄な女性向けのパーツセレクト、走りにこだわった高性能な装備が特徴。XS以上のサイズはジャイアントの「ESCAPE RX-E+」で展開 Photo: Kyoko GOTO

 エスケープRX W-E+の特徴は、乗り降りしやすい小さめのフレームに、小柄な女性に合わせた165mmクランクと540mm幅ハンドルバーというコンパクト設計。スムーズな漕ぎ出しとパワフルなアシストを実現するジャイアント独自のEシステムが、サイクリング初心者でも安定したハンドリングを可能にする。

専用設計のコントローラー「RIDECONTROL EVO」はグリップ一体型ユニットと視認性の良い大型モニターで安心操作が可能。スマホ充電のできるマイクロUSBポートも搭載 Photo: Kyoko GOTO

 ブレーキはレバーの引きが軽く、コントロール性の高いシマノ製油圧ディスクブレーキを採用。長距離走行でも疲れが少ないだけでなく、長い下りや急な雨でも確実なブレーキ性能を発揮する。変速システムは軽量なシマノ・ティアグラの10段変速を装備。スポーツ設計のアルミフレームや前後12mmスルーアクスルなど、走りと使い勝手にこだわった設計だ。

 バッテリーは大容量36V-13.8Ahのリチウムイオンバッテリーを搭載。充電一回あたりの走行距離は最もパワーを抑えた「エコモード」で225km、パワフルな「スポーツモード」でも90kmのライドに耐えられる(標準パターン測定時)。ということで、今回のヒルクライムでは最初から最後までスポーツモードで行くことにした。

激坂が楽しくなるアシスト

 一行が走るコースは、ヒルクライムレースの舞台としても知られる蔵王エコーライン。レースコースのプロファイルは、大会当日のみ通行解除される自動車専用道路「ハイライン」(2.75km)を含めると全長18.7km、獲得標高1334m。平均勾配7%、最大勾配12%という、国内のヒルクライムレースの中でも屈指の難コースといわれる。

蔵王エコーラインへの入り口にある大鳥居をくぐって、“e-ヒルクライム”スタート! © GIANT

 ただ、この蔵王がヒルクライムスポットとしてヒルクライマーたちを引きつけるのは難易度だけではない。緑が生い茂る麓から森林限界を超えた山頂へと向かう景色は走る者を飽きさせない。快晴だと雄大で、悪天候になると恐怖さえ感じさせる、山全体に漂う神秘的な雰囲気は「霊山」のそれだ。

 筆者もかつて1人でこの山を上った経験があるが、悪天候により途中でゲートが閉ざされ、無念の「DNF」に終わった。この日は打って変わって好天。サイクリストたちを迎え入れるような快晴のもと、麓の大鳥居をくぐってヒルクライムをスタートした。

序盤から斜度強めの坂が続くが、e-BIKEのおかげで木漏れ日を楽しむ余裕も © GIANT

 エスケープRX W-E+の威力は序盤からいきなり発揮された。上り始めがキツく、温まっていない脚に高負荷がかかるのがこのコースの“いやらしいところ”だったが、そんな前回の記憶があっさり上書きされてしまった。最初からスポーツモード全開で上るのも攻めすぎかと思っていたが、そんなことはなく、アシストのかかり方が驚くほど自然で、激坂にさしかかるたびにバイクごと体がふわっと軽くなる感覚。つづら折れが楽しいという初めての体験に、思わず笑いがこみ上げた。

3つの滝が見られる絶景スポット「滝見台」。前回はけっこう苦労してたどり着いた場所だが… © GIANT
滝見台を過ぎると少し勾配が緩やかに © GIANT

 迫ってくる坂とトルクの体感にズレが生じ、大げさでなく脳も一瞬混乱する。「クロスバイクならエスケープ」といわれるほど乗りやすさに定評あるモデルだが、電動アシストが搭載されると、こうも異次元の乗り心地になるのか、というのが第一印象だった。

e-BIKEだからできること

 最初の衝撃が収まり、次にこみ上げてきたのは背徳心。従来のヒルクライムの苦痛に慣れている体と頭が、「坂なのに、こんなに楽しいだけでいいのかな…」などと自問自答し始めた。

時折現れる斜度強めの坂をぐいぐいと超えながら、さらに上を目指す © GIANT

 しかし、笑顔が消えない。息も切れない。周囲の景色を楽しむ余裕がある。疲れないがしっかりスポーツ感もある。何より、走力差がある人同士が同じペースで話をしながら山を上れている(※)。こんなヒルクライムは、かつて体験したことがない。

疲れてきた健脚ローディーを抜き去る爽快感は最高!(罪悪感も少々…) © GIANT

 ヒルクライムは上りのきつさと引き換えに達成感を楽しむという要素もあるが、決してそれだけではない。サイクリストなら理解いただけると思うが、同じエリアを巡ろうとしたら、クルマのスピードでは速すぎて、徒歩では動ける範囲が狭すぎる。その間をちょうどよいスピードで走れるのが自転車だ。さらにその自転車の世界を、脚力を問わず楽しめるバイクとして、エスケープRX W-E+は最適だと腑に落ちた。

※e-BIKEのアシストは国内の法律上時速24kmまでに制限されている

見えてきた蔵王山頂の写真を撮影する参加者。漕ぎ出しも楽なので、どんな勾配でも気軽に脚を止められる © GIANT
スタートから約14km、1000mほど上ってきた、Liv創始者でGIANT現会長のボニーさん。御年70歳ながら、まだまだ余裕の表情 © GIANT

 実際、前回筆者が1人で蔵王を上ったときに見過ごしていた景色があったことを、今回のヒルクライムで知った。高山植物であるコマクサの群生地(6月中旬~7月頃に開花)として知られる駒草平。不帰の滝や奥羽山脈を一望できる景勝地で、コースを外れて少し脇道を入ったところにある。前回のヒルクライムでは、おそらく必死にもがいていたのだろう。狭くなっていた視野では気づけるはずもない場所だ。

 いったんe-BIKEから下りて断崖絶壁の展望台まで歩いていってみると、そこには蔵王の山並みや落差28mの滝などを一望できる絶景が広がっていた。今回のヒルクライムで蔵王山頂にある火口湖、通称「お釜」へのリベンジを目指していたが、こんな絶景までしっかり堪能できるなんて、まさしくe-BIKEの恩恵を得た思いだった。

断崖絶壁の展望スポット「駒草平」。迫りくる山のパノラマが大迫力! © GIANT
e-BIKEからリフトに乗り換えて山頂まで「空中散歩」 © GIANT

 山頂へ続く「ハイライン」は通常は自動車専用道路なので、ヒルクライムはその手前で終了。体重等によってバッテリーの消費量に差があるが、女性の平均体型(たぶん)である筆者は残量53%を残してのフィニッシュとなった。

スポーツバイクに乗らない人でも楽しめる

 そこから先、山頂まではリフトを使い、上りきったところからさらに「お釜」を目指して少し歩く。ゴロゴロした岩がある砂利道だが、フラットペダルなのでビンディングシューズで歩くストレスもない。

「お釜」に到着! ついにリベンジ達成(e-BIKEだけど) © GIANT

 ようやく見えてきた「お釜」に全員の歓声が上がった。エメラルドグリーンの水をたたえた火口湖に雲間から光が差す。麓からペダルを回し、自力でたどり着いた景色を前に、蔵王をまるごと味わい尽くした気持ちで満たされた。

 正直、ロードバイク乗りとしては「e-BIKEは別の乗り物」と思っていたが、自然との一体感やフィニッシュの達成感はロードバイクのヒルクライムとなんら変わらず、むしろ景色を楽しんだり、いつもとは違う豊かな時間を過ごしたように感じた。

 「e-BIKEなら、自転車に乗らないあの人もここまで連れて来れるかな」と思いを巡らす一方で、その前に自分がロードバイクに戻れるのか、少し不安も覚えるのだった。

蔵王ヒルクライムを体験して満足げな女性サイクリストの皆さんと「ESCAPE RX W-E+」 © GIANT

■ESCAPE RX W-E+
サイズ:XXS(375mm)
重量:19.9kg
カラー:ブルー、パールホワイト
一充電あたりの走行距離:SPORTモード90km、NORMALモード110km、ECO+モード150km、ECOモード225km(※表記の走行距離は標準パターン測定時のもの)
税抜価格:280,000円

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