プロリーダージャージは岡篤志がキープフランシスコ・マンセボが120kmを単独で逃げ切り優勝 Jプロツアー第17戦

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 国内最高峰のロードレースシリーズ、Jプロツアー第17戦「第4回JBCF南魚沼ロードレース」が9月15日、新潟県南魚沼市の三国川ダム周辺に設定された1周12.0kmの特設周回コースを11周する132kmで開催され、2周目から逃げ集団に入り、3周目からは単独で逃げ続けたフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)がおよそ120kmを逃げ切って優勝を飾った。

レースのほぼすべてを単独で逃げ切ったフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)が優勝を飾った Photo: Nobumichi KOMORI

年間ランキングを見据えた終盤戦へ

 全22戦で争われる今年のJプロツアーも第17戦を迎え、終盤戦へと入った。これから先は1レースごとの成績はもちろんのこと、年間ランキングを見据えてのレースが繰り広げられることになる。

個人ランキング上位選手を先頭に、選手たちがスタートラインに整列する Photo: Nobumichi KOMORI

 ここまでのランキングを見てみると、個人ランキングは3勝を挙げている岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が首位。しかし、岡がツール・ド・北海道に出場している間に行われた第15戦、第16戦「群馬CSC交流戦9月大会」で同2位のオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)が1勝を含む645ポイントを稼ぎ出し、その差を422ポイント差に縮めて猛追。チームランキングも同様に、2位のマトリックスパワータグが首位のチーム ブリヂストンサイクリングを猛追しており、レースレイティングがゴールドに設定される今レースの結果次第では、一気に逆転となる可能性もある。

スタート直後から激しいアタック合戦が続く Photo: Nobumichi KOMORI
3人の逃げ集団からさらに攻撃を仕掛けたフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)が単独で逃げる展開に Photo: Nobumichi KOMORI

 今レースが行われた三国川ダム特設周回コースは、厳しい上りとテクニカルな下り、ダム湖を周回する平坦基調路が組み合わされたコース設定で、過去のレースでは完走者がごく少数のサバイバルコースとして知られている。しかし、今年は昨年までとは周回方向が逆回りに設定されたことで、異なるレース展開になることも予想された。

2周目から始まった独走劇

 11時45分にスタートが切られたレースはいきなり、激しいアタック合戦に。しばらくは出入りの激しい展開が続いたものの、2周目に入るとすぐにマンセボ、サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO)、石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング)の3人が逃げ集団を形成する展開になった。しばらくはこの3人が協調して逃げるかと思われたが、マンセボがさらに攻撃を仕掛けたことで逃げ集団は崩壊。クロームは集団に戻る選択をし、石橋は単独でマンセボを追走することになった。

リーダーチームの宇都宮ブリッツェンがメイン集団のコントロールを続ける Photo: Nobumichi KOMORI

 一方のメイン集団は、積極的にイニシアチブを握ろうとするチームが現れず、ツアーリーダーの岡篤志(宇都宮ブリッツェン)を擁する宇都宮ブリッツェンがリーダーチームの責任を果たすべくコントロールを開始。ほどなくして単独でマンセボを追走していた石橋もメイン集団に戻ったことで、レースは単独で逃げるマンセボとメイン集団という形で落ち着きを見せた。

安定したラップタイムを刻みながら独走するフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) Photo: Nobumichi KOMORI

 その後、レースは大きな動きを見せないまま8周を消化。マンセボとメイン集団とのタイム差は最大で5分30秒ほどにまで開く状態になったが、9周目に入るとメイン集団がいよいよ活性化してペースアップ。単独で逃げ続けるマンセボとのタイム差を縮め始め、最終周となる11周目に入る段階で1分33秒にまでその差を詰める状況になった。しかし、最終周に入っても力強い走りを見せるマンセボには、それだけの差があれば十分。2周目から最後まで逃げ切っての優勝を飾った。

ペースの上がったメイン集団は有力選手に絞られ始める Photo: Nobumichi KOMORI
最終周に入る前にロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO)と入部正太朗(シマノレーシング)がメイン集団から飛び出した状態で最終周へ Photo: Nobumichi KOMORI

消極的な展開に課題も

 マンセボの驚異的な逃げ切り勝利は、マンセボ自身の実力はもちろんのことながら、Jプロツアーがとる年間シリーズ戦というレギュレーションが絡んだ結果だったのではないだろうか。個人ランキング首位でプロリーダージャージを着る岡を擁する宇都宮ブリッツェンは、岡のジャージを守るという目線で考えれば同2位のオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)の動きに注意を払い、岡がアウラールよりも前でゴールできればジャージをキープできる。

注目の個人ランキング争いは岡篤志(宇都宮ブリッツェン)がオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)の前でゴールし、わずかながらポイント差を広げた Photo: Nobumichi KOMORI

 そのため、個人ランキング争いに絡まないマンセボが逃げ切り勝利を収め高い優勝ポイントを獲得することは、むしろ好都合になる。それでも、メイン集団をコントロールし、終盤にペースアップをしてレースを作った宇都宮ブリッツェンはリーダーチームとしての矜持を見せたと言えるが、毎年終盤になるとこういった大味なレースが見られることが多いのは事実。競技力向上のために一戦一戦の質を高めるということを考えると現在のシリーズ戦というレギュレーションではなく、例えばだが、年間優勝の賞金を細分化して全レースに均等に割り振るなど変化をつけることも検討する必要があるのではないだろうか。

表彰式。左から2位のロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO)、優勝のフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)、3位の入部正太朗(シマノレーシング) Photo: Nobumichi KOMORI
プロリーダージャージをしっかりキープした岡篤志(宇都宮ブリッツェン) Photo: Nobumichi KOMORI

 また、ランキング上位チームが睨み合っている今の状況は、ステージレースで言えばステージ優勝狙いの逃げが決まりやすい日でもある。その中で、ランキング争いに絡まないチーム勢の動きが消極的だったことも、非常に残念な点であった。そういったチームの選手の中には、来シーズンの所属チームを探している「就活中」の選手もいたはず。格好のアピールの場でチャレンジし、自身の走りで次のチャンスを掴もうとする選手がいなかったことも残念だった。

 今シーズンのJプロツアーは残り5戦。ランキング争いも含めて、この後の5戦でどのようなレースが繰り広げられ、どんな結果が待ち受けているのか。その結末を楽しみにしたいところだ。次戦、第18戦は9月22日に、広島県中央森林公園で「第53回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」が行われる。Jプロツアーで最も高いレースレイティングのプラチナに設定されており、このレースの結果次第で年間ランキングにも大きな変動が出る可能性があるだけに注目だ。

Jプロツアー第17戦「第4回JBCF南魚沼ロードレース」リザルト
1 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) 3時間26分4秒
2 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO)+1分24秒
3 入部正太朗(シマノレーシング)+1分38秒
4 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
5 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)+1分39秒
6 孫崎大樹(チーム ブリヂストンサイクリング)+1分40秒
7 谷順成
8 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
9 米谷隆志(リオモベルマーレ)+1分41秒
10 木村圭佑+1分42秒

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