ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第20ステージポガチャル独走で3勝目、総合3位浮上・新人賞も獲得 ログリッチェがグランツール初制覇へ

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ2019は9月14日、第20ステージが行われ、総合争いの実質最終日となる山岳ステージで20歳のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が終盤アタックを決め、そのまま独走逃げ切りで今大会3勝目を挙げた。ポガチャルは総合3位に浮上し新人賞も獲得。総合首位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)はステージ5位に入り、ブエルタ初制覇を確実とした。新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)は52位で完走し、自身12回目のグランツール完走まであと1日になった。

20歳のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が独走逃げ切りで今大会3勝目 Photo: Yuzuru SUNADA

アスタナ勢が序盤から攻撃

 大会は残すところ2日間。第20ステージはアレナス・デ・サン・ペドロからプラタフォルマ・デ・グレドスに至る190.4kmで行われた。最終日は首都マドリードに向かうスプリントステージで、原則総合争いは行われないため、総合成績上位に関してはこの日が実質最終決戦となる。

 コースは6つのカテゴリー山岳が設けられ、序盤スタートから15km地点から登坂距離18.4kmの1級山岳、短い下りをはさんで9kmの2級山岳を連続してこなす。前半にはさらに2級山岳、中盤には3級山岳が登場。後半には14.2kmの1級山岳、そして最後は9.4kmの3級山岳の山頂ゴールとなる。このほかにも山岳ポイントの付かないアップダウンがひたすら続き、選手たちを休ませない。

最初の1級山岳で先行した集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート直後からアタックの打ち合いとなり、最初の1級山岳に入るところで9人がまず先行。上り途中で2人が合流して11人の逃げ集団となった。しかしメイン集団も容認ムードとはならず、アスタナ プロチームのアシスト選手が波状攻撃を仕掛けてハイペースを維持。ログリッチェを守るユンボ・ヴィスマのアシストがそれぞれアタックに反応して動きを潰していく。

 最初の1級山岳では逃げ集団でセルジオ・サミティエル(スペイン、エウスカディ・ムリアス)が先頭で通過。続く2級山岳でもメイン集団のアスタナの攻撃は止まない。数人が脱落しながらも先行する7人に対し、メイン集団は1分弱の差でペースを落とさず続いた。下りをはさんで3つ目となる2級山岳でもメイン集団ではアタックが頻発したが、上り後半でようやくメイン集団は一旦落ち着き、リーダーチームのユンボ・ヴィスマが集団先頭を押さえてコントロールする構図となった。先頭では2つ目、3つ目の山頂もサミティエルが先頭で通過した。

最初の1級山岳からアスタナ勢の波状攻撃が続いた Photo: Yuzuru SUNADA

 相次ぐ上りとメイン集団も含めたハイペースの展開により、逃げグループは早々に絞り込まれ、サミティエルのほかダミアン・ホーゾン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ)の4人に。ここにメイン集団から単独追い付いたタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス)が加わり、5人の先行集団となった。

ロペスが渾身のアタック

 序盤途中から降り始めた雨はレース中盤やや強くなり、選手たちの体力を奪う。レース前半は1分程度だった逃げとメイン集団の差は徐々に開き、一時は4分以上となった。このまま逃げとメイン集団を分ける展開に進むかと思いきや、ここで再びアスタナ勢が攻撃を開始した。

 アスタナ勢は4つ目の3級山岳から、固まってメイン集団先頭に立ちペースアップ。集団の人数を絞り込みながら逃げとの差を詰め、続く5つ目の1級山岳の上り口では先頭から2分差とした。1級山岳の上りに入ってからはアスタナ勢がさらに速度を上げ、山頂まで10kmでメイン集団は15人ほどまでになっていた。ここで満を持してアスタナのエース、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)がアタックを敢行。切れ味鋭いスピードで抜け出しを図るが、ここは総合首位のログリッチェがピタリと反応した。

ライバルの走りをマークする、総合首位のログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

 ロペスの攻撃は数度にわたり続くが、総合上位勢は抜け出しを許さない。レース序盤からアタックを続けてきたアスタナ勢だが、首位ログリッチェはアシストを全て失いながらも崩れる様子はない。総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、同3位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)、またポガチャルもロペスの動きにしっかり反応している。

ポガチャルが単独抜け出しに成功

 先頭ではゲオゲガンハート、ゲレイロの2人が抜け出す形となっていた。

先行してステージ優勝を狙ったゲオゲガンハートだが、逃げ切れなかった Photo: Yuzuru SUNADA

 ロペスのアタックがやや手詰まり感が出てきた頂上近く、山頂まで約2.5kmのところで、メイン集団ではポガチャルがアタックに出た。総合5位で新人賞ジャージを同4位のロペスと争うポガチャルだが、ロペスは攻撃疲れかこれに反応できない。他の総合勢もポガチャルを一旦見送り、その差は一気に広がった。

 ポガチャルは先頭の2人に一気に追い付くと、これを振り切って単独先頭で1級山岳の頂上を通過。新人賞を争うロペスをバーチャルで逆転した上に、さらにメイン集団との差を広げて、総合3位のキンタナまでを逆転するタイム差を付けた。

 ポガチャルは残り11.4km地点の中間スプリントを先頭通過してボーナスタイムも獲得。最後の3級山岳の上りに、単独先頭でメイン集団から約1分40秒の貯金を持って突入した。

耐えきったログリッチェの総合優勝が確実に

 上りに入ってもポガチャルの勢いは衰えない。メイン集団は総合2位、3位が危うくなったモビスター チームのアシストがけん引しているが、差は全く縮まらない。上りに入ってからはハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)らが波状攻撃を仕掛けて前を追う姿勢をみせる。

攻撃を仕掛けたロペスだが、終盤逆に失速 Photo: Yuzuru SUNADA

 ラスト3kmを前に、ついにバルベルデ自身が追走のアタック。ログリッチェ、総合6位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)らが反応するものの、ここに来てロペスの足が止まり付いていけず、またキンタナも脱落してしまう。

 先頭のポガチャルは止まらず逃げ続け、ラスト40km近くの独走の末に今大会3勝目を挙げた。グランツール初挑戦で、まだ20歳の今大会最年少選手。総合でも3位に浮上し、新人賞ジャージも確実とした。総合首位のログリッチェを祝うためであろうスロベニアの国旗は、新世代のスロベニアの勇者に向けてまず振られた。

スロベニア国旗の振られる中、フィニッシュ地点に現れたポガチャル Photo: Yuzuru SUNADA

 2位グループは1分32秒差で、今大会最年長選手のバルベルデを先頭にフィニッシュした。ログリッチェはゴール前で脚を緩め、安堵の様子でステージ5位。厳しい攻撃にさらされた最終決戦を切り抜け、自身初のグランツール総合優勝をほぼ手中に収めた。

今大会最年長39歳のバルベルデは、総合2位の座を守った Photo: Yuzuru SUNADA
総合首位を守り、安堵した様子のログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

 今大会最終となる第21ステージは、フエンラブラダからマドリードへの106.6kmで行われる。レース前半は実質パレード。後半はマドリードの市街地の、1周6kmの周回コースを8周する。最終フィニッシュを争うスプリンターの競演で、第74回ブエルタ・ア・エスパーニャはグランドフィナーレを迎える。

ログリッチェが自身初のグランツール総合優勝をほぼ手中に収めた Photo: Yuzuru SUNADA

第20ステージ結果
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 5時間16分40秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分32秒
3 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
4 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)
5 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +1分41秒
6 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +1分49秒
7 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)
8 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分56秒
9 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) +1分59秒
10 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)
52 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +14分24秒

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 80時間18分54秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分33秒
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +2分55秒
4 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分46秒
5 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +4分48秒
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +7分33秒
7 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +10分4秒
8 カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル) +12分54秒
9 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +22分27秒
10 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) +22分34秒
110 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +4時間13分18秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 155 pts
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 136 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 132 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 76 pts
2 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH) 44 pts
3 セルジオ・サミティエル(スペイン、エウスカディ・ムリアス) 42 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 80時間21分49秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分53秒
3 ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +20分0秒

チーム総合
1 モビスター チーム 240時間1分24秒
2 アスタナ プロチーム +51分38秒
3 ユンボ・ヴィスマ +2時間3分42秒

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