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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<38>海外自転車旅で欠かせないガソリンバーナーの選び方 日本人が気をつけるポイント

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 日本でキャンプツーリングをするならば、シングルガスバーナーが一番良いと思う。カセットガスボンベ缶タイプであればスーパーでもコンビニでも容易に手に入るし、OD缶(シングルバーナー用ガス缶)であっても一昔前よりは、ホームセンターなどにもずっと種類も豊富に取り揃っている。ところが、海外でキャンプツーリングをするとなると少し事情が異なってくる。

野宿中でも野菜や肉を使ってこだわって料理をするのは、日本人サイクリストが最も多かった Photo: Gaku HIRUMA

海外旅ではガソリンバーナーが有利

 ガスバーナー缶は多少嵩張るにせよ、最大のメリットはその軽さと取り扱いのし易さにある。当たり前だがすぐ火が付くので、簡単に自炊する時はもちろん、寒い時に休憩でさっと温かいお茶を作れたり、さらには煤も出ないので片付けも楽で非常に機動性に優れている。

 海外でもOD缶は手に入るのでガスバーナーでも旅できなくはない。実際僕も再出発の際に成田でガソリンバーナーを没収されてしまったので、アフリカはガスバーナーのみで旅をせざるを得なかった。幸いにもアフリカはサファリをはじめ、アウトドアのアクティビティが豊富なためか、首都ではOD缶が手に入って本当に助かったが、見つけた時には予備として大量に買い込まなければならず、嵩張るわ重いわで大変な思いをした。

アフリカで必死に探し回って手に入れたガスバーナー。店によって取り扱っているOD缶の種類が違うので、3種類のガスバーナーを持たざるを得なかった Photo: Gaku HIRUMA

 そこでやはりガソリンバーナーを選ぶ必要が出てくる。レギュラーガソリンで使用できるために、世界中で補給できるのが最大の魅力だ。僕は燃料ボトルは一番大きい30オンス(887ml)を使っていたが、燃料が無くなって困ることはほとんどなかった。

 満タンに入れておけば5日から1週間はもつので、ガソリンを販売している村までは充分たどり着ける。もしパッと見てガソリンスタンドが無くても地元の人に聞けば、敷地内でひっそりと販売しているような所もあったし、ペットボトルにガソリンが入っていて量り売りをしているような国もあった。

 また高地であろうと雨だろうと雪だろうと安定して使うことができるのも魅力で、自転車旅行向きだった。ガソリンバーナーも様々なメーカーから出ているが、長期で自転車旅行をするならば、やはりMSR社製のものが良いと思う。実際当時出会ったサイクリストのほとんどがMSRのバーナーを使っていた。

多くのサイクリストが愛用「MSR」

 理由はシンプルな構造にあった。ガソリンバーナーは通常ホワイトガソリンを使うことが推奨されている。ホワイトガソリンは純度が高く、煤がほとんど出ずに安定して燃焼するためだ。ところが海外では何リットルもあるホワイトガソリンの缶を持ち運ぶなんてもちろん出来ないので、上記の通りどこでも手に入るレギュラーガソリンを使う(付属のジェットを変えれば灯油も使える)。

 ただレギュラーガソリンは非常に煤が出る。これは「プレヒート」と呼ばれるガソリンを気化させるためにバーナー自体を熱する作業が必要になるからだ。バーナー自体がちょっとした炎に包まれるために不完全燃焼が煤を生み出す。新品のMSRのバーナーも一発で煤まみれになる。もちろん拭き取ればいいし、海外を長く走る身としては多少汚れていても全く気にしないのだが、問題はこの煤が内部で目詰まりを起こし、故障するということだ。

MSRガソリンバーナーの定期的なメンテナンスは必須で面倒だけど、そのタフさは非常に愛着がわく Photo: Gaku HIRUMA

 そこでこのMSRのシンプルな構造が非常に効果的なのだ。シンプルな上に完全にバラバラに分解でき、補修パーツやメンテナンスキットが細かく揃っていて荒野でバーナーが動かなくなっても、その場で修理やパーツの交換ができるので本当に長期旅行に向いていて心強かった。

長旅使用の条件は上手に米が炊けること

 MSRの中でも「ウィスパーライトインターナショナル」か「ドラゴンフライ」かのどちらかが人気があった。ウィスパーライトは昔ながらの定番商品。燃焼が静かでコンパクトだが、火力の調整ができない。一方ドラゴンフライはウィスパーライトに比べると嵩(かさ)があり、燃焼がとてもうるさい。ただ火力の調整ができるという点では非常に優れていてた。

 旅を終えた今、「どちらがおすすめですか?」と聞かれたら、相手が欧米人であればウィスパーライトインターナショナル、日本人であればドラゴンフライと答える。判断基準は米がうまく炊けるか炊けないかだ。アウトドアのコッフェルはチタンにせよアルミにせよ非常に薄く軽量に作られている。キャンプでも食にこだわりたい日本人にとって、薄いコッフェルを使い、ウィスパーライトの高火力で米を炊こうとすると焦げ付くか、芯が残るかという残念な結果になる。

MSRウィスパーライトインターナショナルで米を炊く。意外にこれが難しい。匂い、音、煙の色でベストな炊き上がりを判断する Photo: Gaku HIRUMA

 一日中走って疲れ果てたところに、うまい米が安定して食べられるかどうかは日本人サイクリストにとって非常に重要な問題だ。一方欧米人はパスタなどが主流なので、高火力で一気に湯が沸くウィスパーライトが使いやすい。

 ちなみに僕は出発等になんとなくウィスパーライトインターナショナルを購入したが、運よく厚いアルミのMSRのコッフェル「ブラックライト」(現在廃盤)を購入したので、高火力のウィスパーライトでも上手に米を炊くことが出来た。バーナーを選ぶ際はコッフェルとの相性も一緒に気にしてみると良いと思う。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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