ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第16ステージフルサングが逃げ切り独走で優勝 総合争いは首位ログリッチェ盤石のまま最終週へ

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ2019は9月9日、第2週の最終日となる超級山頂フィニッシュの第16ステージが行われ、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)が逃げ集団からラスト5kmで独走に持ち込み、自身初となるグランツールのステージ優勝を飾った。総合勢では首位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が、ライバルの先行を許さずマイヨロホを堅守。日本の新城幸也(バーレーン・メリダ)は区間144位でゴールした。

逃げ集団から最後単独抜け出したヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)が超級山岳ステージを制覇 Photo: Yuzuru SUNADA

“1日延長”の第2週クライマックス

 今大会2度目の休息日前日となるステージは、グランツールでは通常日曜日に行われるところ、第2週を“1日延長”して月曜日に設けられた。前日の第15ステージに続いての山頂フィニッシュの難関ステージ。プラビアからアルト・デラ・クビーリャ.レナに至る144.4kmは、途中に1級山岳を2つこなし、最後には超級山岳が待ち受ける。

 ラストに控える上りは平均勾配6.2%と、ブエルタに多い急勾配山岳ではないものの、公式距離が17.8kmととにかく長いのが特徴。実際はラスト20km手前から上りっぱなしで、スピードも出る比較的緩斜面であることから、同じ上りでもこれまでと違った選手が活躍しうるコースだ。

逃げ集団で好走を演じたノックス(左)とロペス Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート直後から、60km地点の最初の1級山岳に向けての主導権争いが始まった。

 10kmほどでジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ)ら4人の逃げが形成されるものの、後続も簡単に逃げを容認せず追走する選手が続出。メイン集団も大差を許さず、1級山岳頂上までは高速での駆け引きが続いた。

ブシャールが山岳賞ジャージを奪取

 先頭を逃げ続けた4人だが、1級山岳の中腹でついに追走集団が追い付き、20人超の大きな逃げ集団になった。この中には山岳賞争いで長く首位を走るアンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)と、同2位で逆転を狙うジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が含まれていた。

ブシャールが山岳賞ジャージを奪取 Photo: Yuzuru SUNADA

 1級山岳の頂上ではマドラソとブシャールの争いとなり、先行したマドラソをブシャールがかわして先頭で通過。山岳ポイントでついにマドラソを逆転することに成功した。

 メイン集団は先頭から2分45秒差で通過。リーダーチームのユンボ・ヴィスマがメイン集団のコントロールに入り、まずはペースを安定させる。

 一方の逃げ集団は、アスタナがフルサング、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム)と強力な布陣。またドゥクーニンク・クイックステップはノックスのほか、フィリップ・ジルベール(ベルギー)ら合計4人を送り込むことに成功。ほかにもトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)ら実績のある有力な選手が複数入り、逃げ切りとメイン集団に対しての“前待ち”を図る。

 2つ目の1級山岳は大きな争いは起こらず、山岳ポイントは再びブシャールがマドラソを制して先頭で通過した。メイン集団との差は6分を超え、先行集団の逃げ切り容認が濃厚となってきた。

フルサングがグランツール初勝利

 逃げ集団ではラスト30kmを切ったところで、デヘントがアタック。ジルベールら数人を引き連れて中間スプリントを先頭で通過するものの、簡単に先行することは許されず追走に吸収された。ラストの超級山岳の上り口で小競り合いが続いたものの、集団のまま本格的な上りへと突入した。

 長い上りの途中、ラスト10kmからはサンチェスが先頭に立ち、チームメートのフルサングのためにペースアップを開始。これにはフルサングのほか、ノックス、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)が付いて5人の先頭グループとなった。

満を持してアタックを決めたフルサング Photo: Yuzuru SUNADA

 ラスト7km手前からはフルサング自身がアタック。ブランビッラのみがこれに付いたが、フルサングはラスト5kmでブランビッラも振り切り、単独先頭に立った。

 フルサングの勢いは強力で、2番手はゲオゲガンハートが単独で追うが届く様子はない。そのまま霧に包まれたゴールへと単独で飛び込み、第1ステージのチームタイムトライアル以来となる、今大会チーム2勝目を挙げた。ツール・ド・フランスの総合優勝候補に挙げられるなど、ワールドツアーでの勝利経験も豊富なフルサングだが、意外にも自身初のグランツール区間優勝となった。

自身初のグランツール勝利を飾ったフルサング Photo: Yuzuru SUNADA
フルサングを単独追ったゲオゲガンハートだが2位と届かず Photo: Yuzuru SUNADA

ロペスの攻撃でバルベルデが後退

 一方のメイン集団は、一時は先頭から8分の差が付いていたが、最後の上りに入って徐々に差を縮めてきた。さらにユンボ勢に代わってアスタナ勢が集団先頭を占めて、急速にペースアップ。ここで総合5位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が後退してしまう。

 ラスト6kmで満を持して、総合4位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)が自ら動いた。緩斜面での切れ味抜群のアタックに、集団はログリッチェ、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)ら、総合上位勢にほぼ絞られた。

新人賞争いから一転協調体制となったポガチャル(先頭)とロペス(前から2番目) Photo: Yuzuru SUNADA

 後続、総合争いの集団では、ラスト4kmから再びロペスがアタックした。ロペスと新人賞を争うポガチャルがすぐに反応したものの、ログリッチェはやや離れて追走、さらにバルベルデは離れてしまった。ほどなくログリッチェはロペスらに追い付いたが、バルベルデとの差は縮まらない。総合2位のバルベルデの脱落で、総合3位のポガチャルと同4位のロペスの間に、今度は協調体制が生まれた。2人が先頭交代しながらバルベルデを引き離しにかかる。首位のログリッチェは2人に付いて盤石の走りだ。

 最終的に先頭から5分58秒差で、ポガチャル、ロペス、ログリッチェは一団でゴール。バルベルデは3人から20秒あまりを失ってゴールした。総合順位は入れ替わらなかったが、ログリッチェが総合2位との差を広げ、またバルベルデ、ポガチャル、ロペスによる総合表彰台争いがさらに僅差となった。またマイカが総合5位に浮上し、キンタナが同6位に後退している。

ログリッチェ、ポガチャル、ロペスは一団でゴール Photo: Yuzuru SUNADA
総合2位のバルベルデはこの日タイムを失った Photo: Yuzuru SUNADA
盤石の走りで総合首位をキープしたログリッチェは余裕の表情 Photo: Yuzuru SUNADA

 1日長いブエルタ第2週がようやく終わり、プロトンは2度目の休息日をブルゴスで迎える。休息日明けとなる第17ステージは9月11日、今大会最長となる219kmで行われる。山岳ポイントの無い平坦ステージに分類されているが、標高1000m前後の丘陵地帯でアップダウンをこなし、フィニッシュ地点はブエルタ特有の上りスプリントとなっている。

第16ステージ結果
1 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) 4時間1分22秒
2 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス) +22秒
3 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) +40秒
4 ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +42秒
5 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) +1分12秒
6 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) +2分9秒
7 ミケル・ビスカラ(スペイン、エウスカディ・ムリアス) +2分15秒
8 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +2分21秒
9 フィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分32秒
10 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
144 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +28分4秒

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 62時間17分52秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分48秒
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +3分42秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +3分59秒
5 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +7分40秒
6 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +7分43秒
7 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ) +10分27秒
8 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +10分34秒
9 カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル) +10分40秒
10 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +12分5秒
127 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +3時間3分47秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 117 pts
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 92 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 82 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 50 pts
2 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH) 40 pts
3 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス) 29 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 62時間21分34秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +17秒
3 ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +9分44秒

チーム総合
1 モビスター チーム 86時間6分3秒
2 アスタナ プロチーム +16分11秒
3 ユンボ・ヴィスマ +47分30秒

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