ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第15ステージ24歳クスが逃げ切りで自身初のグランツール区間優勝 盤石ログリッチェは総合首位を堅守

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャは9月8日、第15ステージが行われ、最後の1級山岳で独走に持ち込んだセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)が逃げ切り、自身初となるグランツールでのステージ優勝を飾った。プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は安定した走りでステージ8位となり、マイヨロホを堅守。新城幸也(バーレーン・メリダ)は15分1秒遅れのステージ56位でフィニッシュした。

前待ち作戦からステージ優勝に狙いを切り替え、見事に独走逃げ切り勝利を飾ったセップ・クス Photo: Yuzuru SUNADA

1級山岳4連発の難関ステージ

 第15ステージはティネオからサントゥアリオ・デル・アセボに至る154.4kmで争われた。アストゥリアス地方の険しい山々を通過するため、道中には4つの1級山岳が登場。最後は登坂距離7.9km・平均勾配9.7%のプエルト・デル・アセボの山頂へとフィニッシュするコースとなっていた。

 レースはスタート直後からアタック合戦が活発化。アスタナプロチーム、モビスター チームが序盤から積極的に逃げに乗るためのアタックを仕掛けたものの、決定的な動きにはつながらず。7km地点過ぎで、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム イネオス)のアタックを皮切りに、5人が集団から抜け出した。

モビスター勢が集団先頭でペースを上げる Photo: Yuzuru SUNADA

 この動きは一旦は容認され、タイム差が1分30秒程度に広がったが、モビスターがメイン集団を引いて逃げとのタイム差を削りにかかった。1級山岳に入ると、タイム差が30秒を切ってきた。上りの中腹で、メイン集団からマルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム)がアタック。2人ほど選手を引き連れて先頭グループを追い越していくと、ソレルが山頂を先頭通過した。

 下りに入ると、メイン集団から逃げに乗ろうとブリッジをかける選手が続出。下りきる頃にはヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム)、パヴェル・ポリャンスキ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、クスらが先頭グループに追いつき、17人の逃げ集団を形成。総合上位チームが1人ずつ逃げ集団に選手を送り込んだ。

 メイン集団をコントロールするユンボ・ヴィスマは、逃げ集団とのタイム差を最大4分程度に抑えながら、2つ目の1級山岳を通過した。

クスが逃げ切って、初の区間優勝

 3つ目の1級山岳に入り、残り50kmを切ったところで逃げ集団からセルジオ・サミティエル(スペイン、エウスカディ・ムリアス)が飛び出した。ダニエル・ナバーロ(スペイン、カチューシャ・アルペシン)、ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)がチェックに入り、3人が先行。山頂までに1分30秒ほどリードを築いた。

 サミティエルは2つ目の1級山岳に続いて、3つ目の1級山岳も先頭通過を果たす。しかし、長い下りに入ると、先頭と追走集団の差は徐々に縮小。タイム差が20秒程度まで縮まったところで、サミティエルが単独先行を開始した。

積極的な走りを見せたサミティエルは敢闘賞を獲得 Photo: Yuzuru SUNADA

 追走集団では、残り14km地点でキリエンカがアタック。サミティエルに追いつくと、2人はそのまま後続集団を45秒ほど引き離して、いよいよ最後の1級山岳に突入した。

 上りに入ってすぐとなる残り8km地点、またしてもサミティエルがアタックを仕掛けて、キリエンカを置き去りにした。

 しかし急勾配区間に入ると追走集団からクスがアタック。先頭を走っていたサミティエルを一気に抜き去って、独走に持ち込んだ。後続ではルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス)が追走を試みる。

 快調に上りつづけるクスは、残り3km地点でゲレイログループとのタイム差を30秒まで開いた。残り2km地点を通過しても、両者のタイム差は30秒のまま。さらにクスは後続とのタイム差を50秒まで広げてラスト1kmのアーチを通過。残り500mを切ったところで勝利を確信した。

最後は沿道の観客とハイタッチしながらフィニッシュするセップ・クス Photo: Yuzuru SUNADA

 クスは沿道の観客とハイタッチをしながら最後の上りを駆け上がっていき、山頂へフィニッシュ。ワールドツアー初勝利にしてグランツール初勝利となるステージ優勝を飾った。

ログリッチェが安定した走りを披露

 メイン集団は逃げ集団から4分ほど遅れて1級山岳に到達。1級山岳の上り口の位置取り争いが激しくなるなか、ユンボ・ヴィスマに代わって、アスタナ、モビスターが前に出てきた。

 すると残り7km地点、急勾配区間で2分25秒差で総合2位につけているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がアタック。ログリッチェがピタリとマークするも、総合3位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)ら、ほかの総合勢に動きはなかった。

 ポガチャルグループを十分に引き離したところで、ログリッチェはバルベルデとともにローテーション開始。総合上位のログリッチェにとって、前を引く義務はなかったが、バルベルデ以外の総合勢とのタイム差を開くために積極的な走りを見せていた。

この日も山岳で後退してしまったキンタナ(中央) Photo: Yuzuru SUNADA

 しばらくして、逃げていたソレルが前から合流し、バルベルデとログリッチェをけん引する格好となった。

 後方集団では、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナプロチーム)が先頭でけん引。すると、総合5位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が脱落。この集団内には総合3位のポガチャルのほか、同4位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)、同6位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が残るのみ。

 そのフルサングも残り3kmを前に仕事終了。ログリッチェグループとのタイム差を30秒にとどめる働きを見せた。

 すると、逃げいていたポリャンスキー、ヨン・イサギレが前から合流し、マイカ、ロペスのためにけん引を監視したが、アシストのいないポガチャルはすかさずアタックを仕掛けた。反応したのはロペスのみだ。ポガチャルとロペスは、前を行くログリッチェらを追いかけるというよりは、新人賞ジャージのマイヨブランコをめぐる争いを見せていた。

安定した走りで総合3位以降とのタイム差を拡大したプリモシュ・ログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

 ログリッチェグループでは、残り500mを切ったあたりでログリッチェが加速。バルベルデを振り切るまでには至らなかったものの、後続とのタイム差をさらに広げてステージ8、9位でフィニッシュした。

ロペス(前)、ポガチャルは総合首位とのタイム差が広がってしまった Photo: Yuzuru SUNADA

 続いてポガチャルもロペスを振り払おうと、残り500mを切ったあたりでアタックを仕掛けたものの、ロペスも食らいついた。最後は2人同タイムでフィニッシュ。ポガチャルはマイヨブランコを守りきったものの、個人総合争いにおいてはログリッチェから41秒遅れる結果となった。

 翌第16ステージは、プラビアからアルト・デラ・クビーリャ.レナに至る144.4kmにて争われる。1級山岳2つを越え、最後は登坂距離17.8km・平均勾配6.2%の超級山岳の山頂へとフィニッシュする難関ステージだ。2分以上先行するログリッチェに対して、モビスター、アスタナがどう攻撃を見せるのか注目だ。

第15ステージ結果
1 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) 4時間19分4秒
2 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) +39秒
3 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス) +40秒
4 オスカル・ロドリゲス(スペイン、エウスカディ・ムリアス) +53秒
5 マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ) +1分49秒
6 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +2分5秒
7 ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト) +2分11秒
8 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分14秒
9 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
10 サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル) +2分48秒
56 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +15分1秒

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 58時間10分32秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分25秒
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +3分42秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +3分59秒
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +5分9秒
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +7分14秒
7 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ) +9分8秒
8 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +9分15秒
9 カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル) +9分44秒
10 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +11分39秒
125 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +2時間41分41秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)

山岳賞(モンターニャ)
1 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)
2 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)

新人賞(マイヨブランコ)
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 58時間14分14秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +17秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +9分46秒

チーム総合
1 モビスター チーム 173時間42分40秒
2 アスタナ プロチーム +28分50秒
3 ユンボ・ヴィスマ +45分31秒

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