ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第11ステージラスト25kmを独走した27歳イトゥリアがプロ初勝利 バスク地方のレースで地元選手が躍動

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャは9月4日、第11ステージが行われ、残り25km地点から独走に持ち込んだバスク出身のミケル・イトゥリア(スペイン、エウスカディ・ムリアス)が劇的な逃げ切りを決め、プロ初勝利となるステージ優勝を飾った。逃げ切りを容認したメイン集団はゆっくりとフィニッシュし、マイヨロホのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)ら総合勢に順位変動はなかった。新城幸也(バーレーン・メリダ)も18分35秒遅れのメイン集団内でフィニッシュした。

地元バスクのレースで劇的逃げ切りを決め、プロ初勝利を飾ったミケル・イトゥリア Photo: Yuzuru SUNADA

自転車競技が盛んなバスク地方でのレース

 レースはフランスのサン=バレから、スペインのウルダクス=ダンチャリネアに至る180kmで争われた。世界的にも自転車競技が盛んなバスク地方に分類される地域でレースが行われた。バスク地方の丘陵地帯を通過する道中にはカテゴリー山岳が3カ所登場。フランスとスペインの国境に位置する123km地点にある2級山岳コル・ディスペギーは登坂距離7.2km・平均勾配7.1%となっており、スプリンターにとっては厳しい上りであった。一方でステージ全体の難易度は低めになっており、逃げ切りにおあつらえ向きのコースとなっていた。

4賞ジャージ着用者を先頭にスタート地点に並ぶ選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタートして10kmほど経過したあたりで、10人以上の選手が集団からリードを築いた。徐々にタイム差が広がり、また先頭集団にブリッジしてきた数人の選手を加えた14人の逃げ集団が形成。

 メンバーには山岳賞ジャージを着用するアンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)、ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナプロチーム)、ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト)、アレックス・アランブル(スペイン、カラフラル・セグロスエレヘアー)らが含まれていた。

レース前、ボードに出走サインをする新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 最も総合成績が良いベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)でも37分8秒遅れであるため、メイン集団は逃げを完全に容認。すぐに6分以上にタイム差が広がった。

 メイン集団ではリーダージャージを保有するユンボ・ヴィスマがコントロールするなか、中盤まではタイム差が6〜7分程度に抑えられていたが、勝負どころである2級山岳コル・ディスペギーに到達するころには、10分を超えてきた。逃げ切りが濃厚となるなか、先頭集団ではステージ優勝をめぐる争いが始まった。

2・3級山岳でアタックの打ち合い

 山頂まで残り2kmを切ったポイントで、バスク出身のイサギレがアタック。同じくバスク出身のアランブルと共に集団から抜け出した。

 ペースが上がったことで、山岳賞ジャージのマドラソが集団から脱落。この日は1つ目の3級山岳で先頭通過した3ポイントの獲得のみとなった。

前日の個人タイムトライアルで3位となったレミ・カヴァニャ Photo: Yuzuru SUNADA

 2級山岳の山頂はアランブルが先頭通過。3番手通過したクラドックが、ダウンヒルで先頭2人に追いつき、3人が先行する展開に。

 3級山岳に入ると、さらに数人の選手がブリッジ。先頭集団はアマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ)、ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)を加えた5人となった。

 しかし、3級山岳の山頂を越えたところで、イサギレとゲブレイグザブハイアーが少し遅れてしまう。そこへマッテオ・ファッブロ(イタリア、カチューシャ・アルペシン)、フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が追いつき、4人で先頭3人を追走。下りきったところで先頭を捉えた。

 さらに、ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルラル・セグロスエレヘアー)、レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、バンジャマン・トマ(フランス、グルパマ・エフデジ)、ホルヘ・アルカス(スペイン、モビスター チーム)、イトゥリアが先頭に追いつき、集団は12人まで人数を戻した。

イトゥリアの劇的な逃げ切りが決まる

 残り25km地点、集団復帰を果たしたばかりのイトゥリアがアタック。一瞬の隙を突かれた集団は、誰一人として反応することができず。11人の追走集団は積極的に前を追う選手が現れずお見合い状態に陥った。イトゥリアは後続とのタイム差を開いて、残り16km地点で45秒差まで広がった。

 残り14km地点、上り区間を利用したアランブルのアタックを皮切りに、追走集団が活発化。アランブルのアタックは不発に終わるも、続いてチームメイトのラストラのアタックは成功し、集団からリードを築いた。

逃げ切りが確定し、落ち着いた1日を過ごしたマイヨロホのプリモシュ・ログリッチェ Photo : Yuzuru SUNADA

 そこへ、ゲブレイグザブハイアー、ホーゾン、ビダール、クラドックが追いついて、5人が先頭のイトゥリアを追いかける展開となった。残り7.5km地点でイトゥリアと追走集団とのタイム差は15秒ほどだった。アタック1回で追いつけるくらいの秒差であるが、追走5人はなかなか思い切った動きをとることができず、タイムを縮めることができずにいた。

 残り5kmを切ると、5人はようやく協調開始。ローテーションを回してイトゥリアとのタイム差を削りにかかり、残り3kmで10秒まで縮めた。

 残り2km地点のラウンドアバウトを使ってホーゾンがアタックを仕掛けると再び協調体制は崩壊。追走集団からは散発的にアタックが繰り返されるなか、先頭のイトゥリアは逃げ切りを目指してひたすらペダルを回していた。

 すると、アタック合戦によって結果的にペースの上がった追走集団は、残り1kmのアーチをくぐった時点でイトゥリアとのタイム差を5秒程度まで縮めてきた。

 しかし、フィニッシュに向けて500mほど下る地形がイトゥリアに味方した。下りに入ったことでペースを上げづらくなった追走集団は再びお見合い状態に。そうして、イトゥリアは最後の最後になって、ようやく後方を振り返って勝利を確信。地元バスクで見事な逃げ切り勝利を飾った。さらに27歳のイトゥリアにとって、グランツール初勝利となっただけでなくプロ初勝利となった。

フィニッシュ後、メディアの取材対応をするミケル・イトゥリア Photo : Yuzuru SUNADA
ステージ優勝の表彰を受けるミケル・イトゥリア Photo: Yuzuru SUNADA

 ログリッチェら総合勢は、逃げ切りが確定したことでゆったりとしたサイクリングペースを刻み、18分35秒遅れでフィニッシュ。総合上位陣に順位変動はなかった。

 翌第12ステージは、ナバラ・サーキットからビルバオに至る171.4kmの丘陵ステージだ。第11ステージと同様に逃げ切りに向いたステージであるものの、ラスト7.6km地点に設定された3級山岳は登坂距離2.2kmながら、平均勾配12.2%の激坂となっている。そして、山頂から下ってフィニッシュするため、タイム差をつけやすいコースレイアウトである。この日とは打って変わって、総合争いも繰り広げられるだろう。

第11ステージ結果
1 ミケル・イトゥリア(スペイン、エウスカディ・ムリアス) 4時間36分44秒
2 ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルラル・セグロスエレヘアー) +6秒
3 ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト)
4 ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
5 フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
6 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +9秒
7 バンジャマン・トマ(フランス、グルパマ・エフデジ) +12秒
8 マッテオ・ファッブロ(イタリア、カチューシャ・アルペシン)
9 ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム)
10 レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
59 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +18分35秒

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 41時間0分48秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分52秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +2分11秒
4 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分0秒
5 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +3分5秒
6 カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル) +4分59秒
7 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +5分42秒
8 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ) +5分49秒
9 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) +6分7秒
10 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +6分25秒
143 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +1時間53分32秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
2 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)

山岳賞(モンターニャ)
1 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)
2 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)

新人賞(マイヨブランコ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 41時間2分59秒
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +54秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +7分56秒

チーム総合
1 モビスター チーム 122時間11分23秒
2 アスタナ プロチーム +21分54秒
3 ユンボ・ヴィスマ +36分26秒

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