ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第13ステージポガチャルが今ブエルタ2勝目、超級山岳ステージを制す 首位ログリッチェは自ら攻撃

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 第74回ブエルタ・ア・エスパーニャの第13ステージが9月6日に行われ、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が優勝を飾った。ボーナスタイムも獲得し、総合は3位にアップした。首位のマイヨロホは、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がキープ。 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)は、99位でゴールした。

20歳の若手がブエルタ2勝目を飾る Photo: Yuzuru SUNADA

終盤に超級山岳が登場

 第13ステージは、ビルバオからロス・マチュコス・モヌメント・バカ・パシエガまでの166.4km。3級山岳を4つ、2級を2つクリアした後に立ち向かうのが、ラストに現れる距離6.8km、平均勾配9.2%の超級山岳。ほとんどの個所が勾配10%以上、最大勾配は20%を超える。

 個人タイムトライアルでログリッチェとタイム差をつけられたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)にとっては逆転のチャンス。勝負のステージになるだろう。

 スタート後、パウェル・ベルナス(ポーランド、CCCチーム)、ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)、ワウト・プールス(オランダ、チーム イネオス)の3人が逃げるが、後ろが吸収。再び集団は一つになる。

前日勝利したジルベールはこの日も逃げに乗る Photo: Yuzuru SUNADA

 その後、逃げが決まったのは最初の3級山岳だった。この上りを利用して、プールスがアタック。その動きに多数の選手が反応し、昨日同様30人近い大逃げが出来上がる。メンバーはプールス、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)といった逃げの有力勢のほか、昨日逃げ切り勝利したフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)の姿も。複数人の選手を乗せるチームも見られた。

 しかし、レースが安定することはなかった。この逃げから更に新たな動きが生まれ10人近い選手が飛び出したり、デヘントやプールス含む6人の逃げが出来たり。激しいアタックが繰り返される。一方、ログリッチェ擁するユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団は、8分程後ろに。ステージ優勝は逃げで争い、後ろで総合の勝負が繰り広げられる展開も考えられた。

逃げ屋デヘントも積極的に逃げた Photo: Yuzuru SUNADA

アスタナが攻撃

 激しいアタック合戦の末、先行集団から単独抜け出したのは、セルジオ・サミティエル(スペイン、エウスカディ・ムリアス)。残り50km、逃げ切り勝利の可能性は0%に近いが諦めるわけはない。単独でゴールを目指していた。この時、サミティエルの1分程後ろには約20人の残された逃げ。さらに8分程後ろにメイン集団と続いていた。

奮闘したアルミライル Photo: Yuzuru SUNADA

 先行集団の逃げ切りが濃厚かと思われたが、メイン集団で動きが出る。残り30km、3級山岳の上りでアスタナが束になってペースアップ。戦いのゴングが鳴る。アスタナの牽引は強烈で、タイム差はみるみる短縮、遅れ始める選手も見られた。だが、首位のログリッチェを擁するユンボ・ヴィスマ勢はしっかりとこの動きについてきていた。

 一方の先頭でも動きが。残り20km、追走にいたブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ)が単独で追い上げる。その走りが実り、超級山岳の上りの6km地点でとうとうサミティエルをキャッチ。ここまで懸命に逃げ続けたサミティエルはドロップしてしまう。

懸命に逃げたラトゥール Photo: Yuzuru SUNADA

 単独先頭となったアルミライル。だが、その逃げが許されたわけではなかった。アルミライルが追い上げている最中にも、追走のピエール・ラトゥール、ジョフリー・ブシャール(ともにフランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト)らが積極的に追い上げていた。その追走の中で一番脚があったのがラトゥール。単独でアタックし超級山岳の4.6km地点でアルミライルに追いつき、ラトゥールが単独先頭となる。

 だが、追走の更に後ろにいるペースアップも強烈だった。アスタナの牽引は力強く、オマール・フライレ(スペイン)、ヤコブ・フルサング(デンマーク)、ルイスレオン・サンチェス(アスタナ プロチーム)らエース級の選手によるアシストで、一時は8分以上あったタイム差が1分程に縮まっていた。こうなってくると有利なのはロペス。だからこそ、バルベルデ、キンタナ、ポガチャルは黙っているわけにはいかなかった。

総合勢のガチンコ勝負

 キンタナがアスタナの牽引に待ったをかけるように、いち早くアタックを仕掛けたのだ。キンタナは先行したものの、ログリッチェ、ポガチャル、ロペス、バルベルデ、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)はすかさずキンタナを追走。キンタナは程なくして吸収される。

 残り約3km地点で、先頭はラトゥール、1分程後ろにログリッチェやロペス、ポガチャルら総合勢が集まるメイン集団という構図。ラトゥールの逃げ切りは厳しい状況になる。

スロベニア旋風が巻き起こる Photo: Yuzuru SUNADA

 それでも逃げ切りを狙うラトゥール、勾配20%超え区間も多数登場する超級山岳を必死に上る。だが、メイン集団はそのラトゥールの動きを許さなかった。残り2.5km、ログリッチェがアタック。リーダー自ら動きレースを動かす。この動きにポガチャルはついていけた一方で、キンタナ、ケルデルマン、バルベルデ、マイカは遅れ始める。アシストが奮闘したロペスまでもついていけなかった。

バルベルデ、キンタナらはログリッチェから遅れてしまう Photo: Yuzuru SUNADA

 ログリッチェ、ポガチャルのスロベニアコンビは激坂でも快調なペダリングを見せ、前とのタイム差を詰める。そして、残り1.4km、ここまで懸命に逃げたラトゥールをキャッチ。そのまま抜き去り、ステージ優勝はログリッチェとポガチャルに絞られる。

 超級山岳の山頂も2人でクリア。ここで終わりではなく、ゴールまでは数百mの下りだ。先に仕掛けたのは20歳のポガチャルだった。ポガチャルはそのまま先行、見事先頭でフィニッシュラインを通過した。今年ワールドツアーチーム入りしたばかりのポガチャル、初のグランツールとなる今回のブエルタで見事ステージ2勝目をあげた。

 タイムトライアルでアドバンテージを築きながらも今ステージで自ら仕掛けたログリッチェは2位でゴール。マイヨロホを守った。一方、バルベルデ、キンタナは27秒遅れ、ロペスに至っては1分1秒の遅れでゴール。タイムを失う厳しいステージとなった。

総合首位のログリッチェ。ライバルとの差をさらに開くことに成功した Photo: Yuzuru SUNADA

第13ステージ結果
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 4時間28分26秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +0秒
3 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +27秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
7 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分1秒
8 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) +1分8秒
9 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム)
10 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)
99 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +20分4秒

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 49時間20分28秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分25秒
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +3分1秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +3分18秒
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分33秒
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +6分15秒
7 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ) +7分18秒
8 カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル) +7分33秒
9 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +7分39秒
10 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) +9分58秒
135 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +2時間25分3秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)
3 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)

山岳賞(モンターニャ)
1 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)
2 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)

新人賞(マイヨブランコ)
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 49時間23分29秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +17秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +8分51秒

チーム総合
1 モビスター チーム 47時間10分3秒
2 アスタナ プロチーム +25分51秒
3 ユンボ・ヴィスマ +43分44秒

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