リカバーは“入眠後90分”が勝負 疲れが抜けないサイクリスト必見! 睡眠の質に差をつける「寝具選び」とは?

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 睡眠時間は確保できているのに、朝目覚めたときに「ライドの疲れが抜けていない」と感じたことはありませんか? もしかするとそれは「質の良い睡眠」がとれていないからかもしれません。睡眠は「体を修復する時間」といわれており、最近はアスリートの間でも眠りの「質」を重視する人が増えています。寝ている間にどのような体づくりが行われ、睡眠の質がそれにどう影響するのか、そして質の良い睡眠を得るためにどうしたら良いのか─。それぞれの疑問について、管理栄養士の河南こころさんと、睡眠・寝具選びのスペシャリスト「マニフレックス」の山口加奈子さんに話を伺いました。

リカバーに必要な「質の良い眠り」とは? Photo: iStock.com/Nattakorn Maneerat

睡眠中に分泌される成長ホルモン

Q.体作りにおいて睡眠は栄養摂取と並ぶくらい重要なのですか?

河南:職務上、選手たちの体作りを栄養面でサポートする立場ですが、体づくりには摂った栄養を体内で活用する睡眠の時間がとても重要です。運動・栄養・休養(睡眠)は「健康の3要素」と呼ばれ、健康づくりには欠かせないものとされています。

 最近はトップアスリートの間で睡眠がリカバーや体づくりに大きく関与することが認識され始めており、中ではマットレスや枕などを選び、遠征先にも持参して睡眠環境を整える人も増えてきています。一方で、一般的には運動と栄養の重要性はかなり認識されるようになってきましたが、休養(睡眠)に関してはまだまだ認識されていないと感じています。

河南こころさん。管理栄養士。女子フィギュアスケートバンクーバー五輪銀メダリスト、男子バレーボールVプレミアリーグ所属チーム、ラグビートップリーグ所属チームなどを栄養面からサポート。ロードレースチームの「シマノレーシング」を担当していた経歴をもち、現在も「シマノ鈴鹿ロードレース」で開催される栄養講座の講師を務めている 提供:

Q.睡眠中に体内で何が起きているのでしょうか?

河南:「成長ホルモン」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、睡眠中はその成長ホルモンが分泌されています。その名の通り成長に関わるホルモンで、骨や筋肉をつくり身長を伸ばす、いわば体づくりにとても重要な役割を持っています。また、成長ホルモンは脂肪を分解する働きもありますので、痩せたい人にも成長ホルモンは必要不可欠でしょう。

一般的に約90分周期でノンレム睡眠とレム睡眠の組み合わせが繰り返され、最初の90分が成長ホルモンが最も分泌される「ゴールデンタイム」と呼ばれる

 質の良い睡眠に欠かせないのが「メラトニン」というホルモンです。夜に眠たくなるのはこのメラトニンの働きで、これをたくさん分泌させるには「セロトニン」というホルモンが必要となります。太陽の光を浴びるとセロトニンの合成が活発になりますが、セロトニンの材料となるのが「トリプトファン」です。

「快眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンは、アミノ酸の一種トリプトファンから生成される

 トリプトファンはアミノ酸なので、タンパク質を多く含む食品がオススメです。サイクリストの方々はエネルギー補給として炭水化物をしっかり摂られると思いますが、食事の時にもしっかりとタンパク質源も摂るように心掛けてください。肉や魚、卵、大豆製品はもちろん、乳製品やナッツ類、バナナもオススメです。ヨーグルトにバナナを入れたり、砕いたナッツをサラダにトッピングしても良いですね。

Q.睡眠時間は摂った栄養を使ってメンテナンスする時間なんですね。

河南:日々の疲れが蓄積した時はもちろん、風邪をひいた時にたっぷり寝るよういわれることがあるように、睡眠はリカバーを助けてくれます。また、睡眠中は脳もメンテナンスされます。その日あった出来事や学んだことを整理して記憶に残すようにしたり、逆にストレスの原因となる不必要なことは削除されるようになっているとか。「嫌なことは寝て忘れる」というのは本当だったようです。

 1日24時間、限りある時間の中でやりたいことを優先すると睡眠時間を削りがちですが、「メンテナンスタイム」あるいは「体を仕上げる時間」と考えてしっかり確保しましょう。レース等で好成績を目指してトレーニングに励むサイクリストの方々にとってはもちろん、日々楽しく自転車に乗る人にとっても睡眠はとても大切なものです。

安眠を妨げるのは「寝返り」と「蒸れ」

 睡眠とリカバーの関係を学んだところで、次の疑問は「質の良い眠り」を得る寝具の選び方だ。睡眠にこだわるアスリートたちから支持を集めているイタリア生まれのスプリングレス・マットレスのトップブランド「マニフレックス」の製品を体験できる東京・表参道のショールームをたずねた。

東京・表参道にあるマニフレックスのショールーム。専門のアドバイザーから説明を受けながらマニフレックスの全ラインを試すことができる ©magniflex

 マニフレックスの創業者は自転車のプロロードレーサーだった故ジュリアーノ・マニ氏。現役選手時代に相次ぐケガや故障に悩まされていた経験をもとに、スプリングをまったく使用しない高反発マットレスを開発したことがルーツにある。以来、国立フィレンツェ大学とエルゴノミクス(人間工学)に関する共同研究を進め、敷き寝具全般、枕や関連商品など睡眠と健康に関わるアイテムをトータルでプロデュースしている。

マニフレックスの日本総代理店であるフラグスポートの山口加奈子さん Photo: Kyoko GOTO

 同社の日本総合代理店であるフラグスポートの山口加奈子さんによると、睡眠の質に大きく影響するのが敷寝具で、その選ぶポイントは「いかに眠りを妨げる要素がないか」を見極めること。その要素の1つが寝返りだ。寝返りは血流やリンパの流れが滞ると、それを解消しようとして生じる動き。寝返りを打つとそのたび眠りが浅くなるため、その回数が多いほど安眠が妨げられ、眠りが浅くなる。

 では、なぜ血流が悪くなるのか。それは寝ているときの「体圧」にある。山口さんによると、理想の寝姿勢とは立っているときの背骨の自然なカーブをそのままに保つ姿勢。立っているとき足にかかっている全体圧は、横になると頭頸部、背中、腰へと分散される。敷寝具が体に合わず、柔らかすぎたり硬すぎて体圧をうまく分散できないと特定の部位が圧迫され、寝返りを繰り返すだけでなく、その部分の不調を招く原因にもなるという。

理想的な寝姿勢とは、立っているときの背骨の自然なカーブをそのまま保つ姿勢。立った状態で脚に100%かかっている体圧を頭部、肩、腰、脚に分散させる必要がある ©magniflex

 理想的な体圧分散を図る上で山口さんが注意を促すのが「低反発フォーム(芯材)」だ。低反発の芯材は重さによって“底付き”しやすく、また反発力が低いために身体の重たい部位を支えきれず、腰が落ちた状態での睡眠姿勢を強いられる恐れがある。また、構造上空気を通さないため、安眠の大敵となる湿気や汗などによる「蒸れ」が起こりやすいという。

 対して「高反発フォーム」は体圧を分散しながらも下からしっかりと支え上げ、蒸れにくい構造になっている。高反発フォームにも柔らかめ~硬めのタイプがあるが、山口さんによると「一般的にはスリムな方には柔らかめ、標準体型の方は中程度、がっちり体型の方や筋肉質なアスリートには硬めが適しているといわれています」とのこと。ただ、硬さ・柔らかさについては個人の好みも大きく関わるため、現在使っている寝具を基準にどう改善したいのかを相談しながら調整するという。

最適な体圧分散を生み出す「エリオセル」

 そんな高反発フォームの中でもマニフレックスが支持を集める理由が、独自に開発した高反発フォーム「エリオセル」だ。エリオセルの最大の特長は「しっかりと押し返す力」。フォームを生成する素材の配合やエアホール(空気孔)を設けることで、硬すぎず、柔らかすぎない最適な体圧分散を生み出し、快適な感触・寝心地を実現する。

高い反発力と「オープンセル分子構造」による優れた通気性をもつマニフレックスの高反発芯材フォーム「エリオセル」 ©magniflex
「エリオセル」を使用した寝具で寝た状態。体圧が集中せずに分散され、広い面で支えているため、血液やリンパの流れを阻害しない ©magniflex

 エリオセルの体圧分散性能を体感できるのが、マニフレックスのベストセラーを誇る三つ折りマットレス「メッシュ・ウィング」だ。体全体が密度の濃いマットに吸い込まれるようにしっくりと包まれ、体の接地面がバランスよく支えられる感覚に定評がある。持ち運びもしやすく、愛用しているアスリートには休憩用のマットレスとして携行する人もいるという。

マニフレックスのベストセラーを誇る三つ折りマットレス「メッシュ・ウィング」に「カモ柄」(日本限定)が登場 ©magniflex
折りたたんだ状態。キャリーハンドルが付いているので、折りたたんだ際の持ち運びにも便利 ©magniflex

 実際に、昨年の「伊豆大島 御神火ライド」の会場に設けられた「マニフレックス体験ブース」で、メッシュ・ウィングの寝心地を体験したサイクリストからも好評を博していた。

昨年の「伊豆大島御神火ライド」に設けたマニフレックスブースで高反発マットレス「メッシュ・ウィング」の寝心地を体験する参加者 Photo: Kyoko GOTO

安眠をサポートするマットレス「オクラホマ」

 メッシュ・ウィング単体でも使用できるが、その上にさらに異なる3種類の高反発素材を重ね、トータル23cmという厚みを実現したマットレス「オクラホマ」が新たにラインナップした。

トータル23cmというリッチな厚みを実現したマニフレックスの「オクラホマ」。理想的な体圧分散でしっかり身体を支え上げる ©magniflex
芯材フォームには高反発性と優れた復元性・耐久性を持った「エリオセル」を使用。さらに側地には、異なる硬さの「エリオセルMF」や「エリオセル」、「エリオファイバー」といった各種素材を内包 ©magniflex

 厚み17cmのエリオセルと、より柔らかく高密度に仕上げた「エリオセル・マインドフォーム(MF)」をファイバー状の高反発素材で挟みこんだ構造。エリオセルのもつ通気性・体圧分散性をさらに高めた快適なマットレスで、さらに表面には光沢のある「ヴィスコース」という高級素材を採用し、リッチなモデルに仕上げた。表・裏で層の厚みが異なり、購入後に使用感を確認しながら好みの硬さ・柔らかさを選べるのも嬉しいポイントだ。

高級エコ素材「ヴィスコース」の側地。側面のセンターメッシュで通気性も抜群 ©magniflex
裏地パイピングで型崩れしない設計。ジッパーで取り外せて、ドライクリーニングも可能 ©magniflex

持ち運べる安眠枕が新登場

 もう一つ、安眠に欠かせないのが枕だ。「枕が変わると寝付きが悪くなる」という話があるように、睡眠中に頭頸部にかかる圧力の変化は眠りに大きく影響する。そんな“枕問題”を解消しようとマニフレックスが開発したのが「ピローサンパウロ」だ。

芯材にエリオセルMFを使用した「ピローサンパウロ」。頭を乗せる位置や方向を選ばないノンシェイプ構造 ©magniflex
コンパクトサイズながら、しっかりと頸椎のカーブにフィット ©magniflex

 芯材に採用した「エリオセルMF」が頚椎の形状にしっかりフィットし、最適なカーブを作り出す。芯材そのものが通気性に優れている上に、芯材全体に200個ものエアホールを設けることで蒸れによる不快感を解消。また温度によって硬さが変化しないため、通年で快適な睡眠環境を提供する。

 定評あるサポート性能はそのままに、このほど新たに50×26×5cmサイズのコンパクトモデルが登場。「連れて行く熟睡」というキャッチコピーの通り、付属の「トラベルロール」にくるくる巻いて持ち運ぶことができる仕様になっている。

付属のトラベルロールを使えば、ピローケースに入れた状態で本体を丸めることが出来る ©magniflex

 睡眠を重視するアスリートには、遠征先でもベストなパフォーマンスを発揮できるよう愛用の枕を携行する選手も少なくないが、ベストを尽くしたい思いはホビーレーサーであっても同じだろう。旅先のホテル等で枕の高さが合わず、翌朝ベストなコンディションを迎えられないという悩みをもつ、あるいは経験があるサイクリストはピローサンパウロを普段使いの選択肢に加えてみてはいかがだろうか。

■オクラホマ
サイズ:シングル、セミダブル、ダブル、クイーン
カラー:ホワイト、ブルー、ピンク
税抜価格:58,000円(シングル)~

■カモ・ウィング
サイズ:シングル、セミダブル、ダブル
カラー:グレー、グリーン、ブルー
税抜価格:31,350円(シングル)~

■ピロー サンパウロ
サイズ:W50 × D26 × H5(cm)
税抜価格:12,500円~

マニフレックス表参道ショールーム

所在地:東京都港区北青山3-5-5-2F
営業時間:平日10:00〜18:00、土日祝11:00〜19:00
アクセス:東京メトロ表参道駅A3出口より徒歩約4分

マニフレックス大阪ショールーム

所在地:大阪市中央区瓦町3-6-5 銀泉備後町ビル1F
営業時間:平日10:30〜19:00、土日祝11:00〜19:00
アクセス:大阪市営地下鉄「御堂筋線」本町駅1番出口より御堂筋を北へ徒歩3分

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