ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第9ステージ20歳ポガチャルが大荒れの難関山岳ステージ制覇 キンタナが首位浮上、4位まで20秒差の接戦

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャは9月1日、第9ステージが行われ、ラスト3kmで独走に持ち込んだ20歳のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)がグランツール初勝利となるステージ優勝を飾った。ステージ2位に入ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)がマイヨロホを獲得。新城幸也(バーレーン・メリダ)は32分25秒遅れのステージ144位でフィニッシュした。

グランツール初出場の20歳、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が難関ステージを制してグランツール初優勝 Photo: Yuzuru SUNADA

38人の大逃げ集団が形成

 集団一行はアンドラ公国へと入国し、第9ステージはアンドラ・ラ・ベリャからコスタルス・デンカンプへと至る94.4kmにて争われた。スタート直後から1級山岳コル・ドルディーノ(登坂距離8.9km・平均勾配5%)を上り、下ったあとは超級山岳コル・デ・ラ・ガッリーナ(登坂距離12.2km・平均勾配8.3%)が登場し、最後は2級山岳2つ登って、4kmの未舗装路区間を通って、ラスト1級山岳アルト・エルス・コスタルス・デンカンプ(登坂距離5.7km・平均勾配8.3%)へとフィニッシュする非常に難易度の高いステージとなっていた。

ウォーミングアップをするマイヨロホのエデ Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート直後から逃げの打ち合いとなっていた。総合を争うアスタナプロチームはオマール・フライレ(スペイン)、ヤコブ・フルサング(デンマーク)、ゴルカ・イサギレ(スペイン)。モビスターチームはアントニオ・ペドレロ(スペイン)、マルク・ソレル(スペイン)。ユンボ・ヴィスマはロベルト・ヘーシンク(オランダ)、セップ・クス(アメリカ)、ニールソン・ポーレス(アメリカ)を逃げに送り込んだ。

 逃げメンバーのなかで最も総合成績が良いのは、3分45秒遅れのカールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル)だった。ドゥクーニンク・クイックステップ、カハルラル・セグロスエレヘアー以外の20チームが逃げに選手を送り、計38人の逃げ集団が形成された。

 メイン集団はモビスターがコントロールし、残り50km地点、超級山岳のふもとではタイム差が4分程度に抑えられていた。

アスタナの前待ち作戦が見事に決まる

 超級山岳に入ると、大所帯の逃げ集団がペースアップ。そこから、ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が抜け出し、山頂を先頭通過。これを追って、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス)とベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)が追走グループを形成。そのままダウンヒルをこなして、1つめの2級山岳に突入していった。

 メイン集団はモビスターに代わって、アスタナが集団コントロールを開始。超級山岳の上りで、マイヨロホのニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ)が脱落するなか、逃げ集団とのタイム差を2分から3分程度に縮めていった。残り20km地点、2級山岳のふもとに到達すると、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)がアタック。すかさず、キンタナがチェックに入り、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)と続いた。

難関山岳にマイヨロホを手放したエデ Photo: Yuzuru SUNADA

 少し遅れてポガチャル、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)ら数人の選手が追いついてペースが落ちたあと、再度ロペスがアタック。緩斜面にもかかわらずライバルたちを置き去りにすることに成功した。逃げに乗っていたゴルカ・イサギレと合流し、2級山岳をクリア。続くダウンヒル・平坦区間でアシストの力を借りて後続との差を開きにかかった。

 続く2つめの2級山岳に入ると、ロペスはゴルカ・イサギレを切り離して再び単独で先行。しばらくして、もうひとり逃げに乗っていたフルサングと合流し、さらにログリッチェグループとの差を開きにかかった。

 そのログリッチェは、キンタナとバルベルデの断続的な攻撃にさらされたが、崩れることはなかった。そのログリッチェのもとに、逃げに乗っていたクスが合流し、集団コントロールを開始。30秒ほど先行しているロペスを追っていた。

 独走していたブシャールには、追走のゲオゲガンハートとオコーナー、残りの逃げメンバーからソレルが追いつき、先頭は4人となって、4kmの未舗装路区間に突入。時を同じくして、周辺は激しい雨と時折ひょうが降る悪天候に見舞われていた。

ポガチャル独走勝利、ロペスとログリッチェが落車

 先頭からはソレルがほか3人を置き去りにして、独走開始。ステージ優勝が狙える位置をキープしていた。

 フルサングと共に未舗装路区間に突入したロペスだったが、落車してしまった。左肘に出血を負うも、すぐに再スタート。このため、バルベルデ、ポガチャル、キンタナらメイングループの追い上げを許すことに。

積極的に先行したが、落車してしまったロペス Photo: Yuzuru SUNADA

 さらにログリッチェも、モトバイクに接触したためか未舗装路区間で落車。バルベルデらメイングループから30秒ほどビハインドを背負ってしまった。そうして、メイングループは残っていた逃げメンバーを吸収しながら未舗装路区間を抜けていった。

 最後の1級山岳に入ると、キンタナが飛び出した。これをポガチャルが追っていくが、ロペスはついていくことができなかった。

 キンタナが2番手に浮上してきたことで、先頭のソレルはキンタナをアシストするために、ペースを落とすよう指示を受けた様子だったが、首を振って拒否反応を示していた。結局、キンタナのために下がってきたタイミングで、ポガチャルがカウンターアタックを仕掛けた。残り3km、キンタナとソレルを置き去りにして、独走に持ち込んだ。

 後方では遅れを喫していたログリッチェがペース走行で、バルベルデ、ロペスらのグループとの差を詰めていた。まもなく追いつくというタイミングで、バルベルデがアタック。ロペスは反応できず、バルベルデが単独で抜け出した。

 しかし、ペースの落ちないログリッチェはフィニッシュまで残り2kmを切ったところで、バルベルデに追いついた。

 先頭のポガチャルはキンタナとの差をじわじわと広げ、そのまま山頂に先着。今大会最年少選手がグランツール初出場にして初勝利を飾った。

サイクルロードレース界期待の20歳ポガチャルが早くも栄冠 Photo: Yuzuru SUNADA

 23秒ほど遅れてキンタナがフィニッシュ。さらに、トップから48秒差でログリッチェとバルベルデがフィニッシュ。この結果、キンタナがログリッチェに対して6秒差で総合首位に浮上。チームの総力をあげて攻勢に出たロペスは、キンタナから17秒差の総合3位となった。総合4位のバルベルデはキンタナと20秒差となっており、依然として接戦のマイヨロホ争いが続いている状況だ。

追い込んでステージ2位に入ったキンタナ Photo: Yuzuru SUNADA
区間3位、4位でゴールする、ログリッチェとバルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 激動の一週間を過ごした集団一行は、最初の休息日を迎える。その翌日の第10ステージは、フランスに入国し、ジュランソンからポーへの36.2kmの個人タイムトライアルで争われる。混沌としたマイヨロホ争いにおいて、非常に重要な一日となるだろう。

マイヨロホに袖を通したキンタナ Photo: Yuzuru SUNADA

第9ステージ結果
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 2時間58分9秒
2 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +23秒
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +48秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
5 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +57秒
6 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +59秒
7 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +1分1秒
8 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)
9 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
10 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス) +1分38秒
144 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +32分25秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 35時間18分18秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +6秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +17秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +20秒
5 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +1分42秒
6 カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル) +1分46秒
7 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ) +2分21秒
8 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +3分22秒
9 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +3分53秒
10 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) +4分46秒
143 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +1時間47分54秒

ポイント賞(プントス)
1 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)

山岳賞(モンターニャ)
1 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)
2 ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)

新人賞(マイヨブランコ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 35時間18分35秒
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +1分25秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +6分24秒

チーム総合
1 モビスター チーム 105時間18分24秒
2 ユンボ・ヴィスマ +15分44秒
3 アスタナ プロチーム +18分36秒

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