ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第8ステージ終盤に豪雨、アルントが逃げ切り小集団スプリントを制す エデがマイヨロホを獲得

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャは8月31日、第8ステージが行われ、逃げ切ったメンバーによる集団スプリントを制したニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ)がステージ優勝を飾った。ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)ら総合勢は9分以上遅れてフィニッシュしたため、逃げ切ったニコラ・エデ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ)にマイヨロホが移動した。また、新城幸也(バーレーン・メリダ)は18分5秒遅れのステージ161位でフィニッシュした。

逃げ切った小集団でのスプリントを制したニキアス・アルント Photo: Yuzuru SUNADA

絶好の逃げステージで21人が先行

 地中海沿岸の街・トレビエハで開幕した今大会は、ここまでバレンシア州を中心にレースが行われていたが、第8ステージはスペイン北東部のカタルーニャ州に突入。バルスからイグアラダへの166.9kmで争われた。

 残り30km地点付近には、カタルーニャの聖地とも呼ばれるモンセラートの丘を通過。2級山岳プエルト・デ・モンセラートが登坂距離7.4km・平均勾配6.6%とスプリンターにはやや厳しい上り。以降は台地を通って下り基調でフィニッシュに至るため、総合勢にとっては一休み。ステージ優勝狙いの逃げ屋・パンチャー陣による戦いになると予想されていた。

スタート地点に向かう新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート直後から逃げに乗る動きが活発となり、なかなか集団からリードを築くことができなかったものの、20kmほど過ぎたところで、21人の選手が先行。

 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナプロチーム)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)、ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)、トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、グルパマ・エフデジ)、ダビ・デラクルス(スペイン、チーム イネオス)、セルジオ・エナオ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)、ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ)、ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)といった上りに強く独走力の高い選手に加えて、アレックス・アランブル(スペイン、カハルラル・セグロスエレヘアー)、トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)、ヨーナス・コッホ(ドイツ、CCCチーム)、そしてアルントといった上りもこなせるスプリンターも含まれる強力な逃げ集団を形成していた。このなかで最も総合成績が良いのはエデで、6分24秒差だった。

この日もアタック合戦が繰り広げられたメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 リーダージャージを保持するアスタナプロチームがコントロールするメイン集団とのタイム差は徐々に拡大。2級山岳のふもとに到達する頃には、タイム差は6分弱程度となり、逃げ切りが濃厚となっていた。

上りでアタック合戦になるも逃げは崩壊せず

 逃げ集団が上り区間に入ると、最初に動いたのは第6ステージ勝者のエラダだった。集団をふるいにかけるようなペースアップを仕掛けるものの、エラダへのマークが厳しく抜け出すことはできない。

レース前にクリートをチェックするヘスス・エラダ Photo: Yuzuru SUNADA

 一旦ペースが落ち着いた隙を突いて、ピーター・ステティナ(アメリカ、トレック・セガフレード)がアタック。この動きは見送られ、ステティナが単独で先行する展開となった。

 その後、エラダが積極的にアタックを仕掛けるも、マークが厳しく抜け出すには至らず。すると、フェルナンド・バルセロ(スペイン、エウスカディ・ムリアス)が単独で飛び出し、先頭のステティナに合流。エラダは山頂まで1kmを切ったところで、ようやく単独での飛び出しに成功。山頂はステティナが先頭通過を果たし、山岳ポイントを越えた先でエラダは先頭2人に合流した。

 しかし、残った逃げ集団はデラクルスが中心にペースアップを図ると、まもなく先頭3人を吸収。上り区間を終えても、逃げ集団は大きく人数を減らすことなく終盤戦を迎えた。

混沌としたスプリントをアルントが制す

 2級山岳の上りの途中でもポツポツと雨が降っていたが、山頂を越えてからは大粒の激しい雨へと変わった。路面が非常にスリッピーとなり、選手たちはダウンヒルを慎重にこなすなか、ゲレイロ、バルセロ、マーティン・トゥスフェルト(オランダ、チーム サンウェブ)が飛び出して、リードを築いた。

 下り区間を終えて、先頭3人にアランブルがブリッジ。残り4km地点、後続集団が迫ってきたところで、先頭からトゥスフェルトがアタック。しかし、直後のラウンドアバウトでスリップして転倒。ステージ優勝争いから脱落してしまった。

スタート地点でファンサービスをするミゲルアンヘル・ロペス。翌日に備えてこの日はリーダージャージを手放す走りを見せた Photo: Yuzuru SUNADA

 集団は再度ひとつになると、ルドヴィグソンがアタック。スウェーデンTT王者の力を見せつけて独走に持ち込むも、後方から元シクロクロス世界王者のスティバルが猛追。ルドヴィグソンをかわして前に出ると、一気に独走に持ち込んだ。

 逃げ切りが決まるかと思われた残り1km地点、デラクルスが捨て身のペースアップを図って、スティバルを吸収。生き残ったメンバーによるスプリント勝負に持ち込まれた。

 最初に加速したのはゲレイロだった。最終コーナーを曲がって、大外から一気に加速すると、イン側ではアランブル、ファンデルサンド、アルントがスプリント体勢に入った。残り200mを切ったところで、アルントが最終加速。アランブル、ファンデルサンドらの追い上げを許さず、アルントが先頭でフィニッシュした。

 終盤にかけてチームメイトのトゥスフェルトが先行していたことで、アルントは追走集団内で脚を貯めることができた。一方、アランブルとファンデルサンドは追走集団を引いたり、単独ブリッジを仕掛けるなど脚を使っていた。その差がラスト200mの加速力の差に現れていた。またアルントにとって、2017年1月のカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース以来、およそ2年半ぶりの勝利となった。総合エースのニコラス・ロッシュ(アイルランド)を失ったチームにとっても、大きなステージ優勝となった。

 アスタナがコントロールするメイン集団は、終盤はペースを落として、9分24秒遅れでフィニッシュ。この結果、逃げ切ったエデが総合首位に浮上してマイヨロホを獲得。ロペス、ロッシュ、トゥーンスに続く今大会4人目のマイヨロホ着用者となった。第8ステージにして、リーダージャージの移動は5回目と、めまぐるしい展開が続いている。

2013年のブエルタで山岳賞ジャージの着用経験はあるが、リーダージャージの着用はキャリア初となったニコラ・エデ Photo: Yuzuru SUNADA

 翌第9ステージは、激動の第1週を締めくくる超難関ステージとなっている。アンドラ・ラ・ベリャからコスタルス・デンカンプへと至る94.4kmの道のりに、カテゴリー山岳が5つ詰め込まれている。フィニッシュ地点の1級山岳コルタルス・デンカンプは登坂距離5.7km、平均勾配8.3%で、今大会の最高標高地点だ。さらにその手前には4kmの未舗装路区間も含まれており、総合勢による山岳バトルが繰り広げられることだろう。

第8ステージ結果
1 ニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ) 3時間50分48秒
2 アレックス・アランブル(スペイン、カハルラル・セグロスエレヘアー) +0秒
3 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)
4 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)
5 ヨーナス・コッホ(ドイツ、CCCチーム)
6 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)
7 ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルラル・セグロスエレヘアー)
8 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、グルパマ・エフデジ)
9 フェルナンド・バルセロ(スペイン、エウスカディ・ムリアス)
10 セルジオ・エナオ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)
161 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +18分5秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ) 32時間16分24秒
2 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) +2分21秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +3分1秒
4 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +3分7秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分17秒
6 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分28秒
7 カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル) +3分45秒
8 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +4分59秒
9 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +5分37秒
10 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +5分53秒
142 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +1時間19分14秒

ポイント賞(プントス)
1 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
3 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)

山岳賞(モンターニャ)
1 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)
2 セルジオ・エナオ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)

新人賞(マイヨブランコ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 32時間19分25秒
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +2分36秒
3 オスカル・ロドリゲス(スペイン、エウスカディ・ムリアス) +4分55秒

チーム総合
1 モビスター チーム 96時間21分49秒
2 ユンボ・ヴィスマ +9分59秒
3 アスタナ プロチーム +13分37秒

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