ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 第6ステージ逃げ切りでヘスス・エラダ優勝、マイヨロホはトゥーンスに ウラン、ロッシュが落車リタイア

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ブエルタ・ア・エスパーニャは8月29日、第6ステージが行われ、逃げ切り集団から最後抜け出したヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ)がグランツール初優勝を飾った。個人総合は区間2位に入ったディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)が首位に浮上。日本の新城幸也(バーレーン・メリダ)は161位で完走した。

ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ)が、逃げ切り集団から最後抜け出して優勝 Photo: Yuzuru SUNADA

逃げが決まらずハイペースに

 第1週の山頂フィニッシュ3連戦は、この日が2日目。モラ・デ・ルビエロスからアレス・デル・マエストラットに至る198.9kmで行われた第6ステージは、スタート直後から2級山岳、3級山岳を立て続けに越えたあと、アップダウンをひたすら抜けて、終盤に3級山岳が2連続でゴールとなる。

 最後の山頂フィニッシュとなる3級山岳は、距離7.7kmで平均勾配は5.3%と、総合有力選手が決定的な差を生むには難易度は低め。翌日に超急勾配の1級山頂フィニッシュを控えていることもあり、総合勢は大きくは動かず、ステージ優勝狙いの逃げが有力と目された。

スタート前、記念写真に収まるウラン。しかしこの後のレースで悲劇が待ち受ける Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート直後から逃げを狙う激しい動きが続いた。最初の2級山岳ではワウト・プールス(オランダ、チーム イネオス)が単独先行して先頭通過。追走が付いては離れる状態の中、プールスは続く3級山岳もトップで通過するが、結局は集団へと吸収された。

 50km地点を過ぎても逃げは決まらず、集団は主催者が想定する以上のハイペースで進んだが、スタートから約60kmで、ようやく集団が容認する11人の逃げ集団が形成された。

アップダウンをこなすメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

集団落車でウラン、ロッシュらがリタイア

 逃げはエラダ、トゥーンスのほか、ダビ・デラクルス(スペイン、チーム イネオス)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)といった、過去ブエルタを含むグランツールでの優勝経験者を多く含む強力な11人。人数も多く、ハイペースを保って逃げ続けた。

 一方のメイン集団では、レース中間点付近で大きな落車が発生した。この落車によって総合6位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト)が、チームメートのヒュー・カーシー(イギリス)と共にリタイア。またCCCチームのエースナンバーを付けるビクトル・デラパルテ(スペイン)もリタイアとなった。

前日メイン集団で強力なけん引を見せていたカーシーも落車でリタイア Photo: Yuzuru SUNADA

 さらには、前日まで総合首位のマイヨロホを着続けていたニコラス・ロッシュ(アイルランド、チーム サンウェブ)も、一度は走り始めたものの、リタイアを喫してしまう。ロッシュはマイヨロホは失ったものの総合5位にとどまっており、最終的に総合トップ10を目指したい意向を話していた矢先だった。

 レースはその後も速いペースを保ったまま終盤へ。逃げ集団は5分近くメイン集団から先行して、最後の3級山岳2連続へと差し掛かった。逃げ集団の中では総合最上位となるデラクルスが、首位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)と4分35秒差。この段階でデラクルスが、バーチャルのマイヨロホとなっていた。

トゥーンスがラスト3kmで先頭に

 まず1つ越える3級山岳では、スガブ・グルマイ(エチオピア、ミッチェルトン・スコット)が単独で抜け出し、山頂をトップで通過した。続くアップダウン区間では追走の10人がアタック合戦となり、逃げ続けるグルマイへ追い付こうと動きを見せる。ところがここで、追走集団からやや抜け出ていたヴァンガーデレンが、コーナーで落車してコースアウトするアクシデント。ヴァンガーデレンはレースに復帰したものの先行集団からは完全に遅れ、24分遅れのステージ最下位でゴールとなった。

終盤、先頭を走ったオリヴェイラ Photo: Yuzuru SUNADA

 いくつかの動きから、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター チーム)が残り20kmでグルマイとの合流に成功した。逃げるグルマイとオリヴェイラ、30秒ほどの差で追走の8人という体制のまま、先頭は一番最後の3級山岳へと差し掛かった。

 過去ブエルタでのステージ優勝経験もあるオリヴェイラが積極的に先頭を引く一方、追走ではラスト4kmからのアタック合戦から、トゥーンスがエラダと共に抜け出すことに成功。残り3kmで先頭の2人に追い付き合流すると、そのままの勢いで先行していた2人を振り落として、先頭はトゥーンスとエラダに入れ替わった。トゥーンスはデラクルスから総合でわずか8秒遅れであり、デラクルスを振り切って先頭に立った時点で、トゥーンスがバーチャルのマイヨロホを奪っていた。

ラスト4kmをほぼ先頭固定で突き進んだトゥーンス。エラダがぴったりとマーク Photo: Yuzuru SUNADA

 総合力が高くチームも格上のトゥーンスが先頭固定で引き続ける一方、エラダは付き位置から前に出ない。一度トゥーンスがエラダに先頭交代をうながすが、エラダは苦しそうな表情で拒否する。果たして本当に苦しいのかそれとも演技か。マイヨロホのためには引き続けるしかないトゥーンスは、エラダをもう顧みず、ラスト1kmを切っても先頭固定で突き進んだ。

トゥーンスに引かせたエラダが最後に攻撃

 2人のゴール争いは、単純な力勝負ならトゥーンス有利だったが、残り300mを前にエラダがスプリントで加速すると、トゥーンスに抵抗する余力は全く残っていなかった。エラダはそのままトゥーンスを突き放すと、観客をあおってガッツポーズでフィニッシュ。前日逃げて区間3位に入った兄のホセ・エラダに続き、エラダ兄弟が連日の逃げで活躍、さらにこの日は優勝をもぎ取る大金星を挙げた。

 ステージ優勝はならなかったトゥーンスだが、デラクルスとメイン集団に十分な差を付けてゴールし、総合首位のマイヨロホを手に入れた。

マイヨロホが懸かるトゥーンスの状況を最大限利用したエラダが区間優勝 Photo: Yuzuru SUNADA
ステージ優勝争いをする余力は無かったトゥーンス。しかし個人総合では首位に Photo: Yuzuru SUNADA
総合首位のマイヨロホに袖を通したトゥーンス Photo: Yuzuru SUNADA

 逃げ切りを容認したメイン集団は、最終盤までリーダーチームのアスタナがコントロール。ラスト1km手前でタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が単独アタックして抜け出したが、集団に対してはわずか2秒を稼いだのみだった。ロペスは総合3位に後退してマイヨロホを手放したものの、新人賞ジャージは変わらずキープする。

最後メイン集団からアタックして先着したポガチャル Photo: Yuzuru SUNADA
ロペス、バルベルデ、ログリッチェら総合有力勢は固まってゴール Photo: Yuzuru SUNADA
グランツールでは初優勝となったヘスス・エラダ Photo: Yuzuru SUNADA

 翌第7ステージは、オンダからマス・デラ・コスタに至る183.2kmで行われる。コースの半分近くまではほぼ平坦だが、93.7km地点で3級山岳を越えると、その後はノコギリのように連続する山岳をこなす。最後に待ち受ける1級山岳は超急勾配。距離は4.1kmと短めだが平均勾配は12.3%、途中に22.5%、さらには25%という壁のような区間もあり、ゴール前も17.5%という急勾配だ。総合有力勢による激しい攻防となることは必至で、今大会の大勢を占う一日となる。リーダーチームとなった新城の働きにも期待がかかる。

第6ステージ結果
1 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ) 4時間43分55秒
2 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) +7秒
3 ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +21秒
4 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
5 ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ) +37秒
6 パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +39秒
7 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター チーム) +45秒
8 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) +47秒
9 ダビ・デラクルス(スペイン、チーム イネオス) +50秒
10 スガブ・グルマイ(エチオピア、ミッチェルトン・スコット) +2分35秒
161 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +22分52秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) 23時間44分0秒
2 ダビ・デラクルス(スペイン、チーム イネオス) +38秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分0秒
4 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +1分14秒
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分23秒
6 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
7 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分28秒
8 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +2分17秒
9 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +2分18秒
10 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +2分47秒
121 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +39分52秒

ポイント賞(プントス)
1 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 45 pts
2 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 36 pts
3 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) 34 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH) 33 pts
2 イェツェ・ボル(オランダ、ブルゴス・BH) 11 pts
3 ワウト・プールス(オランダ、チーム イネオス) 8 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 23時間45分0秒
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +1分47秒
3 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +2分46秒

チーム総合
1 モビスター チーム 70時間43分49秒
2 ユンボ・ヴィスマ +15秒
3 アージェードゥーゼール ラモンディアール +9分56秒

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