バイクインプレッション2019スピードと走破性のレンジが向上した快速クルーザー トレック「ドマーネSLR7」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 近年のエンデュランスロードバイクはジャンルの枠に囚われず、優れた拡張性を有している。トレックの新型「ドマーネSLR」はエアロフォルムを纏いつつ、ダウンチューブ内にスマートな積載スペースを確保。活躍の場を広げた快速クルーザーのインプレッションをお届けする。

トレック「ドマーネSLR7」 Photo: Masami SATOU

L字型アイソスピードを採用

 ドマーネは独自の振動吸収システム「IsoSeed」(アイソスピード)を搭載し、2012年に初代が登場した。独立したシートチューブがしなることで路面からの振動を巧みに吸収。パワー伝達に重要なBBやシートステー、チェーンステー部を必要以上にしならせないことでロスを軽減。スピードと快適性を両立した。

L字型のアイソスピードがトップチューブ下に用いられている Photo: Masami SATOU

 2代目はアイソスピードがさらに進化。ヘッドチューブ内にもこの機構が取り入れられ、フォークコラムを前後にしならせることで、振動を吸収し、上半身の負荷を軽減。そして、リアのアイソスピードは効き具合を調整可能になり、走る場所や状況に合わせてしなりを設定できるようになったのだ。

 そして今回モデルチェンジを果たして登場した3代目は、エアロロードバイク「マドン」と見まごうほどのボリュームを身に着けエアロデザインへと進化。L字型のアイソスピードがトップチューブ内に収められ効率化が図られている。ダウンチューブ内にはストレージスペースが設けられ、チューブやミニツールなどのライド必需品を収納できるようになった。

アイソスピードはヘッド部にも装備 Photo: Masami SATOU

 これまでのドマーネは、振動吸収性とスピードの両立をコンセプトとして押し出されてきた。パリ~ルーベなどのクラシックレースで、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)やジョン・デゲンコルプ(ドイツ)の好リザルトが物語っている。最新のドマーネSLRもエアロ化は果たしているが、拡張性に焦点を当てたスペックが目立つ。最大38Cのタイヤが装着可能になったり、泥除けが装着できるダボ穴が設けられているのがその証だ。

“乗って軽い”を体現

 実際の走りはどうだろうか。公称の重量は56サイズで8.48kgと軽くはない。リムブレーキよりも重量がかさむディスクブレーキや32Cの太いタイヤが装着されていることがその理由だ。ペダルやサイクルコンピューターを合わせると9kg台にも近づくだろう。しかし、走り出しは想像以上に軽い。シッティングでかける低いパワーでもすーっとロスなく進んでいく。先代よりもボリュームが増した分、どっしりと構えつつも、パワーの入力に対しては軽快さが上がったように思える。ディスク化を果たし、スルーアクスルとなったことが影響しているのだろう。

ストレージスペースの容量は想像以上。レバーや蓋は高い精度 Photo: Masami SATOU

 ディスク化に伴い最適化したフレーム剛性も特徴的だ。硬すぎず柔らかすぎない絶妙な反応で、乗り手の負荷を最小限にしてくれる。斜度3~4%までの上り坂ならその推進力と走りの軽さは失われない。5%を超えると重さを感じるようになった。この時、トップチューブのアイソスピードは「FASTER」の最大値でライドしていた。

フルモデルチェンジを果たし、スピードと快適性のレンジが向上 Photo: Masami SATOU
泥除けやバッグなどを装着したツーリングスタイルにも適している Photo: Kenta SAWANO

 速さに振った設定のアイソスピードだったが、コンフォート性能は車体のコンセプト通り抜群だ。アイソスピードだけでなく、エアボリュームに富んだタイヤも影響しているだろう。国道路肩の荒れた路面や、亀裂の上を走っても安定性は保ったまま。バイクに舵を任せるだけでOKで、あとは乗り手がペダリングをすればいい。まさに高速クルージングを堪能できた。

 先代と同様に速さと安定性を両立していたが、性質をやや変え、走りの幅を広げてくれるであろう1台であった。このスピードとコンフォート性能があれば、今まで訪れることのなかった場所へと誘ってくれる。ちょっとしたオフロードでも走行できるし、想定以上の距離でも快適に移動できる。新時代のパフォーマンスエンデュランスロードだ。

■トレック「ドマーネ」
税抜価格:792,000~848,000円
サイズ:47、50、52、54、56、58、60、62
カラー:Trek Black/Quicksilver-Anthracite Fade、Purple Phaze/Anthracite、Viper Red/Trek White、Voodoo Trek White/Blue ※プロジェクトワン設定あり

松尾修作松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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