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新連載・入門!自転車栄養学<3>アルコールは「百害あって一利なし」? サイクリスト的お酒の上手な飲み方

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 私はお酒を飲むとただしんどくなるだけなので、お酒の良さはわからないのですが、お酒好きな方は本当に好きで水の如く飲まれますよね。サイクリストの方々も、ライド後のご褒美としてお酒を楽しみにされている方は多いと思います。ただ、スポーツをする上でアルコール摂取はあまり良い話は聞きませんよね。ジレンマを感じながら飲んでいたり、ストイックな方の中には飲酒を我慢している方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、そんな「アルコールとの付き合い方」についてお話ししたいと思います。

ライド後の打ち上げ! …の前に… Photo: iStock.com/taa22

“強い人”も体に負担はかかっている

 まず、アルコールの適量なのですが、「節度ある適度な飲酒」(厚生労働省 健康日本21)によると「1日平均純アルコールで約20g程度の飲酒」とされています。これはビール(度数5%)だと500ml、ワイン(12%)200ml、日本酒(15%)180ml、焼酎(25%)100ml、チュウハイ(7%)350mL、ウィスキー・ジンなど(40%)60mlとなります。

アルコールの影響は、飲んだ酒の量ではなく、摂取した純アルコール量が基準となる 出典: 厚生労働省「健康日本21推進のためのアルコール保健指導マニュアル」

 とはいえ、果たしてお酒が好きな方がこの程度の量で収まるのでしょうか? 先にも述べましたが、私の周りにはお酒を水の如く飲むような方が多く、その人たちを見ているとこれくらいの量では到底済みません(笑)。

 しかし、このように適量が記されているということは、やはり飲み過ぎると良くないということ。たまに「自分はアルコールに強いので大丈夫」という方がいらっしゃいますが、それはアルコールの分解・処理能力が高く「悪酔いしにくい」という意味であって、内臓や脳には間違いなく影響を及ぼしています。

アスリート的には一利もなし

 一日の飲酒量を見直すとともに、自転車とアルコールという観点でも見ていきましょう。「アルコールには利尿作用がある」ということは皆さん耳にされたことがあると思いますが、これはアルコールを分解する際に、体内の水分が使われるからなのです。ライド後は脱水状態のことが多いと思われます。ただでさえ体内の水分が足りていないのに、そこにお酒をグビグビ飲むと利尿作用が働いてさらに脱水を進めてしまいます。

 体内に水分が不足している状態では血流も悪くなり(いわゆるドロドロ血液)、体のすみずみまで酸素や栄養素が届きにくくなり、せっかく栄養素をとっても体内で停滞することになります。その結果、疲労回復が遅れてしまうのです。したがってアスリート的視点でいえば、回復を重視する上でアルコールの摂取は控えた方が良いというのが結論です。

 ただ、「美味しくお酒を飲むためにスポーツをしている」という、目的が逆な方もいらっしゃいますよね。その方は精神的な解放感という点でお酒による「利」を得ているのだと思います。それを否定することはしませんが、ただ、飲酒による体への負担を減らすために、事前にしっかり水分補給(水またはスポーツドリンク)をしておくことがポイントです。できれば、お酒を飲む合間にもお水を飲むようにするとベターです。

 ちなみに「ビール1リットル飲むと体内から1.1リットルの水分を失う」と聞いたことがありますが、会食時にお酒と同量の水を飲めるかといったら、現実的ではありませんよね。なので、お酒を飲む間になるべく水を飲むよう心がけるだけでも良いと思います。ちなみに日本酒を飲む際に悪酔いしないように併せて飲む水を「和らぎ水」と呼ぶそうです。体に無理をかけないようにお酒を楽しむというイメージは、まさにそれですね。

二日酔い防止にも水分摂取を

 そして、お酒を飲んだ後の二日酔いを防ぐためにも、やはり水分補給は大切です。体内でアルコールが分解・処理されて作られる「アセトアルデヒド」が二日酔いの原因といわれており、このアセトアルデヒドをできるだけ早く、体内に残らないよう尿とともに排泄することが二日酔いを防ぐ方法の1つになります。お酒を飲んだ後もしっかり水分補給をし、アセトアルデヒドとお別れしましょう!

お酒を飲みながら同量の水分を摂取することは難しいかもしれませんが、その程度の水分が体から失われていることを頭の片隅に入れておきましょう Photo: iStock.com/Dan Gold

 飲酒の前、間、そして後に水を飲むことによって、ただお酒を飲んだときよりも疲労も回復しやすくなりますし、アルコールの摂取量が抑えられるため、エネルギーの摂り過ぎによる体脂肪の増加を防ぐこともできます(お酒はけっこう高カロリー!)。

 これが「お酒もスポーツも楽しみたい」という人にとっての落とし所だと思うのですが、お酒好きの人にとっては、やはりそれはお楽しみに“水を差す”ことになるのでしょうか…?

河南こころ
河南こころ(かわなみ・こころ)

管理栄養士。女子フィギュアスケートバンクーバー五輪銀メダリスト、男子バレーボールVプレミアリーグ所属チーム、ラグビートップリーグ所属チームなどを栄養面からサポート。ロードレースチームの「シマノレーシング」を担当していた経歴をもち、現在も「シマノ鈴鹿ロードレース」で開催される栄養講座の講師を務めている。現在はオリックス・バファローズとフルタイム契約でどっぷり野球漬けだが、自転車ロードレースの主要な国内レースは常にチェックしているというロードレースファン。

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