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山下晃和の「“キャンプ”ツーリングの達人」<14>野外料理でキャンプの楽しさ倍増! 自転車旅のための火器の種類と選び方

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 今回は少し上級編で、キャンプで食・調理を大きく左右する「火器」についてお話したいと思います。ホテルや宿と違い、キャンプサイトでは夕飯が用意されていることも、朝食が用意されていることもないので、買っておくか、自ら調理をすることになります。ファミリーキャンプのように車で運ぶのであれば「スキレット」という鉄のフライパンや、「ダッチオーブン」などの大きな鍋を積むことも全く問題ありませんが、自転車でのキャンプでは、とにかく軽量・機能面でいかに効率的な調理道具、火器を選ぶかがポイントになります。

キャンプ場に着いてテントを設営し終わったら、次はディナーの準備。ごはんを作る時間を長めに取るようになったら立派な自転車キャンパーの仲間入りです! Photo: Akikazu YAMASHITA

まず選ぶべきはシングルバーナー

 個人的にキャンプの楽しさは料理で増す!と考えていますが、実のところ、普段料理などをしない男性にとっては正直面倒くさいと思ってしまうところでもあります。しかし、キャンプ場で温かい食事を食べられる喜びは、鮮明に胃袋に記憶されるだけでなく、自然の景色という絶品スパイスが足されるので、どんなものでも美味しく感じるもの。面倒くさがらずに是非とも火器を携行して、キャンプ料理にトライしてもらいたいものです。

こちらはキャンプ場で作った奄美大島の郷土料理「鶏飯」(けいはん)。シェラカップで作るとこんなにオシャレになります。こちらもシングルバーナーで作りました Photo: Akikazu YAMASHITA

 まず、自転車ではコンパクトになるシングルバーナー(もしくはシングルストーブ)をおすすめします。

 文字通り1口しかないのですが、主に登山用としての用途を考えられているため、大きさの割に火力が強く、強風や低温の環境下でも着火する機能があります。手のひらサイズと非常にコンパクトなため、自転車やモーターサイクルでのキャンプにも適しています。ただし、燃料が異なるタイプが存在するので、それぞれの長所・短所を説明したいと思います。

入手しやすいカセット用ガスボンベタイプ

 まずカセットコンロでも使っているカセット用ガスボンベ缶タイプです。普段家でも使っている方であれば、なんら難しいものではありません。

「SOTO」というブランドの「FUSION」というモデル。ゴトクがしっかりと安定していて、大きな鍋やフライパンなどが載せやすくなっています。燃料と本体が離れたタイプです ©SOTO

 燃料を売っているお店も多く、キャンプサイトの売店で売っていることも、コンビニで売っていることもあります。一番置いてある可能性が高いのはホームセンターでしょう。デメリットとしては、厳冬期の冬山登山などの過酷な状況では火がつきにくいこと、他のバーナーに比べたらやや大きいところでしょう。しかしそれ以上に値段が安いのが魅力。燃料も手に入れやすいので、災害時に一番使いやすいのもこちらだと思います。

このようにキャンプ場の売店で、3つセットで売っている場合が多い。値段も100円~150円と安価で手に入れやすいです Photo: Akikazu YAMASHITA

山下おすすめ「OD缶」シングルストーブ

 次は、OD缶のシングルストーブです。私が一番オススメしたいタイプがこれで、OD缶というアウトドアショップでしか手に入りにくい燃料ですが(たまにキャンプ場の売店でも売っています)、火力が安定していて、寒いところでも使うことができます。

同じく「SOTO」のマイクロレギュレーターストーブ「SOD-300S」というモデル。こちらは火の調節が簡単で、とろ火などにもできるため、料理にこだわる人、時間をかけたい人にはオススメです ©SOTO

 また、収納性が高く、圧倒的に軽量のため、荷物の軽量化には一番です。手の平におさまるほどの小ささで、パンツのポケットの中に入れて持ち歩けるほどです。

 ただしゴトクが小さいので、大きな鍋やフライパンを使う場合は安定性に欠けます。その分、軽量なアルミ、あるいはチタン製クッカー等をセットで買うと、スタッキングといって、その中にうまく調理器具が収納できるので、より自転車キャンプに適した形になります。

 ちなみにネットショップで買うとOD缶1つ買うために送料の方がかえって高くなってしまうので、アウトドアショップに行かざるを得ません。でも、これはとても良いことだと思っています。

シングルストーブでドライフードを作って待っている筆者。非常にコンパクトで使いやすく、自分は一番好きです。これは好みがあるので、まずは一緒に行くキャンプのメンバー間で、色々試してみると良いでしょう Photo: Akikazu YAMASHITA

 というのもアウトドアショップに行くと、一緒にドライフードを見たり、カトラリー(軽量なスプーン、ナイフ、フォーク)などを見ることができ、さらにクッカーや調味料入れなど色々な物があるので、料理の想像が膨らむからです。こうやってアウトドアギアの沼にハマることこそ、キャンプの最大の魅力といっても過言ではありません。ということで、私はしょっちゅうアウトドアショップに通っています。

海外旅ならガソリンが安心

 もう1つの燃料が、ホワイトガソリン、自動車用のガソリンのタイプです。「SOTO」の「MUKAストーブ」という製品は、ホワイトガソリンという純度の高いガスと自動車に入れる赤ガスの両方が使えます。

ホワイトガソリン、自動車用のガソリンが使えるSOTOのMUKAストーブ。ススが出ずに、使いやすく、海外ツーリストには絶大なる人気があります。海外のアウトドア雑誌でエディターズチョイスを受賞した名品です ©SOTO

 ホワイトガソリンはアウトドアショップで手に入れられますが、かつて主流だった燃料です。ガスランタン、ガスバーナーと言えばこれがよく使われていました、燃料費が安いのですが、液体のため持ち運びには重いのと燃料をうまく入れないとこぼしてしまうため、現在はOD缶やガスボンベ缶が使われるようになっています。

 自動車のガソリンを使うとススが出て、掃除も大変だったのですが、こちらのSOTOの製品はススがほとんど出ないのは革命と言えるでしょう。自動車用のガソリンも料理に使うくらいの量であれば非常に安いので、コストパフォーマンスは高いです。ポンピングという圧縮させる作業が必要であることと、ガソリンを入れる缶をマウントさせなくてはならないため上級者向けといえるでしょう。

ここはペルーのワカチナという砂漠の中のオアシス。MUKAストーブを使って極上のコーヒーを淹れました Photo: Akikazu YAMASHITA

 ただ、海外ツーリングや飛行機輪行で国内を旅する際はこれしかありまん。OD缶やガスボンベ缶は飛行機に載せることができないからです。つまり海外で現地調達となるので、とくに僻地等に行かれる場合は、どんなに小さな村でも売られているガソリンが第一選択となります。ちなみにラオスの山奥の村には車に乗っている人はいないのですが、街からやって来る人向けに掘っ立て小屋のような簡素な作りのガソリンスタンドだけはありました。

やればハマる野外調理

 そして、ここ最近密かに人気なのがアルコールストーブ、固形燃料(旅館で鍋料理に付いてくるタイプ)、そしてコンパクト焚き火台です。これらはもっとも軽量化できる方法ですが、燃料の分しか火が続かないので、ある程度手際よく調理ができる人や簡易的なごはん(ドライフード)などで済ませる人には良いと思います。

こちらはスウェーデンのメーカーであるトランギアの飯盒「メスティン」。ここ最近キャンパーに絶大なる人気です。熱伝導性の高いアルミ製で非常に軽く、この四角いルックスが可愛くてやられてしまいます。またごはんが抜群に美味しく簡単に炊けます。しかもおこげ付きです Photo: Akikazu YAMASHITA

 こういった火を使って調理をすることで、キャンプの技術が少しだけレベルアップしたように感じると思います。ぜひ、ご自身の自転車の種類、バッグ類の大きさや自分が使いやすそうだと思ったものを選んでください。

 現地でしか調達できない食材を手に入れて、その場で料理をする。そのためのクッカーなどの調理器具を持っていくことで、キャンプの時間がより楽しくなります。最初は見よう見まねでも、やってみたらきっとハマると思います。

山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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