ロードチームによる新感覚トラックレース正式開幕の「バンクリーグ」名古屋競輪場で熱戦 初戦はシマノレーシングが優勝

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 国内プロロードレースチームが競輪場のトラックでチーム対抗レースを行う、全く新しい観戦型サイクルレースイベント「バンクリーグ」の第1戦・名古屋ラウンドが8月23日、名古屋市の名古屋競輪場で行われた。6チームで予選・決勝と争われたレースは、シマノレーシングが決勝で宇都宮ブリッツェンを下し、バンクリーグ公式戦最初の優勝に輝いた。

「バンクリーグ」の第1戦名古屋ラウンドが開催 Photo: Ikki YONEYAMA

エンタメ性を高めた新種目を採用

 バンクリーグは国内最高峰のロードレースシリーズ「Jプロツアー」に参加するチームを中心に、自転車ファンの拡大、地域振興などを目的として、全国のトラックを活用して行われる。今シーズンは今大会のほか、8月30日に松坂競輪場(三重)、9月23日に広島競輪場(広島)、10月21日に宇都宮競輪場で開催される。大会の様子は「スポーツブル」を通じてインターネットでも中継される。

スタンドから観戦すれば、常にレース全体が見渡せる Photo: Ikki YONEYAMA

 レース形式はバンクリーグ独自の新種目「3(スリー)ポイントゲーム」を採用。2チームが同人数ずつ出走し(今大会は4人)、3周回目より2周ごとのポイント周回で、1位通過のポイントを3点先取したチームが勝利する。シンプルなルールながら、短時間でチーム戦の醍醐味が楽しめるレース形式だ。

 自転車競技場のトラックで行われるレースは通常、ペダルと後輪が直結するトラック専用バイクが使われるが、バンクレースでは通常のロードバイクが使用されるのもユニークな点だ。

2周ごとにスプリントを争う、短くも白熱したレース形式 Photo: Ikki YONEYAMA
間近で選手の熱戦を終始堪能できる Photo: Ikki YONEYAMA

 大会は夕方5時開場で、6時から競技がスタート。時折雨が混じるあいにくの天気となったが、週末の夜とあって仕事帰りの人や家族連れなど、普段の競輪場とは違った客層が観戦に訪れた。バンクリーグのオリジナルグッズや出場チームのグッズ販売、また飲食販売ブースなども設けられ、生ビールや味噌串カツなどを手に観戦する姿も多く見られた。

地元グルメなどのフードブース、グッズなどの物販ブースが設けられた Photo: Ikki YONEYAMA
愛知県内、知立市から来たという石田さん一家。子供たちは「夏休みずっとこれならいいのに!」と大喜び Photo: Ikki YONEYAMA

 エンターテインメント性を高めるための仕掛けを多く取り入れ、会場では実況MCや音楽、照明などの演出がイベントを盛り上げる。チアリーディングのオープニングパフォーマンス、地元の高校生やアマチュアサイクリストらによるケイリン競走なども行われた。

蟹江町スポーツ少年団「TEAM☆K」によるチアパフォーマンス Photo: Ikki YONEYAMA
地元アマチュア選手による本格的なケイリン競走も実施 Photo: Ikki YONEYAMA

全戦ストレート勝ちでシマノが初代王者に

 記念すべき第1回大会には、地元愛知県の愛三工業レーシングチームを始め、キナンサイクリングチーム、マトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェン、シマノレーシング、チーム ブリヂストンサイクリングが出場した。予選は6チームがA、Bの2グループに分かれて3チームによる総当たり戦を行い、両グループリーグの勝者が決勝でぶつかり優勝を決める。

地元・愛知県の愛三工業レーシングチームから、愛知県出身の早川朋宏選手が選手宣誓 Photo: Ikki YONEYAMA
オープニング後に各チーム代表者による組み合わせ抽選 Photo: Ikki YONEYAMA
愛三工業レーシングチーム対キナンサイクリングチームの戦い Photo: Ikki YONEYAMA

 グループAでは、まず東海地区対決となった愛三工業対キナンの戦いをキナンが勝利。続いて登場したシマノも愛三工業を下し、1勝同士の争いとなったキナン対シマノはシマノが勝って、シマノが決勝進出を決めた。

 グループBでは、宇都宮ブリッツェンがブリヂストン、マトリックスパワータグを連続して打ち破って決勝に進出した。ブリヂストン対マトリックスは、2-0とブリヂストンが先攻したところからの3ポイント連取で、マトリックスが勝利した。

宇都宮ブリッツェン対チーム ブリヂストンサイクリングの戦い Photo: Ikki YONEYAMA
宇都宮ブリッツェンは小野寺玲が予選でポイントを荒稼ぎ Photo: Ikki YONEYAMA
本気のレース、落車のアクシデントも Photo: Ikki YONEYAMA

 シマノ対ブリッツェンとなった決勝では、予選でポイントを量産したブリッツェンの小野寺玲を、シマノは黒枝咲哉がマークして封じながら、トラックレースを得意とする一丸尚伍が先行してポイントを先制。シマノ2-0とリードから、最後は粘る小野寺に対して黒枝が先着して、3-0のストレートで優勝を決めた。シマノは予選から決勝まで、全戦3-0でストレート勝ちするという、圧倒的強さを演じた。

宇都宮ブリッツェン対シマノレーシングの決勝戦 Photo: Ikki YONEYAMA
2-0とリードしたシマノレーシング。最後は黒枝咲哉がブリッツェンの小野寺玲に先着してストレート勝ち Photo: Ikki YONEYAMA
優勝のシマノレーシング、(左から)野寺秀徳監督、横山航太、木村圭佑、一丸尚伍、黒枝咲哉 Photo: Ikki YONEYAMA

日本に新たな自転車競技文化を

 バンクリーグ誕生の背景には、本場欧州に比べてロードレースの認知度が低く、一般公道でレースを行うことから入場料収入が得られない国内プロチームが、スタジアム型のサイクルレースイベントの開催を模索していたこと。一方で全国に競輪場がありながら、長期的な競輪人気の下落とファンの高齢化に悩む競技場運営者が、競輪再興の道筋として競輪場の幅広い活用でトラックスポーツ発展を考えていたこと。両者の思惑が一致したところにある。

シャンパンシャワーならぬ、バンクに優しい「タンサンシャワー」を演じるシマノレーシングの選手たち Photo: Ikki YONEYAMA

 昨年8月に宇都宮で行われたテストイベントは基本入場無料で行われたが、正式スタートとなった今大会では全面的に有料のチケットが販売された(自由席で前売り1500円)。通常の観客席だけでなく、競輪開催では入れないバンクの内側にも観客エリアが作られたほか、より選手の近くで観戦できるVIPエリアも設けられ、来場客はレースの前後で選手とふれ合いながら熱戦を楽しんだ。

バンクの内側に設けられたVIPエリア Photo: Ikki YONEYAMA
VIPエリアの観客とハイタッチして選手が入場 Photo: Ikki YONEYAMA
キナンサイクリングチームの加藤康則GM。バンクリーグのアイデアを実現した Photo: Ikki YONEYAMA

 バンクリーグの発起人であるキナンサイクリングチームのゼネラルマネージャー(GM)、加藤康則さんは「1年前の宇都宮は5ポイントレースでしたが、よりゲーム性を高めて楽しんでもらえるように、他のチームともテストレースを何回もやって、レース形式をブラッシュアップしました。みんな本気で勝ちに来ていたので、いい試合を見て頂けたのでは」と大会の好評に手応えを感じていた。会場では普段のロードレースとは違う形でのスピード感あふれるチーム戦に、多くの歓声が上がっていた。

 加藤さんは「まずは引き続き現在の形で開催し、どこかのタイミングでホーム&アウェイ戦を実現したい」と展望している。自転車レースの新たの形を作る試みに、今後も注目だ。

中継のカメラに向かって「次は観に来てくれよな!」とアピールする黒枝咲哉 Photo: Ikki YONEYAMA
最後は選手と観客が一つになって記念撮影 Photo: Ikki YONEYAMA

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