ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 コースプレビュー8つの山頂フィニッシュが登場 3週にわたって重要ステージが散りばめられた隙のない構成

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
  • 一覧

 グランツール最終戦であるブエルタ・ア・エスパーニャが、8月24日に開幕する。今年はスペイン南東部・バレンシア州のトレビエハをスタートし、一部フランスも通過しながら反時計回りにスペイン国内を巡り、最終目的地の首都マドリードへとフィニッシュする全21ステージで争われる。今回はスペイン特有の険しい山岳地帯を含む、今大会のコースの見どころを紹介していく。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019コースマップ ©ASO

第1週から山頂フィニッシュ3連発

 第1ステージは2年ぶりとなるチームタイムトライアルで開幕する。コースは13.4kmと短めで、ほとんど平坦路となっているため、タイムトライアルスペシャリストを多く揃えたチームが有利といえそうだ。しかし、タイムトライアルを得意とするチームとそうでないチームとでは、1分程度の差が開いてもおかしくないため、総合勢にとっては重要な一日となる。

第1ステージのコースマップ。なだらかなコーナーが多くスピードが乗りやすいコースだろう ©ASO

 第2ステージは丘陵ステージながら、スプリンターにもチャンスがあるかもしれない微妙な難易度となっている。第3、第4ステージは平坦ステージといいつつも、それなりに起伏が多くなっており、ある程度上れるスプリンターでないと生き残ることは難しいだろう。

 第5ステージは丘陵ステージに分類されるものの、今大会最初の山頂フィニッシュが登場。フィニッシュ地点の1級山岳アルト・ハバランブレは登坂距離11.1km・平均勾配7.8%と難易度はかなり高い。第6ステージも丘陵ステージながら山頂フィニッシュとなっている。ただし、3級山岳アレス・デル・マエストラットは登坂距離7.9km・平均勾配5%と前日よりは難易度は控えめだ。

第2ステージのコースプロフィール。終盤の2級山岳でスプリンターが生き残れるか注目 ©ASO
第5ステージのコースプロフィール。山頂フィニッシュが強烈な「丘陵」ステージ ©ASO

 第7ステージも山頂フィニッシュとなっており、1級山岳アルト・マス・デ・ラ・コスタは登坂距離4.1km・平均勾配12.3%。最大勾配は25%にも達する激坂フィニッシュとなっている。

 第8ステージはカタルーニャ州で行われる。残り28km地点にある2級山岳プエルト・デ・モンセラットがスプリンターの進入を拒む。逃げ切り、パンチャー陣によるスプリント勝負の可能性が高そうだ。

第7ステージのコースプロフィール。とても厳しい激坂フィニッシュだ ©ASO
第9ステージのコースプロフィール。今大会のクイーンステージ級の難コース ©ASO

 第9ステージはアンドラに入国し、前半戦最大の山場を迎える。94.4kmのショートステージにはカテゴリー山岳が5つ登場。フィニッシュ地点の1級山岳コルタルス・デンカンプは登坂距離5.7km、平均勾配8.3%で、今大会の最高標高地点だ。さらにその手前には4kmの未舗装路区間も含まれている。

総合勢にとって最大の勝負どころを迎える第2週

 フランスに入国し、ツール・ド・フランスでもお馴染みの街・ポーで最初の休息日を迎える。そして、第2週は変則的に第10〜16ステージの7ステージで争われ、2回目の休息日は火曜日となる。

第10ステージのコースプロフィール。序盤と中盤に短いながらも上り区間あり ©ASO

 第10ステージは個人タイムトライアルで第2週は開幕。スタート直後には登坂距離2km・平均勾配7.3%の上り、中盤には登坂距離1.7km・平均勾配5.9%の上りが含まれている。その他の区間は多少のアップダウンはあるものの平坦区間が多く、総合狙いのオールラウンダー向きのコースレイアウトといえそうだ。

 第11ステージは、再びスペインへ入国。ナバラ州の丘陵地帯を越えていくコースには。スプリンターにとって厳しい上りが多数待ち構えている。その一方でパンチャー・逃げ屋にとっては勝利を狙える一日となりそうだ。

 第12ステージはバスク州へと入り、この地方特有の短い丘を含むコースだ。パンチャー・逃げ屋向きのステージといえそうだが、残り8km地点に登坂距離2.2km・平均勾配12.2%の激坂があるため、総合勢に動きが生まれるかもしれない。

第12ステージのコースプロフィール。終盤はバスク地方らしい短く強烈な上りの連続 ©ASO
第13ステージのコースプロフィール。7つのカテゴリー山岳が登場し、最後の超級山岳が強烈 ©ASO

 第13ステージはバスクからカンタブリア州へと移動する。フィニッシュには、登坂距離6.8km・平均勾配9.2%の超級山岳ロス・マチュコスが鎮座。途中、少し下ったり平坦だったりする区間を含むため、上りは常に勾配10%を超えているような激坂が続き、最大勾配は28%に達する魔の山だ。2年前に登場した際は、クリストファー・フルーム(イギリス、現チーム イネオス)が苦しんでタイムを失ったように、総合に大きな動きが生まれる可能性の高い難関ステージだ。

 第14ステージはカンタブリア州からアストゥリアス州へと移動する、ブエルタにしては珍しくアップダウンの少ない素直な平坦ステージだ。久々にスプリンターが活躍するチャンス到来だ。

 第15ステージは非常にタフな山岳ステージとなっている。1級山岳が4連続で登場し、最後は登坂距離7.9km・平均勾配9.7%のプエルト・デル・アセボへとフィニッシュする。

第15ステージのコースプロフィール。いずれも厳しい1級山岳が4連発 ©ASO
第16ステージのコースプロフィール。第2週最大の山場となるだろう ©ASO

 第16ステージは1級山岳2つ上り、最後はカスティーリャ・イ・レオン州へ入り、登坂距離17.8km・平均勾配6.2%の超級山岳アルト・デ・ラ・クビーリャへ至る、今大会最大の山場といっても過言ではないステージとなるだろう。というのも、第3週は例年よりも、難易度が低めなステージ構成になっているため、総合勢にとっては数少ないタイムを稼ぐ、あるいは挽回する絶好の機会なのだ。

難易度控えめでも油断ならない第3週

 激戦を終えた集団一行はブルゴスへと移動し、2度目の休息日を迎える。第17ステージはカスティーリャ・ラ・マンチャ州へと移動する今大会最長ステージだ。平坦ステージに分類されているが、標高1000m前後の丘陵地帯を通り、フィニッシュ地点はブエルタ特有の上りスプリントとなっている。

 第18ステージは首都マドリードに近い地域で行われる山岳ステージだ。第15ステージと同様に4つの1級山岳が登場する難関ステージだ。しかし、最後の上りからフィニッシュまで28km離れており、そう簡単にタイムを稼げるステージにはなっていない。

 第19ステージは概ね平坦路が続く平坦ステージに分類されるコースではあるものの、ラスト1kmは勾配6〜7%ほどの上りフィニッシュとなっており、スプリンターとパンチャーが入り交じる集団スプリントの展開が予想される。

第18ステージのコースプロフィール。ここで逆転を狙うチームは序盤から攻勢に出たいところ ©ASO
第20ステージのコースプロフィール。6つのカテゴリー山岳が登場する最終決戦の地 ©ASO

 第20ステージは総合勢にとっては、最後の勝負どころだ。15km地点から始まる1級山岳プエルト・デ・ペドロを皮切りに絶え間なく上りと下りが繰り返される。残り50kmを切ったところに、登坂距離14.2km・平均勾配5.9%の1級山岳プエルト・デ・ペーニャ・ネグラが登場。その後はダウンヒルと細かいアップダウンを経て、最後は登坂距離9.4km・平均勾配3.8%の3級山岳プラタフォルマ・デ・クレドスへとフィニッシュする。ラスト3kmは平均勾配7%程度の上りとなっており、この地で総合争いの決着がつく。

 そして、最終第21ステージは恒例のマドリード周回コースを走る平坦ステージだ。最後にスプリンターが見せ場をつくって、2019年のブエルタは閉幕する。

初日から最終日まで見どころ満載

 8つの山頂フィニッシュのうち、7つが第1週と第2週に集中していることが、今大会最大の特徴だといえよう。特に第1週はチームTTの第1ステージ、山頂フィニッシュの第5、第6、第7、第9ステージと難しい日々が続き、第2週は個人TTの第10ステージ、非常に難易度の高い山岳ステージである第13、第15、第16ステージを迎える。第3週は異常な難易度ではないものの、大変な山岳ステージを含んでおり、総合首位に立った選手も油断のできない状況は続くだろう。

 3週間にわたって好調を維持し続けることができれば理想だが、現実問題なかなか難しい。序盤・中盤・終盤、どこに重きを置くのか、チーム戦略が問われるステージ構成だといえよう。

第13ステージの超級山岳ロス・マチュコスの詳細。上り区間はほとんど勾配10%オーバーで、最大28%に達する ©ASO
第16ステージの超級山岳アルト・デラ・クビーリャの詳細。7%前後の上りがずっと続くタフな上りだ ©ASO

 スプリンターにとっては、シンプルなスプリントステージが2つくらいしかないため、スペインの山や丘を越えられる力を持った選手でないと、なかなかステージ優勝争いに加わることは難しいかもしれない。上れるスプリンターにとっては、多くの見せ場をつくることができるだろう。

 コースプロフィールを見る限りでは、逃げ切りに適したステージは2〜3ステージほどしか見当たらない。とはいえ、総合争いの状況次第では、山岳ステージで大人数の逃げ切りが決まるような展開もあり得る。ただし、その場合は1級山岳を越えていけるようなクライマータイプの選手に逃げ切りのチャンスが生まれる可能性が高そうだ。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019 ステージ一覧

第1ステージ:サリーナス・デ・トレビエハ〜トレビエハ(13.4km、チームTT)
第2ステージ:ベニドルム〜カルペ(199.6km、丘陵)
第3ステージ:イビ.シウダー・デル・フグエテ〜アリカンテ(188km、平坦)
第4ステージ:クリェラ〜エル・プイグ(175.5km、平坦)
第5ステージ:レリアナ〜ハバランブレ天文台(170.7km、丘陵)※
第6ステージ:モラ・デ・ルビエロス〜アレス・デル・マエストラット(198.9km、丘陵)※
第7ステージ:オンダ〜マス・デ・ラ・コスタ(183.2km、山岳)※
第8ステージ:バルス〜イグアラダ(166.9km、丘陵)
第9ステージ:アンドラ・ラ・ベリャ〜コスタルス・デンカンプ(94.4km、山岳)※
第10ステージ:ジュランソン〜ポー(36.2km、個人TT)
第11ステージ:サン=バレ〜ウルダクス=ダンチャリネア(180km、丘陵)
第12ステージ:ナバラ・サーキット〜ビルバオ(171.4km、丘陵)
第13ステージ:ビルバオ〜ロス・マチュコス.モヌメント・バカ・パシエガ(166.4km、山岳)※
第14ステージ:サン・ビセンテ・デ・ラ・バルケラ〜オビエド(188km、平坦)
第15ステージ:ティネオ〜サントゥアリオ・デル・アセボ(154.4km、山岳)※
第16ステージ:プラビア〜アルト・デラ・クビーリャ.レナ(144.4km、山岳)※
第17ステージ:アランダ・デ・ドゥエロ〜グアダラハラ(219.6km、平坦)
第18ステージ:コムニダ・デ・マドリード.コルメナル・ビエホ〜ベセリル・デ・ラ・シエラ(177.5km、山岳)
第19ステージ:アビラ〜トレド(165.2km、平坦)
第20ステージ:アレナス・デ・サン・ペドロ〜プラタフォルマ・デ・クレドス(190.4km、山岳)※
第21ステージ:フエンラブラダ〜マドリード(106.6km、平坦)
※印は山頂フィニッシュ

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載