日本人女性最年少でアイアンマン世界大会に出場フラットペダルでアイアンマン初挑戦 谷上礼佳さんの「チャンスをつかむ」コンディション作り

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 スイム3.8km、バイク180km、そしてフルマラソンの3種目を走破する過酷なロング・トライアスロンレース「アイアンマン」の世界選手権を20歳という若さで走破した女性がいる。谷上礼佳(らいか)さん。3年前に日本人女性として最年少で出場し、その記録はいまも更新されていない。トライアスロンを始めてわずか1年、フラットペダルを卒業する間もなくアイアンマン・ジャパン北海道(当時)に出場・完走を果たし、世界選への切符を手に入れた。現在は都内のトライアスロンショップに勤務し、その魅力を伝える側となった谷上さん。手にしたチャンスで次へとステップアップする「アイアンガール」の輝きの理由を取材した。

谷上礼佳(らいか)さん。「アイアンガール」という愛称にはにかみつつ、「お客さんの間でもけっこう定着してきているので、嬉しいです」 Photo: Shusaku MATSUO

19歳フラペで「アイアンマン」デビュー

 谷上さんがトライアスロンの存在を知ったのは競泳選手だった中学生の頃。水泳にランとバイクを併せた複合競技があることを知り、いつか出てみたいと思っていた。「オリンピックディスタンス」(水泳1.5km、バイク40km、ラン10km)というスタンダードなレースに出場できる年齢は18歳から。「高校3年のとき、卒業する前に何か新しいことにチャレンジしたい」という思いも相まって思い切って出場した。

谷上礼佳さん(23)。アイアンマン世界選手権大会に20歳の若さで出場し、日本人女性として最年少出場者となった。現在はトライアスロンショップ「アスロニア」のスタッフとして、自身の経験を生かした女性限定のビギナー向けイベントを主催するなど活躍の幅を広げている Photo: Shusaku MATSUO

 これを機にロードバイクにも乗り始めた。父親の影響で幼い頃に小径車で長距離を走っていた経験はあるが、ロードバイクはゼロからのスタートだった。初めてロードバイクに乗った印象は、「これまで乗っていた自転車と全然違う」。恐怖感はなく、むしろ楽に漕げる分もっと長い距離を乗ってみたくなった。しかし、本人いわく「バイクはとっても遅く」、マイペースに走りたいという理由で1人で黙々と練習していた。

 練習を重ねるたびに走る距離が伸び、いつしかバイクの練習はロングライドに。その延長上に見えてきたのが180kmのバイクセクションを含むアイアンマンレースだった。「もともと水泳でも長距離が得意で、体育の授業でも短距離よりは持久走が得意だったので、持久力勝負になれば勝負できるんじゃないかと思った」という谷上さん。トライアスロンデビューしたわずか1年後の19歳、当時国内で唯一開催されていた「アイアンマン北海道」に出場することを決めた。

 この著しい成長に技術が追いつかず、最初のアイアンマンはフラットペダルで走ることに。高校を卒業したばかりで、それまでフルマラソンを走った経験もなかった。それでも出場する意欲は失せず、大人でも二の足を踏んでしまう高額なエントリーフィーも全額自分で捻出した。

 そうして迎えた本番ではバイクセクションで時間がかかり過ぎてしまい、ランの前半は回収車に追われながら走ることに。ただ、アイアンマン北海道の開催がこの時で最後という噂を耳にしていたこともあり、「このチャンスを逃したら走れなくなる」と思い、気持ちを切らさずに最後まで走りきった。

初めてのロードバイクはイタリアのバイクブランド「ウィリエール」。トライアスロンの細田雄一選手が前年の日本選手権で「ウィリエール」に乗っていた記事を見つけ、「それがとてもかっこよくて同じバイクにしました!」。DHバーを握る姿と、足元のスニーカーのギャップが新鮮 提供: 谷上礼佳

 この挑戦が次なるチャンスにつながった。谷上さんが出場した「18~24歳」のエイジグループ(年代別グループ)には他に女性選手がおらず、完走することでエイジ優勝。その結果、数カ月後にハワイ島のコナで開催されるアイアンマン世界選手権大会にエントリーできる資格を獲得した。

 ただ、獲得したものの実際に行くかどうかは迷った。まだそんな実力がないことは自分が一番わかっていたし、当時始めたばかりの仕事をレースのために一週間仕事休むことも気が引けた。翌朝までの決断を迫られ、考え抜いた結果「いつでも誰でも行けるものじゃないから」と出場を決意。「来たチャンスを逃しちゃいけないというのが自分のスタンス」と、挑戦する原動力を再び奮い立たせた。

自信につながった世界選での完走

 「一言でいうとコナは、すごかった」─。日本とは比べ物にならない観衆の多さと大会の熱気。町を挙げての大会のスケールの大きさに圧倒された。「応援してくれている人たちの数も全く規模が違って、あんなに長いコースなのに至るところでたくさんの人が応援してくれた。いま振り返ると本当にすごい大会で、怖いもの知らずだったから挑戦できたのかも(笑)」。

沿道の声援に答えながら、フィニッシュゲートに向かう谷上さん 提供: 谷上礼佳(=2015年アイアンマン世界選手権大会)

 同じエイジグループは想像を上回る選手の数。その中でもスイムは「まずまずのタイム」で上がれたが、バイクパートは外国人選手の圧倒的なパワーを見せつけられた。走っている間は「なんで来ちゃったんだろう」と何度も思ったが、自分のペースを維持して走り続け、やがてフィニッシュゲートが見えてきたときには「もうちょっと走っていたい」という気持ちに変わっていた。

ゴールした瞬間、完走の喜びを噛みしめる谷上さん 提供: 谷上礼佳

 そして初挑戦にして見事完走。当時の気持ちについて、「つらかったけどいままで一番楽しかったレース。完走した瞬間、またここに来たいと思いました」という谷上さん。「その気持ちは今も変わっていません」と明確な意思を語る。

 この日から3年、谷上さんはトライアスリートとしてトレーニングを続ける傍ら、都内のトライアスロンショップ「アスロニア」でスタッフとしてトライアスロン挑戦者をサポートする立場となった。まだまだ少ない女性の競技人口を拡大すべく、自主的に女性限定のセミナーやイベントを開催。周囲からも「アイアンガール」という愛称で親しまれている。

 「完走できたことはいまでも自信になっています。自分のスポーツ史上、一番つらかった経験でもあるので、それを思い出しながら日々練習するとつらいことも乗り越えられるし、トライアスロンの魅力を伝える上でも自分の経験が生きていると感じます」と、経験を次なるステップアップへとつなげている。

女性限定のイベントも主催(写真右が谷上さん)。「まだまだ女性が少ないので、自分が伝えることで身近なスポーツとして感じてもらえたら」 提供: 谷上礼佳
1時間のレースを想定したバイクトレーニング。音楽とともにギヤやテンポを変えながら、上りや向かい風のイメージを作るそう。皆でやれば1時間もあっという間! 提供: 谷上礼佳
「アイアンマンハワイを完走できたことはいまでも自信になっている」という谷上さん。競技者として、スタッフとして様々な場面で経験が生きる Photo: Shusaku MATSUO

「アミノバイタル」はコンディションづくりに不可欠

 トライアスロンへの初挑戦からわずか5年、チャンスを生かしてステップアップしていることを「ラッキーだった」という谷上さんだが、それには決して運だけではなく舞い込んできたチャンスを生かす力が欠かせない。その秘訣を尋ねると、「何も特別なことはしていませんが、強いていえばベースとなるトレーニングや健康管理を継続することに加えて、挑戦を楽しむ気持ちと自分の限界を決めない柔軟さを心がけています」との返事が返ってきた。

「限界を決めつけずに挑戦を楽しみたい」という谷上礼佳さん Photo: Shusaku MATSUO

 体調管理についても敢えて特別なことはしない。レース本番が近づいてもカーボローディングのために食事の量を増やしたりせず、普段通りの生活を大きく変えずに調子をキープする。ただ、そんな彼女でも唯一信頼を寄せるのが「アミノバイタル プロ」だ。

 「競泳選手だった頃から『アミノバイタル プロ』は使い続けています。競泳は予選があって決勝へと進むんですが、予選で手を抜いて決勝に残れるほどの実力はなかったので(苦笑)、予選から全力でいってました。なので決勝前にリカバーするために『アミノバイタル プロ』を飲み、一度昼寝をするんです。そうするとだいぶ軽くなるという感覚がありました。それを実感してきたので、いまでも調子を整える上で欠かせない存在になっています」。

アミノ酸組成を全面リニューアルした「アミノバイタル プロ」。ロイシンが高配合された当社独自のアミノ酸組成にグルタミンや新配合のシスチンなどを組み合わさり、アミノ酸含有量が200mg増の3800mgに。カラダ全体のコンディショニングをサポートする力がより高まった。味に加えて溶けやすさも改良され、「以前より飲みやすくなりましたね」と谷上さん Photo: Shusaku MATSUO
レース前のコンディショニングには青い「アミノバイタル プロ」(左)と、レース後のリカバーには金色の「アミノバイタル ゴールド」。目的に応じて使い分けをしている Photo: Shusaku MATSUO

 「アミノバイタル プロ」の使い方については、「主にパフォーマンス前に調子を万全にしたいときに使います。あとは摂ると少し調子を取り戻せる実感があるので、『もうひと頑張りしたい』というときにも使っています」とのこと。

 一方でトレーニングでハードに追い込んだ日や、翌日に向けてリカバーしたいときには「アミノバイタル ゴールド」を使うようにしたり、目的に応じてアミノバイタルを使い分けているそう。パフォーマンス維持のために常にリカバーを意識する選手時代の“名残”がうかがえる。

もう一度アイアンマン世界選の舞台に

 次なるステップアップとして、「競技者として来年もう一度アイアンマン世界選の舞台を走りたい」と強い思いを語る谷上さん。次は25~29歳のカテゴリーで挑戦することになり、レースの難易度が増す。そのために克服しなければならない課題としてバイクパートに照準を当てる。「バイクは一番差がつくパートで、頑張りすぎると次のランまでもたないけれど、休みすぎると差が開いてしまいます。バイクパートは何回やっても課題が出てくるばかり。国内のレースで経験とスキルを磨いて臨みたいと思います」。

今年納品された新車、スペシャライズド「VENGE」(ベンジ)とともに Photo: Shusaku MATSUO

 とはいえ、ときに自己管理で避けられない不調もあったり、いつもベストコンディションが作れるというわけではない。実際、最近のレースではスイムで弱点の“波酔い”が続き、成績が奮わないことも。そんなときは焦らず、無理に頑張らないようにする。オーバーワークがもたらす体や気持ちへの負荷は、競泳選手だった頃から身を以て知っている。挑戦するモチベーションの火を秘めつつ、静かにそのときを待つのも彼女のコンディションづくりの考え方だ。

「もうひと頑張りしたいというときにアミノバイタルを使っています」という谷上さん Photo: Shusaku MATSUO

 競技者として進化を遂げる谷上さんだが、一方で自転車に関しては「実はポタリングなどのんびりライドの方が好き」という一面も。スピードを競わない長距離ライドイベント「ブルベ」にも関心があるそうで、10月には練習をかねて200kmのブルベを走る予定だという。少し意外な展開だが、走った先で次は何を経験し、吸収するのか。“アイアンガール”の進化は止まらない。

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