8月9日までに発表された有力選手の動向をチェックニバリはトレック、ランダはバーレーン、マスはモビスター ビッグネームの移籍発表が相次ぐ

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 自転車ロードレース界では、8月1日に2020年シーズンに向けた移籍市場が解禁され、早速、大物選手の移籍が発表されるなど、大いに賑わいを見せている。今回は、8月上旬までに正式発表された来季の移籍情報をまとめた。

移籍市場が解禁されて1週間ほどだが、グランツールレーサーの移籍が相次いでいる Photo: Yuzuru SUNADA

総合系ビッグネームの移籍が相次ぐ

 グランツール全制覇を成し遂げているヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がかねてからの噂どおりトレック・セガフレードへの移籍を発表した。弟のアントニオの移籍も同時に発表され、ヴィンチェンツォは2年契約、アントニオは1年契約とのことだ。

 トレック・セガフレードは2017年にアルベルト・コンタドール(スペイン)、今シーズンはリッチー・ポート(オーストラリア)を獲得しており、30代半ばを迎えた即戦力グランツールレーサーを獲得する傾向にある。しかし、コンタドール、ポートと共に潤沢なアシストに恵まれたとは言いがたく、直近3年間のグランツールでの最高成績は総合5位だ。今後の山岳アシストの補強が順調に進むかどうかも注目ポイントだ。

8歳年の違う兄のヴィンチェンツォ(右)と弟のアントニオ(左)のニバリ兄弟 Photo: Yuzuru SUNADA

 そのニバリを失ったバーレーン・メリダは、今年のジロ・デ・イタリア総合4位、ツール・ド・フランス総合6位となったミケル・ランダ(スペイン、モビスターチーム)を獲得した。

ツールでは不運な落車もあり、総合6位だったミケル・ランダ Photo : Pool / AFP / SUNADA

 2018年シーズンにモビスターに加入したランダは、コンタドール引退後のスペイン自転車界を背負う存在として大いに期待されていたが、直近2年間のグランツールでは今年のジロ総合4位が最高成績だった。チーム内ではリチャル・カラパス(エクアドル)やナイロ・キンタナ(コロンビア)とのすみ分けも難しく、自由な走りを許される機会が少なかったこともあったが、バーレーン・メリダではいよいよ単独エースとしてグランツールに挑むことができそうだ。

 そのランダが抜けたモビスターには、2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位となったエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)が加入する。24歳と若く、将来性豊かなスペイン人クライマーはスペインチームで更に能力を伸ばすことができるか注目だろう。

 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)はCCCチームへ移籍。2017年ブエルタで総合3位となったが、直近2年間は所属チームの不調と連動するかのようにザカリン自身も低迷気味だった。総合エース不在のチームにあって、のびのびとした走りが期待できそうだ。

ジロ・デ・イタリア2019 第13ステージで勝利したイルヌール・ザカリン Photo : Yuzuru SUNADA
3年連続ツール・ド・フランスに出場し、総合順位は23→21→12位と着実にステップアップしているギヨーム・マルタン Photo: Yuzuru SUNADA

 また、今年のツール総合12位のギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・ゴベール)は、コフィディス・ソルシオンクレディに移籍する。総合系の薄いベルギー籍のプロコンチネンタルチームでの武者修行を終え、フランス籍のチームで更なるステップアップを図る。

 これら即戦力の補強に対して、チーム サンウェブは将来性を重視した若き才能の獲得に注力している。2018年には「ベビージロ」と呼ばれるU23版ジロ・デ・イタリアで総合4位となった20歳のマーク・ドノヴァン(イギリス、チームウィギンス)、同じく2018年に若手登竜門レースとして最も名高いツール・ド・ラヴニールで総合2位となった19歳のティメン・アレンスマン(オランダ、SEGレーシングアカデミー)(※正式には2020年7月に加入予定)を獲得。2019年シーズン、所属選手の平均年齢が最も低いサンウェブは、引き続き育成重視の方針をとっている。

 UAE・チームエミレーツも将来有望な若手選手2人を獲得。ブランドン・マクナルティ(アメリカ、ラリー・UHCサイクリング)はジロ・デ・シチリアで総合優勝、ミッケル・ビョーグ(デンマーク、ハーゲンズベルマン・アクシオン)は2年連続U23世界選手権個人タイムトライアル王者である。いずれも、アメリカのプロコンチネンタルチームからの移籍だ。

昨シーズンの最多勝選手が移籍

 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)は、リードアウト役のファビオ・サバティーニ(イタリア)と共にコフィディスへの移籍を発表した。ヴィヴィアーニは2018年シーズンに個人最多となる18勝を飾ったが、その際に最終発射台を務めていたのがサバティーニだった。

 コフィディスは更にシモーネ・コンソンニ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)も獲得。フェルナンド・ガビリア(コロンビア)などのリードアウトとして活躍していた選手だ。コフィディスは元々スプリントを得意としているチームであり、チームにフィットすることさえできれば、ヴィヴィアーニはこれまで通り勝ち続けられるだろう。

2018年は18勝、今シーズンも8勝をあげているエリア・ヴィヴィアーニ Photo: Yuzuru SUNADA
ヴィヴィアーニの勝利をアシストし、ガッツポーズしながらフィニッシュするファビオ・サバティーニ=ジロ・デ・イタリア2018 第2ステージ Photo: Yuzuru SUNADA

 マス、ヴィヴィアーニの移籍元であるドゥクーニンクだが、リードアウトトレインの一角として頼もしい働きを見せていたダヴィデ・マルティネッリ(イタリア)もアスタナプロチームへの移籍を決めた。アスタナにはマルティネッリの父親であるジュゼッペがスポーツディレクターを務めており、ある意味では必然ともいえる移籍となった。

 戦力流出が相次ぐドゥクーニンクだが、補強面では積極的な動きを見せている。かつて別府史之もステージ勝利を飾りプロへの道を開いたレースでお馴染みのジロ・デッラ・ヴァッレ・ダオスタでのステージ優勝を含む、U23対象レースで計4勝をあげている20歳のアンドレア・バジョーリ(イタリア)を獲得。さらにクラシック要員としてステイン・ステールス(ベルギー、ルームポット・シャルル)、リードアウト要員としてベルト・ファンレルベルへ(ベルギー、コフィディス・ソルシオンクレディ)を獲得。決してビッグネームではないが、若手選手と比較的無名な中堅選手の活用に定評のあるチームなので、心配は無用だろう。

身長165cmと小柄ながら抜群の加速力を誇るシモーネ・コンソンニ=ツアー・ダウンアンダー2018 チームプレゼンテーション Photo: Yuzuru SUNADA
ミッチェルトン・スコットでの2年間は、エースとしての走りだけでなくアシストとしての走りも目立っていたマッテオ・トレンティン=さいたまクリテリウム2018 チームプレゼンテーション Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、今シーズンはヨーロッパチャンピオンジャージを着用し、ツール第17ステージでは逃げ切り勝利を飾ったマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)はCCCチームへ移籍。グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー)と共にクラシック戦線での活躍が期待されている。

 CCCチームは昨年、BMCレーシングチームのスポンサー問題を受けて、移籍市場においては出遅れる形となっていた。CCCが後継スポンサーに決まったのは7月中旬のことだったため、水面下では有力選手の多くが移籍先を決めている状況だったのだ。しかし、今年の移籍市場ではスタートダッシュを決め、総合・ワンデークラシック両面でエースを務められる選手の獲得に成功している。

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