スキー場でのe-MTBの活用は流行るか?MTBの聖地「白馬岩岳」の今 パナソニックと白馬観光開発がe-BIKEで新たなブーム創出へ

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 かつてマウンテンバイク(MTB)の聖地と呼ばれた場所がある。長野県白馬町にある白馬岩岳だ。1990年代に未曽有のブームとなったMTBだったが、徐々に沈静化。最盛期には数万人いた白馬岩岳の利用者数は減少し、1990年代後半にMTBコースは閉鎖に追い込まれた。転機を迎えたのが2015年。地元有志らが中心となってコースを整備、2017年から白馬岩岳の策道事業を営む白馬観光開発も本格的に乗り出し、復活を遂げた。そして今、パナソニックサイクルテックも加わり、e-BIKEという新たなモビリティを活用しながら新たな重要の開拓を進めようとしている。

MTBの聖地「白馬岩岳」でe-BIKEの活用がスタート Photo: Masahiro OSAWA

生まれ変わったMTBの聖地

 白馬岩岳はかつてのMTBコースをそのまま再現し、復活を遂げたわけではない。かつてのコースは中・上級者向けの「カミカゼダウンヒル」というコースで一部利用されているものの、コースの多くは新たに造成されたものだという。

2017年にメインコースを造成。初級者向けにダウンヒルコースを造成したという Photo: Masahiro OSAWA
絶景を視界におさめながら波打つコースを走るのは格別の体験だ Photo: Masahiro OSAWA

 全長6900mに及ぶメインコースの「アルプスダウンヒル」も新たに誕生したコースだ。2017年にMTBワールドカップのコース設計を担当するオーストラリア人のエヴァン・ウィントン氏を招き、コースを造成。木の根や岩などを極力排し、波を打つかのようにダウンヒルが楽しめるフロートレイルができあがった。コースを走れば、浮遊感に包まれ、白馬連山が作り出した絶景が視界に広がり、今までに感じたことのない高揚感を得られる。

 こうした取り組みが実り、白馬岩岳MTBパークへの来場者数は2015年に550人だったのが、2017年には6000人に、2018年には1万人に達した。

リゾート感溢れる白馬岩岳

 マウンテンバイカーが増えたのはコースの魅力だけではないかもしれない。山頂には白馬連山の絶景を楽しめるテラスを備えた「HAHKUBA MOUNTAIN HARBOR」(ハクバ・マウンテンハーバー)が2018年10月にオープン。ニューヨーク発の老舗ベーカー「THE CITY BAKERY」(ザ・シティ・ベーカリー)も出店した。

山頂にはニューヨーク発のベーカリー「ザ・シティ・ベーカリー」がある Photo: Masahiro OSAWA
「ザ・シティ・ベーカリー」ではクッキーなどのベーカリー、サンドイッチなどを販売 Photo: Masahiro OSAWA
「ザ・シティ・ベーカリー」に併設されたハクバマウンテンハーバーテラスには裏立山連峰が広がる Photo: Masahiro OSAWA
山頂にはウッドデッキから絶景が楽しめるグリーンパークもオープン Photo: Masahiro OSAWA

 さらに山頂の芝生エリアにはウッドデッキが置かれ、絶景を楽しむグリーンパークも今夏にできた。ほかにもドッグランが用意され、Wi-Fi環境も整っていることから、山頂シェアオフィスとしての活用も見込む。マウンテンバイカーのみならず、数多くの人が楽しみ、リラックスするリゾート空間として生まれ変わっている。

パナソニックが白馬岩岳でe-BIKEレンタルを展開

 そして、8月3日からe-BIKEのレンタルサービスも開始した。タッグを組んだのはパナソニックサイクルテックだ。山頂に全長500mほどの「パナソニックコース」(仮称)を新たに造成し、同社のe-MTBを6台(XM2が2台、XM1が4台)用意した。

山頂にレンタルe-MTBを6台(XM2が2台、XM1が4台)を用意。e-BIKEへの興味・関心を高めたい考えだ Photo: Masahiro OSAWA

 レンタル料金は、1台あたり1時間2000円。走行可能エリアは山頂のみ。岩岳山頂を360度周遊できる1周1200mほどの「マウンテンサイクリングコース」と一本道で往復1kmほどの「パナソニックコース」を走行できる。山頂付近の周遊は、下りもあれば上りもあるコースになっており、e-BIKEの本領を発揮する。山頂だけでも1、2時間は楽しめるとし、さらにパナソニックコースの拡張も計画しているという。山頂を訪れた家族連れの観光客を相手に、新たなアクティビティとして提案していきたい考えだ。

パナソニックコースの終着点は裏立山連峰の絶景が広がる Photo: Masahiro OSAWA
パナソニックコースを走行。絶景を観ながらゆったりe-MTBでちょっとしたアクティビティを味わえる Photo: Masahiro OSAWA
山麓のレンタルショップ「SPICY」ではXM-D2を2台用意

 山麓にあるレンタルショップ「SPICY」でもレンタルサービスを行う。麓ではフルサスペンションe-MTBの「XM-D2」を2台を用意。レンタル料金は、1台あたり1時間4000円(1日レンタルでは1万円)。白馬岩岳MTBパークの全コースを楽しむことができ、白馬の街中に出たりしてe-MTBでサイクリングをするなど、多目的に遊ぶことが可能だ。さらに今後はe-MTBを使った登坂ツアーも計画しているという。通常は麓からはMTBで上れないが、ガイド付きのツアーという形で実施予定。森の中を走り、途中の絶景も楽しめるという。(※価格は全て税込み)

観光客メインにe-MTBの利用増えるか

 山頂、山麓のいずれでもレンタルサービスを提供するが、パナソニックサイクルテックがより重視するのは、山頂を訪れる観光客のほうだ。パナソニックは、e-MTBのターゲットをマウンテンバイカーよりも一般の観光客に比重を置いており、e-MTBの乗車体験を通じて、e-MTBへの魅力・関心を高め、最終的に購買へとつなげたい考えだ。

 e-MTBの利用者数は「e-MTBの魅力×白馬を訪れる観光客」の掛け算で求められる。「e-MTBの魅力」はまだ未知数だが、後者の部分は積極的な取り組みが進んでおり期待度は高い。白馬観光開発は観光客増加のテコ入れを進めているからだ。自社運営のスキー場では、白馬岩岳以外でもリゾート感溢れる新施設をどんどんオープンしている。直近では7月に白馬八方尾根うさぎ平にサウナや水風呂が楽しめる「白馬マウンテンビーチ」をオープンし、話題を呼んだ。

観光客に絶景ライドを楽しんでもらい最終的に購買へつなげたい考え Photo: Masahiro OSAWA

 何より面白いのは、白馬エリア全体のリゾート化を進めていることだ。アウトドアブランドのスノーピークと手をとり、白馬の街中にスノーピーク店舗、カフェ・レストラン、温泉施設などを備えた体験型複合施設の建設も進めており、街全体の魅力を高めた誘客活動を進めているのだ。白馬では、宿の後継者不足といった問題も抱える。それを打開するには、街全体の魅力を高めて、観光客を増やし、街全体が潤う循環を作り出すことが最善だと見ているようだ。

 こうしたバックグランドを持ったのが白馬だ。リゾートとしての魅力が高まり観光客が増加するなら、白馬岩岳山頂で実施するe-MTBレンタルサービスを目にする観光客の数は増えていきそうだ。あとは利用者数の増加へとつなげるために「e-MTBの魅力をいかにして伝えるか」にかかってきそうだ。

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