現地インタビュー機材を思う選手の本音とは ツール・ド・フランスで勝利を量産するシマノプロダクツに注目

by 山口和幸 / Kazuyuki YAMAGUCHI
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 世界最高峰のレース「ツール・ド・フランス」ではバイクだけではなく、選手が身に着けるエキップメントにも最新のテクノロジーが用いられている。ライダーのペダリングをダイレクトに受け止めるシューズや、安全性と快適性を追及したヘルメットの選択理由はプロ選手ならではだ。勝利を支えたシマノが手掛けるエキップメントを、ツール取材30年目の山口和幸さんのリポートでお届けする。

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ユンボ・ヴィスマはステージの特性や選手の好みでレイザーのヘルメットを使い分ける Photo: Yuzuru SUNADA

定番機能に付加価値を追加

 年々高速化するレースにおいて、バイクはもちろんのこと、ライダーが使うエキップメントの進化もめまぐるしい。ペダリングに重要なファクターとなるシューズに目を向けてみると、ツール・ド・フランスに参加する選手のほとんどが、ダイヤル式で締め込む着脱システムを搭載したモデルを使用していた。

高効率なペダリングを可能にするハイエンドシューズ「エスファイアRC9」 ©SHIMANO

 そんな中、シマノのフラッグシップモデル、「S-PHYRE(エスファイア) RC9」で戦ったチームがふたつ。総合3位を獲得したステフェン・クライスヴァイク(オランダ)を擁するチームユンボ・ヴィスマと今回3タイプのバイクを用意し、ステージと選手特性へのアジャストにひいでたチーム戦略が印象的だったチーム サンウェブだ。数あるモデルの中でなぜシマノのシューズをチョイスしたのか? 選手をはじめ関係者に聞いてみた。

クライマーのチャド・ハガ(チーム サンウェブ)はシューズに軽さを重視 Photo: Yuzuru SUNADA

 まずチーム サンウェブのクライマーとしてその役割を全うし、シャンゼリゼまで走りきったチャド・ハガ(アメリカ)。バイクはもちろん、細部のパーツにまで『軽さ』にこだわりを見せるハガは、「ソールとアッパーの一体構造によってより軽く、よりペダリングのダイレクト感が得られる印象が強い。高剛性と軽量化のバランスが高次元でとれている点が、僕の走りに合っているんだ」とその特性を代弁してくれた。

シマノのハイエンドシューズ「エスファイアRC9」 Photo: Pressports

 フィット感の向上と微調整、それによるペダリングのダイレクト感をより得やすいダイヤル式シューズは、もはやトップサイクリストのスタンダードといっていい。その「定番機能」に、どのような付加価値が加えられているのかがトップサイクリストのチョイスの基準になっているのだろう。

 シマノダイナラストは最もペダリングに適した底面形状を多くのプロライダーからのフィードバックを得ながら導き出し、高効率なペダリングを実現した。また、ラスティングボードをなくし、アッパーを直接カーボンソールに貼付したことで、従来のものより3.2mmもペダルとの距離が近くなった。これにより、踏み込みが安定したとともにダイレクトなペダリングが可能となった。もちろん、圧倒的な一体感のサラウンドラップ構造を採用し、足全体を包み込むかつてないフィット感を実現している。

 「見てもらって分かるようにアッパーの(通気口の)デザインから通気性が抜群なんだけど、ソールのつま先部分(裏側)にも水抜きの穴があって、気候の変化にもフレキシブルに対応できる。これも(アルプスなど気候の激しい変化が想定される)ツール・ド・フランス向きと言えるね。あと、白一色のカラーリングってオシャレだと思わない?」

 なるほど、他メーカーのシューズを見てみても白ベースのモデルが多く見られ、近年のトレンドカラーと言えそうだが、ワンポイント的に他の色をあしらったモデルがほとんど。その中でもチームサンウェブはそのひときわ「白」が目立っていた。

ステフェン・クライスヴァイクを個人総合3位に送り込んだユンボ・ヴィスマの足元はエスファイアRC9が固める Photo: Yuzuru SUNADA
シューズとともにプロ選手のパワーを受け止め、推進力にするハイエンドペダル「PD-R9100」 ©SHIMANO

 カラーリングのバリエーションというと、ユニークだったのがユンボ・ヴィスマだ。このエスファイアRC9は3カラーがラインナップされているが、前述のホワイトが大半を占める中、色鮮やかなブルーをはじめ、パーツでワンポイント色を入れるなど、各選手の好みを優先させている。そんな中、写真のジョージ・ベネット(ニュージーランド)の愛用シューズが群を抜いて目立っていた。

 「彼女が特別にデザインしてくれたんだよ。まさに僕専用のシューズ。これでハードなステージでもモチベーションが上がるね(笑)」

オリジナルデザインが施されたジョージ・ベネットのエスファイアRC9 Photo: Pressports

 途方もなく長いステージが続くレースの中で、ちょっとした色のこだわりやオリジナリティで気分を高めたい…。サイクリストならその心境、分かるだろう。

 「外からは見えないんだけど、ヒールカップとアッパー部分の接合に縫い目がなく、ホールド感の高さはもちろんのこと、足(肌)触りの違和感がまったくないところも気に入っているんだ」

コース特性や走りのスタイルで使い分け

 この2チームはLAZER(レイザー)のヘルメットを採用している点も気になった。このベルギー発信のブランドは、1990年代にアイアンマン世界チャンピオンに輝いたベルギー選手が利用していたときから注目されているメーカーだ。今回のツール・ド・フランスでは、「バレット2.0」と「Z1」の2種類を使い分けていた。

平坦ステージで選択されることが多かったレイザー「バレット2.0AF」 Photo: Shusaku MATSUO
軽量で、通気性に優れたレイザー「Z1」 ©SHIMANO

 その理由をチームサンウェブのPRマネージャー、ピーター・リーフさんに聞いてみた。

チーム サンウェブのPRマネージャー、ピーター・リーフさん Photo: Pressports

 「鋭いところを見ているね(笑)。そう、うちのチームはステージ特性によってヘルメットも使い分けいるんだ。バレット2.0はエアロ形状に秀でているのでフラットステージに、Z1は軽量化に特化したモデルなので山岳ステージでチョイスしている」

 いわゆるタイムトライアル用に代表されるようなエアロヘルメットは多少の通気性を犠牲にしているタイプもあるが、このバレット2.0は高いエアロ性能を保ちつつ、快適な通気性を得られる点がメリットだともいう。

エアインテークを調整できるエアロヘルメット、レイザー「バレット2.0」 Photo: Pressports
軽量で、優れた通気性を誇るレイザー「Z1」 Photo: Pressports

 ベネットは、「ヘルメット中央にあるエアインテークを前後にスライドさせることによりベンチレーション量を調整できる。ほんとグッドなアイデアだと思うよ。ほかのメーカーでこんなのある?」

レイザー「Z1」を被るチーム サンウェブ Photo : Yuzuru SUNADA

 ダイヤル式によるシューズフィッティングの微調整から、ヘルメットも好みにアジャストできる機能が今後のスタンダードになっていくのか? ツール・ド・フランスを追っていると、毎年新たな革新的機能が見られる点も、興味が尽きないところだ。

 最後に第106回ツール・ド・フランスを総括すると、ユンボ・ヴィスマがチームタイムトライアルを含むステージ4勝、ドゥークニンク・クイックステップが3勝、ボーラ・ハンスグローエが1勝、ミッチェルトン・スコットが4勝、グルパマFDJが1勝など、シマノを使用するチームが全20勝(第19ステージは勝者なし)と活躍した。

個人総合のトップ3はシマノコンポーネンツユーザーだ Photo : Yuzuru SUNADA

 マイヨジョーヌにいたっては全21ステージ中19ステージで着用した。さらに4賞ジャージはマイヨジョーヌと新人賞をイネオスのエガン・ベルナル、ポイント賞をボーラ・ハンスグローエのペテル・サガンの3部門で獲得。世界の頂点に位置する大会でシマノ製品は選手から極めて高い信頼感を得ていることがうかがえるのだった。

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