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新連載・入門!自転車栄養学<2>夏バテ防止に強い味方「アイススラリー」 暑熱環境下での運動継続に有効との実験結果も

by 河南こころ/Kokoro KAWANAMI
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 前回の水分補給に関する話題からあまり間を空けずに第2回目を書くことになりました。連日、35℃以上の猛暑日に見舞われているこの危険な事態に、まだあまり知られていないであろう暑さ対策を皆さまにお知らせしたいと思ったためです。それは夏バテ防止策として近年注目され始めている「アイススラリー」についてです。

夏バテ防止策として注目されている「アイススラリー」とは? Photo: iStock.com/gbrundin

過剰な水分摂取は夏バテの原因に

 昨年の夏の出来事なのですが、連日の猛暑の最中に「ものすごく喉が渇くから水分補給を一生懸命していると、お腹がちゃぽちゃぽになってごはんが食べられない。どうしたらいい?」と選手から相談がありました。

 たしかに、この問題は「喉が渇く→水分をめちゃくちゃとる→お腹いっぱいになる→ごはんが食べられなくなる→エネルギーも栄養素も不足する→しんどくなる(体調不良)→でも暑いから喉が渇く→水分はとる→…」という感じで、夏バテに陥る負のスパイラルを引き起こします。

 しかし「水分を控えて」とは、熱中症になってしまうのでいえません。しかしこのままでは夏バテになってしまう。この負のスパイラルを防ぐためにはどうしたら良いのか? ─と、いろいろ調べていた時に「アイススラリー」という言葉を知りました。

氷が水に変わるときに体内の熱を吸収

 アイススラリーとは、液体に非常に小さな氷の粒が混ざったもので、飲食店にあるフローズンドリンクを想像してもらうと良いと思います。スポーツドリンクのような液体だけよりもアイススラリーが良いとされるのは、氷が水に変わる際に体内の熱を大きく吸収するので効果的に身体を冷却できるためです。

 体内にアイススラリーを摂取することで身体内部の冷却にもなり、暑熱環境下での運動継続時間が延長したという実験結果もあります。さらに、アイススラリーの摂取によって冷却された血液が、脳の活性化や運動継続のためのモチベーション低下を防ぐ可能性もあるといわれています。

アイススラリーの摂取が暑熱環境下での体温および持久性運動能力に及ぼす影響を示した研究結果(↑は飲料摂取。*:条件間の比較p<0.05)。運動前に冷水、またはアイススラリーを摂取し、室温34℃、相対湿度55%の暑熱環境下で中強度のランニング運動を疲労困憊に至るまで行なった。アイススラリーの摂取によって運動前の直腸温が有意に低下し、運動できる幅が広がったため、すべての被験者の持久性運動パフォーマンスが向上した 出典:NSCAジャパン機関誌2018年7月号(Volume25,Number6)

 そんなアイススラリーの摂取タイミングは、ライド(レース)前、またはライド中がオススメです。ちなみに上記の実験結果は運動前にアイススラリーを摂取しています。このことからも、体温の上昇を抑えることがレースでのパフォーマンス発揮や快適なロングライドにとっていかに重要なことであるかがわかります。

スポーツドリンクでかき氷を

 まだまだ一般的には認知度の低いアイススラリー。どうやって手に入れたら良いのか? というところですが、身近なものではかき氷などがそれに該当します。かき氷を少し溶かして、液体と氷を一緒に摂取する。その際、かき氷シロップだけでは糖質しか補給できませんので、どうにかしてミネラルも一緒に補給できるとベストです(塩を振る?)。もしご自宅にかき氷機をお持ちでしたら、ぜひスポーツドリンクを凍らせて、それでかき氷を作ってみてください。

 猛暑が続く夏でもレースやサイクルイベントは開催されます。楽しい思い出をつくるためにも、今年はアイススラリーを導入してみてはいかがでしょうか? ただし、冷たいものでお腹を下してしまう人は事前に試しながら、無理のない範囲で導入してみてください。

河南こころ
河南こころ(かわなみ・こころ)

管理栄養士。女子フィギュアスケートバンクーバー五輪銀メダリスト、男子バレーボールVプレミアリーグ所属チーム、ラグビートップリーグ所属チームなどを栄養面からサポート。ロードレースチームの「シマノレーシング」を担当していた経歴をもち、現在も「シマノ鈴鹿ロードレース」で開催される栄養講座の講師を務めている。現在はオリックス・バファローズとフルタイム契約でどっぷり野球漬けだが、自転車ロードレースの主要な国内レースは常にチェックしているというロードレースファン。

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