ドイツ人サイクリストのMTB旅<3>地上150m!大阪平野を一望できる“道”

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<2>長崎・出島で辿ったドイツ史

5月11日、金曜日=大阪

 午前中は、ちょうど40年前の1972年に始まったミノルタカメラ(現・コニカミノルタ)とライツ・ヴェッツラー(ライカ)との提携の記念碑を訪れた。

ミノルタカメラ(現・コニカミノルタ)とライツ・ヴェッツラー(ライカ)のチーフ通訳を務めた松下氏とミノルタカメラ(現・コニカミノルタ)とライツ・ヴェッツラー(ライカ)のチーフ通訳を務めた松下氏と

 9時15分、当時の両社の交渉でチーフ通訳を務めた松下氏とホテルのロビーで打ち合わせを行う。40年前に日本とドイツの「ハイテク」企業が手を結んだ協力関係のように、私たちは松下氏から興味深い情報を期待した。

 松下氏は、かばんの中から何枚かの写真を取り出し、両社の経済的な関係について説明してくれた。当時の商慣習の違いや、トラブルに関する質問にも、詳細に答えてくれた。また、現在の天皇である明仁皇太子がライツの工場を訪問したことも知った。

◇      ◇

 この非常に有益なミーティングの後、私たちはスイスホテル南海大阪のクリスチャン・シャウフェルヴュル総支配人に希望して、ホテルの屋上から大阪の街並みを撮影させてもらった。地上約150メートルの高さから大阪平野を見渡している時に…屋上の周囲にある、幅約1メートルの鉄格子の通路を自転車で走れるのではないか、と気付いた。この雄大なセットを背景に、大阪の屋根の上を自転車で走れるならば、それは素晴らしい体験になるだろう!

36階から屋上通路へ。業務用階段を進む36階から屋上通路へ。業務用階段を進む

 シャウフェルヴュル総支配人に恐る恐る尋ねると、驚くべきことに許可してくれた。私たちの旅の特別な意義に配慮してくれたのだろう。急いで部屋に戻って自転車を用意し、調理場を通って業務用エレベータに乗り込み、36階で降りて、そこから狭い階段をホテルの最も高い地点まで登り、自転車にまたがった。

 はじめは、粗末な欄干と、目のくらむような高さに対する恐怖心が強かった。この高さでは、風速1メートル程度の風でも建物が揺れる。地震でもあれば、15メートル位は揺さぶられることだろう。しかしそんな恐れも、やがて言葉に言い尽くせない幸福感に取って代わった。まるで富士山の上にいるような感覚。素晴らしい! この最初で最後であろう体験は、忘れられない印象と素晴らしい写真を残してくれた。

スイスホテル南海大阪の屋上からの景観スイスホテル南海大阪の屋上からの景観

 次に、大阪でんでんタウンの電気街へ探索に向かった。松下氏が案内してくれることになり、電気街への道のりは自転車を押して歩いた。もちろん、ホテルに戻る道は自転車で走った。少しでも街をよく知ろうと、いつのまにか遠回りをしていた。

 午後3時、地下鉄で新大阪駅へ向かった。膨大な荷物はワゴンタクシーで新大阪駅まで運んだ。シャウフェルヴュル総支配人が新大阪駅まで付き合ってくれたことは幸運だった。もし彼がいなければ、新大阪へ向かう路線を正しく選び、時間通りに到着することは不可能だったろう。

 シャウフェルヴュル総支配人は、私たちの荷物が「大きすぎるのではないか」と心配していた。だから、新幹線のキップ売り場では、巨大な自転車ケースを持参していることは言わなかった。これほど大きな荷物は、新幹線で運ぶことができないかも知れない。

◇      ◇

自転車旅をバスで行く自転車旅をバスで行く

 列車に乗り込む際には、6台の自転車ケース、6個のトロリー、6個のリュックサック、そしてカメラ機材などの荷物を急いで積み込んだ。何組かの乗客から苦情もあったが、少し場所を移して妥協してもらった。車掌には旅の目的と意義を説明し、理解してもらった。

 18時半、私たちは小田原に到着した。それから、スイッチバック式の鉄道に乗り換え、宿泊先の富士箱根ホテルに向かった。

 箱根町は、東京から南西約100キロにある小さな町だ。富士箱根伊豆国立公園の真っただ中に位置している。近くには、山と火山に囲まれた美しい芦ノ湖がある。歴史的な街道である東海道の箱根の関所は、文字通り“関西”(関所の西)から“関東”(関所の東)への通過点だった。

 ホテルに到着すると、入口に「靴はお脱ぎください」と書かれている。自転車は広げた新聞の上に置くことになった。ホテルでの決まり事は完璧な英語で詳細に説明され、私たちは全員、飛行機の安全手順の説明を思い起こした。

 ここで私たちは初めて、シンプルで質素な日本の生活様式を体験した。日本式の寝室はベッド、テーブル、椅子がなく、各人が着物を着て過ごした。熱い源泉から供給される温泉浴場もサービスに含まれている。入浴すればまさに爽快で、元気づけられた。

 夜も更け、食事は外でとるほかなかった。雨が降っていたので、ホテル側が親切にも運転手をつけてくれた。中華料理の食事を終えてホテルに戻っても、まだ仕事がある。フェイスブックへの投稿、市長への書簡、日報、翌日の計画…。真夜中すぎに就寝。またしても疲労困憊の、しかし忘れ難い思い出が詰まった一日が終わった。

レポート文・写真 ”Hinterländer Mountainbiker”(ヒンターランドのMTB乗り)


<4>箱根・富士山麓で温泉、ビール醸造所、山小屋!

Hinterländer Mountainbiker(ヒンターランドのMTB乗り)
ドイツ・ヘッセン州、ヒンターランド出身のハラルド、ヨルク、マティアス、ウリ、ジギの5人から成る、MTBのグループ。1992年より、世界に散在するドイツ史を求め各地をMTBで訪れている。ヨーロッパのほか、中国、ブラジル、ナミビアを回り、今回は「日本に秘められたドイツ史をMTBで発見する旅」。

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