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栗村修の“輪”生相談<158>30歳男性「エアロロードが人気ですが、実際は軽量な方がいいんですか?」

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近年ヴェンジやシステムシックス等のエアロロードが人気ですが、グランツールのオールラウンダーやワンデーレースのアップダウンのあるレースでは、軽量モデルが好まれているように感じます。

 やはり平坦コース以外では重量が物を言うのでしょうか??

 またそうであれば重くなるディスクブレーキを使用する理由は何故でしょうか??

(30歳男性)

 昨今、機材によるパフォーマンスの差が大きくなっているようです。今までの僕はミドルグレードの機材で勝つのが格好いいとか、コンポーネントの性能差はあまりないとか言ってきたのですが、そうも言っていられない事態になってきたのです。

 それはフレームの設計技術が進歩したためです。僕が選手だった時代はスチールフレームが主流でした。「このフレームは走る」とか「走らない」といった評価はありましたが、あくまで感覚的なモノでした。職人芸の時代だったんですね。

 しかしその後アルミフレームの時代を経てカーボンフレームが主流になると設計の自由度が大きくなり、風洞実験が当たり前になってきました。より科学的になったのです。

 すると、フレームの性能の差が広がりました。国内の自転車雑誌の実験データを見ても、レーススピードである時速40km/h前後でも空力を意識したフレームとそうでないフレームとでは、消費パワーに30W前後もの違いが出るらしいのです。恐ろしい差です。実際、現場の選手たちからも、最新のエアロフレームはとんでもなく速いという話を聞きます。

 じゃあなぜそんなに効果的なエアロフレームを山岳で使わないかというと、まだ若干重いからでしょう。エアロフレームのロードバイクは、自転車全体として見るとノーマル形状のバイクよりも若干重くなります。一方で、すでに最低重量である6.8kgで組み上げられるエアロフレームもあると聞きます。

 もう一つ理由があるとすれば、それはダンシング時の振りやすさ(主観的要素)ではないでしょうか。エアロロードというのは基本的にシッティングポジションをメインに考えられているはずです。空気抵抗に大きな影響を及ぼすハンドル&ヘッド周りはワイヤー類の取り回しも含めて年々特殊な形状へと変化していっています。この辺り(自転車全体での剛性や重量配分など)がダンシングを多用するクライマーやパンチャーにとってまだ若干の違和感を生み出している可能性はあります。

 一方、重量増+空力悪化が予想されるディスクブレーキに関してですが、アップダウンが激しいフレーシュ・ワロンヌを勝ったジュリアン・アラフィリップは、ディスクブレーキを選択していました。ブレーキ性能面では確実にアドバンテージ(特に雨天時)があり、もちろんメーカーの意向もあるでしょうが、もしディスクブレーキに自分の成績を犠牲にするほどのデメリットがあれば、アラフィリップも選ばなかったでしょう。現在開催中のツール・ド・フランスでも、山岳ステージでディスクブレーキを使ってマイヨジョーヌをキープしています。

開催中のツール・ド・フランスでも現在総合首位に立つアラフィリップ。山岳ステージでもディスクブレーキのロードバイクを使用 Photo: Yuzuru SUNADA

 ディスクブレーキ用のフレームは、うまく設計しないと無駄に過剛性になったりバランスが悪くなったりするとも聞きます。現状、おそらく開発力の差によって、ディスクブレーキの強みを生かせているメーカーとそうでないメーカーとが分かれているんでしょう。最低重量である6.8kgで組み上がっていて、更によく進んでダンシングも振りやすければ、ブレーキ性能の高いディスクブレーキを山岳ステージでも使用するのは納得がいきます。

 ひとつだけ言えるのは、あと数年もあれば、すべてのハイエンドロードが「エアロ形状+ディスクブレーキ」タイプになっているということではないでしょうか。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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