ツール・ド・フランス2019 コースプレビュー<第3週>アルプス山脈での最終決戦 ツール・ド・フランス2019運命の大会終盤戦

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 連日熱戦が展開されているツール・ド・フランス2019は、残すところ1週間。命運は残り6ステージにかかっている。今大会の最終決戦地となるのは、これまでも数々の名勝負が繰り広げられてきたアルプス山脈。そして、3週間を戦い抜いた選手たちは7月28日、フランスの首都であるパリはシャンゼリゼへと“帰還”を果たすことになる。大会終盤戦のステージを解説する。

パリ・シャンゼリゼへの凱旋が近づいてきた。アルプス山脈を越えた先に、3週間の戦いの終わりが見えてくる(写真は2018年大会) =2018年7月29日 Photo: Yuzuru SUNADA

●7月23日 第16ステージ ニーム~ニーム 177km 平坦

ツール・ド・フランス2019 第16ステージプロフィール ©︎A.S.O.

 ピレネー山脈が主な戦いの場となった第2週を終えた一行は、前日の第2休息日をニームで過ごす。続いて迎える大会の最終週は、そのニームを発着とする平坦ステージ。全行程を通して大きな上下動はなく、山岳ポイントも96km地点の4級山岳1カ所のみ。もちろん、この日の主役はスプリンター。総合系ライダーたちは、アルプスでの本格的な戦いを前に、試運転の1日となりそうだ。

●7月24日 第17ステージ ポン・デュ・ガール~ギャップ 200km 中級山岳

ツール・ド・フランス2019 第17ステージプロフィール ©︎A.S.O.

 アルプスでの戦いは、まず手始めに丘陵地帯での1日から。レース前半から少しずつ上り始めるものの、カテゴリー山岳は中盤の4級山岳と終盤の3級山岳の2つだけ。フィニッシュ前8.5kmで上る3級コル・ド・ラ・サンティネル(登坂距離5.2km、平均勾配5.4%)がステージ優勝争いに何らかの影響を与えそう。頂上からはフィニッシュまで一気の下りとなるため、この上りでアタックを決められれば、そのまま逃げ切りのチャンスがめぐってくる。リーダーチームやスプリント狙いのチームを中心にメイン集団が主導権を握るのか、逃げグループの先行を容認するのかといった、プロトン全体の判断も見ものだ。

●7月25日 第18ステージ アンブラン~ヴァロワール 208km 山岳

ツール・ド・フランス2019 第18ステージプロフィール ©︎A.S.O.

 いよいよ、この日からマイヨジョーヌをかけた山岳3連戦が始まる。スタート直後の3級山岳を越えつつレース前半を進めていくプロトンは、まず第1関門として1級山岳コル・ド・ヴァル(登坂距離9.3km、平均勾配7.5%)を上る。中腹で10%を超える区間が控えるこの上りから、人数が絞られていくことになる。一度下って、今度はおなじみ超級イゾアール峠(登坂距離14.1km、平均勾配7.3km)へ。頂上が近づくにつれて勾配が厳しくなるツール定番の難所で、メイン集団は精鋭ぞろいとなる。約20km下って、この日の最大の勝負どころとなる超級山岳ガリビエ峠(登坂距離23km、平均勾配5.1%)へ。しばらくは緩やかな勾配が続くとはいえ、ここまで標高2000m超の山を2つ越えてきた脚には、長く続く上りはこたえるはず。頂上を前に9%ほどの勾配となり、この区間で一発にかける選手のアタックが見られるか。頂上にはボーナスタイム(1位通過から順に8秒、5秒、2秒)が設定されており、総合争いが混戦になっているようだと重要な位置づけになってくる。最後は19km下ってヴァロワールのフィニッシュへ。ガリビエでのアタックからダウンヒルでさらに勢いづいて逃げ切る選手が出てくることも考えられる。

●7月26日 第19ステージ サン=ジャン=ド=モーリエンヌ~ティニュ 126.5km 山岳

ツール・ド・フランス2019 第19ステージプロフィール ©︎A.S.O.

 やはりアルプスでも、勝負において大きなウエイトを占めるステージは短めのレース距離に設定された。スタートからひたすら続く上り基調は、集団の出入りが激しいハイスピードな流れが予想される。その間2級1つ、3級2つのカテゴリー山岳をクリア。中間スプリントポイントも通過すると、迎えるはこの日最大の難所である超級イズラン峠(登坂距離12.9%、平均勾配7.5%)へ。断続的に10%前後の急勾配が現れ、緩急の変化に富んだ上りは、総合系ライダーと言えどもリズムを保つのに難儀しそう。頂上にボーナスポイントが設定されており、総合上位陣がボーナスタイムをかけて動きを見せる可能性もある。しばしの下りを経て、最後は1級山岳モンテ・ド・ティニュ(登坂距離7.4km、平均勾配7%)を一気に駆け上がる。フィニッシュ地点が山岳ポイントから2km先に置かれているため、上りからのコース変化に対処を誤ると思わぬタイムの取りこぼしにもつながりかねない。なお、イズラン峠の頂上は今大会最高標高地点(2770m)となっており、1位通過した選手には「アンリ・デグランジュ賞」が贈られる。

●7月27日 第20ステージ アルベールヴィル~ヴァル・トランス 130km 山岳

ツール・ド・フランス2019 第20ステージプロフィール ©︎A.S.O.

 泣いても笑っても、この日でツール・ド・フランス2019が決まる。なぜなら、翌日の大会最終日・第21ステージは総合争いを行わないのが慣例で、パリまでパレード走行が行われるからだ。実質、マイヨジョーヌをかけた戦いはこの日が最後。すべては、このステージで決めなければいけない。スタートから11.5km地点に置かれた中間スプリントポイントまでは、マイヨヴェール争いを展開する選手たちが急ぐとして、それから「新たなレース」へ。まずは1級山岳ロズラン峠(登坂距離19.9km、平均勾配6%)を上り、下りと平坦をこなしたのち、次は2級山岳コート・ド・ロンジュロワ(登坂距離6.6km、平均勾配6.5%)へ。再び下ると、ついに今大会最後の山岳となる超級ヴァル・トランス(登坂距離33.4km、平均勾配5.5%)へと入っていく。特筆すべきは上りの長さ。急勾配こそ多くはないものの、長い上りでの消耗戦となりそう。途中、平坦や短い下りもあり、リズムを崩すことなく上っていくことも重要。そして、この上りを終えて、マイヨジョーヌに袖を通した選手が事実上、今大会の総合王者に決まる。

●7月28日 第21ステージ ランブイエ~パリ・シャンゼリゼ 128km 平坦

ツール・ド・フランス2019 第21ステージプロフィール ©︎A.S.O.

 7月6日にベルギー・ブリュッセルで開幕した今大会は、フランスの首都パリ・シャンゼリゼ通りにフィニッシュをして完結。ヴォージュ山脈、中央山塊とをめぐった第1週、ピレネー山脈が主たる舞台となった第2週、そしてアルプスで最後の戦いを繰り広げた第3週。ついに3週間の長き戦いが幕を閉じる。選手たちはこの日の午前中に空路移動し、午後からのレースに備える。例年、大会最終日はスタートからパレード走行となり、選手たちだけでなく、チームスタッフ、関係者みんながお祝いムードの中、パリまでの道をゆっくりと進んでいく。そして勇者たちは、大観衆の待つパリ・シャンゼリゼ通りへ。ここからは少しばかりの“レース”が行われ、エトワール凱旋門やテュイルリー公園を含む1周約7kmのサーキットを8周回する。最後はスプリンターたちが今大会最後のタイトルをかけて真剣勝負。コンコルド広場からの200mの直線は最大の見どころだ。

2018年大会の4賞ライダー。今回は誰がパリ・シャンゼリゼのポディウムに登壇するか =2018年7月29日 Photo: Yuzuru SUNADA

 このステージのフィニッシュと同時に、第106回ツール・ド・フランスの各賞が確定。個人総合優勝のマイヨジョーヌを筆頭に、ポイント賞のマイヨヴェール、山岳賞のマイヨアポワ、新人賞のマイヨブラン、チーム総合、スーパー敢闘賞の選手たちがシャンゼリゼ通りに設けられるポディウムへと登壇。凱旋門をバックに大きな祝福を受け、大会を華やかに締めくくる。

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