三国峠から独走ウリッシが優勝、フォルモロが2位でイタリアがワン・ツー 東京五輪テストイベント

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 2020年に開催される東京オリンピック・サイクルロードレースのプレ大会「READY STEADY TOKYO-自転車ロード」が7月21日、東京都府中市から静岡県小山町にかけた179kmで行われ、三国峠で抜け出したディエゴ・ウリッシ(イタリア)が独走で優勝を果たした。

三国峠で抜け出し、独走で優勝したディエゴ・ウリッシ(イタリア) Photo: Shusaku MATSUO

 大会は2020年の東京オリンピック同競技の運営に関して能力を高めることを目的に開催されたテストイベント。選手が走るコースは本番を想定したものとなり、本番同様スタート地点は武蔵野の森公園に、フィニッシュ地点は富士スピードウェイに設定された。道中のコースは道志みちや山中湖など公道を封鎖したもので、本番で通過する富士山麓エリアはカットしたものの、勝負どころとなる激坂区間が続く三国峠も含まれた。

チームプレゼンテーション「三国峠が勝負ポイントに」

チームプレゼンテーションには多くのファンが駆けつけた Photo: Kyoko GOTO

 武蔵野の森公園(東京・府中市)のスタート会場では、午前11時頃から参加20チームによるプレゼンテーションが行われた。各選手からとにかく「難しく、厳しく、キツいコース」という難色が示され、外国勢を前に、国内チームからは少し消極的と思われる発言もみられた。

 そんななか、全日本チャンピオンジャージを纏った姿を初披露したシマノレーシングの入部正太朗は、「最初から積極的に攻め、逃げに加わっていきたい。三国峠が一つの勝負ポイントになると思うが、粘って最後まで行きたい」と意欲を語っていた。

全日本王者を擁するシマノレーシング Photo: Kyoko GOTO
ステージでインタビューに答える入部正太朗。この日が全日本チャンピオンジャージ初披露 Photo: Kyoko GOTO

 宇都宮ブリッツェンの増田成幸は、「勝負に加わるのはもちろん、レース後半は雨も少し心配なので、峠で落車しないよう注意しながら1つでも良い順位でゴールしたい」と語っていた。

宇都宮ブリッツェン Photo: Kyoko GOTO
増田成幸(宇都宮ブリッツェン) Photo: Kyoko GOTO

 優勝チームの最有力候補とされたイタリア勢がステージに上がると、会場からは一段と大きな歓声と拍手があがった。イタリア選手権で優勝したダヴィデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグローエ)を筆頭に、今年のジロ・デ・イタリアで第15ステージを優勝したダリオ・カタルド(アスタナ プロチーム)、さらにジロで過去区間6勝を挙げているディエゴ・ウリッシ(UAE・チームエミレーツ)が顔をそろえ、ファンたちの注目を集めた。

優勝チームの最有力候補といわれたイタリアチーム Photo: Kyoko GOTO

 フォルモロは「コンディションもよく、レースが楽しみ。難しいコースと聞いているが、良いライダーがそろっている。来年に向けて良い準備になるだろう」とコメント。ウリッシは「7時間の時差があるが、気にせずベスト尽くしたい」と語った。

大勢の観客が見守るなか、正午にスタート Photo: Kyoko GOTO

予想以上の来場者「本番での観戦エリア拡大に期待」

 テストイベントにもかかわらず、会場となった武蔵野の森公園には多くのファンが詰めかけていた。観戦禁止エリアが広範に及ぶなか、「せめて選手たちを間近に見られるところ」ということでスタート地点を観戦ポイントに選んだという人が多かった。国内チームだけでなく、国外勢のチームにも熱い声援を送り、一足早く五輪ムードが漂っていた。

スタートした選手たちを送り出す観衆 Photo: Kyoko GOTO

 今回の観戦禁止エリアをめぐっては、集まったファンからも疑問が多く寄せられた。「五輪本番も観戦する予定」という観戦者の皆さんに話を聞くと、やはりファンとして観たいのは上りの攻め。それぞれ籠坂峠や山伏峠、三国峠など見たい峠を思い描きつつ、本番でもこの範囲が適応されるなら、同じくスタート地点か、山伏峠を越えたところの山中湖周辺かと妥協案を巡らしていた。

自走で来場した山崎諒子さん(左)と西嶋傑さん。「できれば籠坂峠辺りで見たいけれど観戦禁止なので山中湖に下りたところで観ようと思います」 Photo: Kyoko GOTO
「できれば本番は上りを観たい」と萩谷浩幸さん(左)と桂子さん。ちなみにキャップとサコッシュは桂子さんのお手製で、サコッシュの「アルカンシェル」は大ファンだというバルベルデ Photo: Kyoko GOTO

 話を聞いた観戦者からは、「峠は下りは危ないのは理解できるが、上りは選手のペースも落ちるので観戦エリアとして開放してほしい。上りで観戦者の応援がないのはきっと選手も驚くのでは」といった声や、「今回だって、禁止エリアでも観に行っている人はきっといるだろう。マナーという点では今回のテストライドの結果次第なのでは」という意見もあった。

左から関根秀太郎さん(左)、土岐武弘さん、小峰大丞さん。「峠は下りは危ないのは理解できるが、上りは選手のペースも落ちるので観戦エリアとして開放してほしい」 Photo: Kyoko GOTO
このあたりが地元という井上彰さん(左)と高品暁斗さん。「山伏峠の上りを見たいけど、ゴール地点の富士スピードウェイかな。チケットとれたらだけどね」 Photo: Kyoko GOTO
群馬から自走してきたという中学3年生の石川大樹さん(左)と増田倖太さん。「五輪本番も観戦しに来ます!」 Photo: Kyoko GOTO

イタリアチームが力を見せつける

 正午にスタートした選手たちは府中から東京を抜ける。相模川を渡り、いよいよアップダウンが始まる相模原市の小倉橋付近では、500人ほどのファンが集まり歓声を上げた。自走で来るサイクリストや、臨時バスでキャンプ用のチェアを持って楽しみながら待つファンも集結。 集団が来ると立って思い思いにひいきのチームを応援した。

富士スピードウェイに入り、加速するダヴィデ・フォルモロ(イタリア) Photo: Shusaku MATSUO

 序盤、新城雄大(キナンサイクリングチーム)、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、横山航太(シマノレーシング)ら日本人選手中心の4人と、2分差で約10人の追走集団が形成する展開に。さらに、後続から追走がかかり、計19人の大きな集団が逃げ集団を追い、じきに先頭グループへと合流。メイン集団とは4分ほどの差をもって推移した。

イタリアチャンピオンのダヴィデ・フォルモロ(イタリア)が2位 Photo: Shusaku MATSUO

 大きなグループとなった先行集団からは、フィリッポ・ザッカンティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が単独で飛び出す動きを見せる。一方のメイン集団は速度を上げて、先行グループとの合流を図る。結果、富士スピードウェイに到着する頃には1つの集団となり、いよいよ強豪選手がが集団先頭へと上がる。優勝候補筆頭のフォルモロがけん引すると、集団は一気に小さくなった。

3位はナンス・ペテルス(フランス) Photo: Shusaku MATSUO
4位争いのスプリント Photo: Shusaku MATSUO

 約10人程となった先頭グループは、一度富士スピードウェイを後にし、山を越えて山中湖へと向かう。勝負どころとして注目された三国峠へと差し掛かると、ここで動いたのはイタリア。上れるスプリンターのウリッシが急こう配区間で仕掛けた。まだフォルモロを残す先頭グループはこれを容認。ウリッシの勢いは衰えず、籠坂峠、そして再び富士スピードウェイに単独で姿を見せた。後方ではフォルモロが3番手を大きく突き放してウリッシを追走。イタリアが危なげなくワン・ツー体制を築き、そのままの形でフィニッシュラインを切った。3位はナンス・ペテルス(フランス)だった。日本人最高位は15位に入った岡篤志(宇都宮ブリッツェン)だった。

表彰台の3人。左から2位のダヴィデ・フォルモロ(イタリア)、優勝したディエゴ・ウリッシ(イタリア)、3位のナンス・ペテルス(フランス) Photo: Shusaku MATSUO
レースを掌握したイタリアチーム Photo: Shusaku MATSUO
熱心なイタリアファンもワン・ツーに沸く Photo: Shusaku MATSUO

 「とてもハードなコースだった。自分は純粋なクライマーではないからね」と語ったウリッシ。レース終了後はあまりの辛さにコース脇でうずくまる姿も見せた。一方のフォルモロはイタリアナショナルチャンピオンらしい余裕のある表情でレースを終えていた。

「厳しいコースだった」とレース後に述べたディエゴ・ウリッシ(イタリア) Photo: Shusaku MATSUO
日本人選手内でも健闘した石橋学(チーム ブリヂストンサイクル)と岡篤志(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 95人の選手が参加した今大会、フィニッシュラインを切り完走を果たしたのは49人と約半数だった。比較的緩斜面が続く道志みちまでは多く選手が残ったものの、富士スピードウェイに入った以降、特に三国峠にかけた上りセクションで多くの選手が脱落。東京オリンピック本番では富士山麓エリアを通ることもあり、改めてコースの厳しさが浮き彫りとなったテストイベントであった。

■READY STEADY TOKYO -自転車競技(ロード)リザルト
1 ディエゴ・ウリッシ(イタリア) 4時間50分53秒
2 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア)+17秒
3 ナンス・ペテルス(フランス)+1分52秒
4 マチュー・ホルメス(イギリス)+2分29秒
5 ロイック・フリーヘン(ベルギー)
6 ファビアン・ドゥベ(フランス)
7 ドィミトリ・ペイスケンス(ベルギー)
8 ファウスト・マスナーダ(イタリア)+5分55秒
9 ステフ・クラス(ベルギー)+9分11秒
10 ジェームス・ショウ(イギリス)

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