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安井行生流ロードバイクの選び方<4>ジオメトリから何を読み取るべきか<後編>

by 安井行生 / Yukio YASUI
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 前回はハンドル位置の話をしましたが、少し補足を。こう思う人がいるかもしれません。「ハンドルの位置はステムの長さや角度で調整できるじゃないか」と。確かに、大きすぎるフレームを買ったとしても、60mmで-35度のステム(そんなものあるのかどうが知りませんが)を付ければなんとかハンドルポジションはでるでしょう。

 でもそれじゃダメです。ステムには適正長さというものがあります。ロードバイクなら、小さいフレームで80~90mm、大きいフレームで120~130mmが適正と言われています。あまりに短すぎるものや長すぎるものを付けると、ハンドリングが不自然になってしまいます。極端な角度が付いているものも、厳密に言えばハンドル周りの剛性低下を招きます。どうしてもハンドルを下げたい場合はありだと思いますが。

取り付けるステムには最適な長さがある。ステム長はポジション出しに当たって微調整を行うためのものと考えたい。写真はチネリの「VIGORELLI」(ヴィゴレッリ) Photo: Shusaku MATSUO

シート角とシートポストの規格が重要な理由

 さて、サドル位置の話にいきましょう。サドル位置を見るには、シート角とシートポストの規格に注目してください。シート角によって、サドルが付くおおまかな位置が決まります。サドル位置をより細かく決めるのがシートポストです。

サドル位置を出すには、シート角(BB中心からシートチューブ上端に向けて伸ばした直線Aと前後の車軸を結んだ直線Bの交差によってできたCの角度)とシートポストの規格の2点に注目 Photo: Shusaku MATSUO
ゼロオフセットシートポスト。シートポストの規格が汎用性の高いものかどうか、汎用性がない場合でもメーカー側で同一規格でセットバックが可能なシートポストを用意しているかを事前確認しておきたい Photo: Shusaku MATSUO

 例えば僕のサドル後退量は35mmほどですが、昔のルック・KG481SLのようにシート角が72度と寝ていても、ゼロオフセットシートポストを使えば僕のサドルポジションは出ます。例えシート角が75度と立っていても、PMPやWRのオフセットシートポストを使ってサドルを引けばポジションは出るでしょう。

 しかし、専用シートポストのフレームの場合は注意が必要です。汎用シートポストで後退量を調整できないためです。例えばシート角74.5度と自分に合うジオメトリであっても、ゼロオフセット仕様の専用シートポストだったら、僕のポジションは出ません(サドル後退量が足りない)。諦めるしかない。

 清水の舞台から飛び降りて買ったハイエンドカーボンフレーム、いざ組んでみたら専用シートポストでどうしてもポジションが出ない、なんてマジで笑えません。だからシート角とシートポストの規格は非常に重要です。

ジオメトリから読み取れることはほかにもあるが…

 これら以外にも、ジオメトリ表に載っている数字はたくさんありますし、それが自転車の走りにどう影響するかもおおむね決まっています。ホイールベースが長ければ直進安定性が高くなる。ヘッド角が立っていればハンドリングが機敏になり、BBハイトが高ければ加速がいい。トレール量は○~○mmが理想……などなど。

BB中心から地面までの距離を示すBBハイト(D)、前後輪の車軸間の距離を示すホイールベース(E)、ヘッド角(ステアリングコラム中心から伸ばした直線Aと地面を示す直線Cの交差でできたGの角度)、直線Aとハブ軸から地面に向けて垂直におろした直線Bが地面と交わりできた点を結ぶとFができる。Fの幅がトレール量

 ただ、最近のカーボンフレームはこれらのジオメトリで走行性能を判断しづらくなっていると思います。BBハイトが低くてもシャープな加速をしてみせるフレームはたくさんあります。トレールが基準値から外れていてもナチュラルなハンドリングになっているフレームもあります。素材のポテンシャルと設計の良し悪しがジオメトリの微差を飲み込んでしまう時代。そういう印象です。

 もちろん、ジオメトリ表が理解できなくても、リーチとスタックがなんのことか分からなくても、ショップに相談すれば、有能なスタッフがあなたに合ったフレームサイズを選んでくれます。でも、ジオメトリ表が読めるようになれば、自分にピッタリの自転車を自分で選べるようになります。そして、自転車をもっともっと深く理解できるようになります。

 次回は、ホイールの選び方について書いてみます。

安井行生
インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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