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安井行生流ロードバイクの選び方<3>ジオメトリから何を読み取るべきか<前編>

by 安井行生 / Yukio YASUI
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 スペックの中で、唯一しっかりと見る項目がジオメトリです。「剛性○%アップ」だの「前モデルと比較して○km走行したときに○秒短縮できる」だのは僕は露ほども気にしませんが、ジオメトリはめちゃめちゃ気にします。というかジオメトリ表を見ないと怖くて自転車買えません。

ジオメトリから何を読み取るべきか Photo: Masahiro OSAWA

ジオメトリから読める自転車作りの姿勢

 なぜかというと、それによって自分のポジションが出るかどうかが決まるからです。ときには、ジオメトリからメーカーの自転車作りの姿勢が見えることもあります。

 先に「自転車作りの姿勢が見える」の話をしておきましょう。当然ですが、フレームサイズがたくさん用意されていれば、それだけ自分の体に合ったものを選びやすくなります。しかし、カーボンフレームはサイズごとに金型が必要になります。

 この金型がめちゃめちゃ高い。要するにフレームサイズをたくさん用意すればするほど初期投資が膨らむんです。サイズ毎の剛性調整などの開発費も増えてしまいます。

 同じことはフォークにも言えます。フレームサイズに合わせてフォークのオフセット量を変えているメーカーもあれば、全サイズでフォークを統一しているメーカーもあります。

 僕はカーボンフレームで10サイズ以上を用意しているピナレロ、コルナゴ、デローザ、そしてフォークオフセットを3~4種類用意しているアンカーなどを尊敬しています。しかし、だからといってその4社から選びなさい、とは言いません。

 なぜかというと、「フレームサイズの多い少ない」と「自分にピッタリのジオメトリであること」は、本質的には関係ないからです。前述の通りサイズが多ければフィットするものを選びやすくなりますが、もし3サイズしか用意されていなくても、その中の一つが自分にドンピシャであれば、それはあなたにとって「最高のジオメトリ」になりますよね。

ユーザー視点からのジオメトリの読み方

 「ジオメトリから読み取るメーカーの姿勢」とは、どちらかといえばジャーナリスト視点なんですね。ここからは「自分に合うジオメトリをどうやって見つけるか」というユーザー視点で話をしましょう。

 そもそもなんのためにジオメトリを見るかというと、基本的には「サドルとハンドルの位置が自分好みになるかどうか」を判断するためです。ハンドル位置を見るのに必要なのがスタックとリーチです。

 昔は、サイズ選びの基準はシートチューブ長とトップチューブ長と言われましたが、現在は断然スタックとリーチ。スタックとは、BB中心からヘッドチューブ上端中心までの鉛直距離(下図Aの部分)。「BBに対するハンドルの高さ」が正確に分かります。

Aがスタック、Bがリーチ、Eがシート角(BB中心からシートチューブ上端に向けた直線Cと前後の車軸を結んだ直線Dが交わってできた角度)、Dがホイールベース Photo: Masahiro OSAWA

 リーチとは、BB中心からヘッドチューブ上端中心までの水平距離(上図Bの部分)。「乗車したときのハンドルまでの距離」が分かる重要な寸法です。「トップチューブよりリーチを見ろ」と書いた理由は、同じトップチューブ長でも、シート角(上図CとDの交差した角度)によってリーチが変わってしまうからです。

 例えばトップチューブ530mmの自転車が2台あるとします。一台はシート角73度。もう一台は75度。どちらもトップチューブ長は同じですが、75度のほうがハンドル位置が数センチ遠くなってしまいます。シート角が立つことで、トップチューブを前方に押してしまうからですね。

 それならトップチューブ長はあまり気にせずに、最初からリーチを見たほうがいい。自分に合ったスタック&リーチを把握しておけば、フレームサイズで迷うことは少なくなるでしょう。

 ジオメトリの話は少々複雑なので、次回に続きます。

安井行生
インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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