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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<34>自転車旅で道に迷ったらどうするか、その対策と上手な地図の活用法

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 旅行中にバックパッカーの旅人からよく聞かれた質問は、「海外で自転車で走っていてよく道に迷いませんね」だ。自転車旅の出発前を思い返してみれば、迷わず旅をできるかとても不安だった。バックパッカーだった学生時代、東南アジアやインドを渡り歩く中で、バスの車窓から物凄い交通量の中を進む景色を見た。その時はとても走れる気がしなかったが、実際に走ってみると全く違う印象だった。

中米ニカラグアの様子。首都は走りづらく、いつも大渋滞が起きている Photo: Gaku HIRUMA

市街地での道迷い対策

 複雑に見える市街地の道でも郊外に繋がる道は必ず分かりやすく表記されていたので、町から町への移動は幹線道路を走ればいいだけだった。脇道はどこに繋がっているか分からないし、大した景色でもない中を余計に走ることはできるだけ避けたい。そう考えると普段は最短の幹線道路を走ることになる。幹線道路なら日本と同じく距離や方向を示す標識もあるから迷わない。

標識は必ずアルファベット表記があり、迷わずに旅ができる Photo: Gaku HIRUMA
町に入るとCENTRO(中心地)を目指し走る。こういう標識はどこの国でも必ずあった Photo: Gaku HIRUMA

 町の中では「ダウンタウン」や「セントロ」など、中心地を目指す標識がある。また、現地の人に道を尋ねる場合、細かい住所を聞いても分からないことが多いが、町の中心地は大体把握しているので親切に教えてくれる。走っていると不思議なもので町の中心地を感じるようになる。

イスタンブールにある観光標識TOKYOまで8954kmとある。旅の後半で「もうそれしかないのか」という感覚だった Photo: Gaku HIRUMA

 中心地に着いたら、駅と公園、教会などのランドマークを拠点に、宿や商店を見つけて町の全体像を探っていく。次の町に繋がる道もそれとなく把握しながら進むと、知らない国や町でもそれほど迷うことはない。大都市や観光地などは中心地にツーリストインフォメーションがあり、そこで無料の市街図やホステルの情報も手に入る。

 ただ首都に入るのは毎回憂鬱になる。特に発展途上国は、大通りが入り混じりの車線変更で苦労することが多く、本当にカオスだ。日本でも国道を調子よく走っていたら、いきなり自転車通行不可のバイパスになるなんてことは日常茶飯事。無秩序に走る大量の車の間を縫うように走るのは神経が磨り減るし、けたたましいクラクションと排気ガスで、身体中が真っ黒になる。

 また首都の場合、中心地を指す標識の範囲が広すぎて、中心地に入ったとみなされれば当然標識が無くなってしまう。そのため毎回目的の場所に行くには苦労する。それでも郊外の駅や建物をそれとなく見つけながら、自分の現在地を想像して人に道を聞きながらなんとか進んでいく。

紙地図とアプリ地図はどちらがいいのか

 旅に出発した2009年当時は、今の様にスマホで地図アプリを操作している旅人はまだまだ少数。GPSといえば高価なハンディGPSを持っているサイクリストが居たくらいだった。最近では紙の地図を持たずにスマホのみで旅をしている人もいるが、やはり基本は紙の地図が一番だと思う。

無人地帯でサイクリストの轍を見ると、この道で合っているんだという安心が生まれる Photo: Gaku HIRUMA

 理由はバッテリーの心配が要らないので好きなだけ眺められるからだ。それ以外にも重量を気にするサイクリストにとって地図は、本の代わりに暇つぶし道具となる。それだけの理由かと思われるかもしれないが実は結構重要だ。

 今後の走行プランを練ってその先の土地に思いを馳せたり、走ってきた道の走行データを記入する。スマホでもできるが、紙の地図の方が鮮明にイメージできるから不思議だ。スマホの地図アプリはデータ以外に見るところはない。しかし紙の地図は、通り過ぎた小さな村の名前を辿るだけで、フラッシュバックのように当時の記憶が甦る。

無人地帯では、現地の人に必ず補給できる場所を聞くことで、ペラペラの紙の地図がどんなネットの情報よりも価値を持つ Photo: Gaku HIRUMA

 そして、現地の人に道を聞きやすく、出会いにつながるも地図だ。その国の地図を出して現在地を示しても、「よくわからない」という返答が多かったが、それでも地名を出すと嬉しそうに教えてくれた。

 イランでは地図を見て現在地を確認していると、どこからともなく英語を話せる人が必ずやってきて、親身に教えてくれるのが印象的だった。トルコでは「まぁとりあえずチャイでも飲んでいきなさい」みたいな流れになることも多かった。

 一方でインドのように真面目な顔をして違う道を指し示す国もあった。騙そうとしているのではなく、単純に知らないのに「なんとなくあっち」みたいな感覚なんだと思う。そう割り切るとその国の国民性も垣間見えてりして面白い。

 インドの様な国や言葉が全く通じない国は、数百メートルおきに道を聞いてなんとか辿り着くようなとこもしばしばだけど、到着したときの充実感は自転車で旅をしている醍醐味ともいえる。この作業を煩わしさと捉えるならば、使いやすさの軍配は間違いなく地図アプリにあがる。

地図アプリの有用性と注意点

 実際僕も旅の後半は地図アプリのお世話になった。日本では常に電波の届く環境なので、あまり気にしたことがない人が多いと思うが、地図アプリはあらかじめ地図をダウンロードしておけばオフラインでも使える。これは本当に画期的なことで、従来のハンディタイプのGPSを持つ人はほぼいなくなった。

 GPS座標も大体正確で、無人地帯では逆方向から来たサイクリストに、水が補給できる場所やホテル、商店の正確な場所を教えてもらうことで、かなり精神的に楽になる。

全く車や人の通らない荒野では地図アプリはとても重宝した Photo: Gaku HIRUMA

 そしてパミールなど、荒野の無人地帯では標識が建っていない分かれ道がある。いつもなら人に聞くが、人はおろか車すらほとんど通らない道では、地図アプリは本当に重宝した。ただし海外では、地図アプリを見るときや写真を撮る時を狙ったひったくりが横行しているので、街中では極力使用せず現地人とのコミュニケーションを楽しみたい。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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