ツール・ド・フランス2019 第7ステージフルーネウェーヘンが今大会最長ステージでスプリント勝利 総合成績には変動なし

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス2019は現地時間7月12日、第7ステージを行い、集団でのステージ優勝争いをディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が制して今大会初勝利、ツール通算では4勝目とした。多くの選手がトップと同タイムでフィニッシュしたこともあり、総合成績での大きな変動はなく、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が個人総合首位でマイヨジョーヌを引き続き着用する。

今大会最長の230kmで争われたツール・ド・フランス2019第7ステージ。ディラン・フルーネウェーヘン(先頭右)がスプリントを制した Photo: Yuzuru SUNADA

最終盤のコース変化への対応が必要な平坦ステージ

 前々日の第5ステージ、前日の第6ステージとヴォージュ山脈をめぐったが、この日からは中央山塊へ向かって針路をとっていくことになる。第7ステージはベルフォールからシャロン=シュル・ソーヌまでの230km。

 今大会最長距離となる1日は、レース前半に4級2カ所、3級1カ所の上りを待つが、中盤以降はほぼフラットなレイアウト。全体的には難易度がそう高くはないことから、セオリー通りにレースが運べばスプリント勝負になるとみられる。

山岳を走り抜けて久々の平坦ステージに選手たちはリラックス。スタート直前まで関係者の交流拠点であるヴィラージュでくつろぐ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 スプリントに向けては、フィニッシュ前4kmから緩急さまざまなコーナーが連続。さらに、残り2.6kmでは道路幅が急激に狭くなり、残り1.6kmでは道路幅が狭くなってすぐに鋭角コーナーが控える。そこからフィニッシュまでの緩やかな右カーブも含めて、ポジショニングが勝負を分けると考えられる。フィニッシュラインはソーヌ川沿いに敷かれた。

 焦点となりそうなのは、前日にマイヨジョーヌを手にしたジュリオ・チッコーネ(イタリア)擁するトレック・セガフレードがプロトンをコントロールするのか、はたまたスプリンターチームが主導してレースを構築していくのか。翌日の第8ステージからは中央山塊でのレースが本格化することから、それを前に各チームの思惑が働きそう。いずれにせよ、総合成績を意識する選手たちにとっては、トラブルなくこのステージを終えることが大前提となる。

スタートラインにつくマイヨジョーヌのジュリオ・チッコーネ(左)とマイヨヴェールのペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

「逃げ常連」の2人が長時間リード

 ニュートラル走行ののち、アクチュアルスタートが切られると、ステファヌ・ロセット(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ)のファーストアタックにヨアン・オフルド(フランス、ワンティ・ゴベール)が反応。集団は静観し、今大会の「逃げ常連」の2人がレースをリードすることになった。

レースをリードしたヨアン・オフルド(右)とステファヌ・ロセット Photo: Yuzuru SUNADA

 40kmでタイム差が5分35秒となったのを境にメイン集団が調整を開始。少しずつその差を縮小させていくが、一気に追うことはしない。前を行くフランス勢2人は先頭交代を繰り返しながら、着々と残り距離を減らしていく。37.5km地点に設けられた4級山岳コル・ド・フェリエールはオフルドが1位通過、以降、95.5km地点の3級山岳コート・ド・シャサーニュ=サン=ドニはロセットが、119.5km地点の4級山岳コート・ド・ナン=ス=サン=タンヌはオフルドと、山岳ポイントを分け合いながら進んだ。

淡々とレースを進めていったメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方のメイン集団は、全体的にリラックスムード。とはいえ、勝負を見据えてスプリント狙いのチームが集団コントロールを担った。ドゥクーニンク・クイックステップはカスパー・アスグリーン(デンマーク)、ユンボ・ヴィスマはトニー・マルティン(ドイツ)をそれぞれ送り出してペーシング。その後ろにグルパマ・エフデジやチーム イネオスなどが位置し、リーダーチームのトレック・セガフレードは集団中ほどで淡々とレースを進めていった。

 逃げ、集団それぞれの形勢に変化はないまま、この日は196.5km地点に置かれた中間スプリントポイントへ。ロセットがトップで通過した約1分後、メイン集団が到達。イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)から発射されたソンニ・コルブレッリ(イタリア)が集団の先頭となる全体の3位通過。ポイント賞のマイヨヴェールで独走するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)はコルブレッリをチェックしつつ、無理に争うことはなく全体の4位でポイントを加算させた。

快進撃続くユンボ・ヴィスマ

 フィニッシュまで残り30kmを切ると、強風下でスピードを上げたメイン集団からナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAE・チームエミレーツ)が一時的に後方に取り残されたが、すぐに集団復帰。これをきっかけに、集団前方へは多くのチームが集まりだし、自然と集団はスピードアップしていく。

 200km以上逃げ続けたロセットとオフルドは粘りを見せ、集団とのタイム差が30秒を切ってからも懸命に先頭を守る意思を見せたが、残り13kmでついに力尽きる。2人をパスした集団は、スプリントに向けて多くのチームがトレインを構築。総合系チームも危険回避を目的に前方へと姿を現す。

 残り6kmから主導権を握ったのはユンボ・ヴィスマ。ワウト・ファンアールト(ベルギー)が長く牽引。その後も次々とリードアウトマンが代わりながら、集団を長く伸ばしていく。残り2kmからはボーラ・ハンスグローエも応戦。各チームのエーススプリンターたちがポジションを固めていく。

スプリントでフィニッシュへと突き進む選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 残り700mで上がってきたのはドゥクーニンク・クイックステップ。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)をベストポジションからスプリントさせようという構えだ。その後ろにはサガンがピッタリとマーク。

 そして残すは250m。ヴィヴィアーニやサガンらの後ろから飛び出したのはフルーネウェーヘン。早めのスプリント開始となったが、追うようにして加速したライバルたちをかわして一気に先頭へ。フィニッシュライン手前の上り基調で伸ばしてきたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)と並ぶようにして最後は飛び込んだ。

 すぐに勝利を確信し右手を掲げたフルーネウェーヘン。写真判定でステージ優勝が確定し、待望の今大会初勝利となった。

 第1ステージ終盤でのクラッシュに巻き込まれ、目指していた大会初日のマイヨジョーヌがかなわなかったばかりか、同じくスプリント勝負になった第4ステージでは5位。ここまではなかなか走りで目立つことができていなかったが、いよいよエンジンがかかってきた。

ようやく挙げたスプリント勝利にチームメートと喜び合うディラン・フルーネウェーヘン Photo: Yuzuru SUNADA

 レース後のコメントでは、「ユアンに勝つことはいつも難しいのだけれど、今日は勝ててうれしい」と、意識しているライバルからの勝利に喜んだ。スプリントに至るまでのリードアウトマンたちの働きも光った勝ち星だったが、「前回のスプリント(第4ステージ5位)を終えた後にみんなが励ましてくれて、今日はその通りに働いてくれた」とチームメートの感謝。その言葉からは、マイク・テウニッセン(オランダ)の第1ステージ勝利や、チームタイムトライアル(第2ステージ)での勝利など、快進撃を続けるチームのムードのよさを感じさせる。

 なお、フルーネウェーヘンに続き、ユアンが2位、サガンが3位でフィニッシュ。以下、85選手が一団となってフィニッシュしており、このステージを終えた段階での総合上位陣の変化はなし。23位で走り終えたチッコーネも問題なくマイヨジョーヌを守っている。

 チッコーネはレース後、「前日からの疲れを感じていたが、マイヨジョーヌを守ることができてよかった。明日はハードなステージになる。(個人総合2位との)6秒差はあってないようなもの。まずはジャージを守ることに挑戦してみる」と翌日への意気込みを語った。

 各賞では、チッコーネがマイヨジョーヌと新人賞のマイヨブラン、サガンがポイント賞のマイヨヴェール、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が山岳賞のマイヨアポワをそれぞれキープしている。

マイヨジョーヌを守ったジュリオ・チッコーネ。続く第8ステージが正念場となる Photo: Yuzuru SUNADA

 13日に行われる第8ステージからプロトンは中央山塊へと入っていく。マコンからサンテティエンヌまでの200kmは、2級と3級のカテゴリー山岳が7カ所設定。アップダウンの連続となるコースは、獲得標高にして3800mを超える。レイアウト的には逃げやパンチャーに有利と見られる。ただ、レース展開次第では、フィニッシュ前12.5kmで頂上を迎える3級コート・ド・ラ・ジャイレールに設けられるボーナスポイントをめがけて、総合系ライダーがアクションを起こす可能性も。あらゆるケース想定が必要な、一筋縄ではいかないステージといえそう。もちろん、マイヨジョーヌの行方にも注目だ。

第7ステージ結果
1 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 6時間2分44秒
2 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) +0秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
5 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)
6 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
7 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ)
8 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
9 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
10 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 29時間17分39秒
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +6秒
3 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) +32秒
4 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) +47秒
5 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム イネオス) +49秒
6 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) +53秒
7 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +58秒
8 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +1分4秒
9 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) +1分13秒
10 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +1分15秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 177 pts
2 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 121 pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 117 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 43 pts
2 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 30 pts
3 クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・ゴベール) 27 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 29時間17分39秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) +53秒
3 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分23秒

チーム総合
1 トレック・セガフレード 88時間27分39秒
2 モビスター チーム +1分39秒
3 グルパマ・エフデジ +2分4秒

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