ツール・ド・フランス2019 第5ステージスプリント炸裂のサガンが今大会初勝利 7度目のポイント賞へ向けて加速

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス2019は現地時間7月10日、第5ステージを行い、スプリントによる優勝争いをペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が制した。今大会初勝利と同時に、ツール通算12勝目とした。この日は4カ所のカテゴリー山岳を越える中級山岳ステージだったが、「上れるスプリンター」の本領を発揮。ポイント賞争いでも首位を維持している。また、個人総合首位のマイヨジョーヌはジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がキープしている。

ツール・ド・フランス2019第5ステージ ペテル・サガンがスプリント勝負を制し今大会初勝利を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

プロトンはヴォージュ山脈へ プロトン内の駆け引きが見どころの1日に

 このステージからプロトンは、今大会では最初の山岳地帯となるヴォージュ山脈へと入っていく。この日は山脈の外側をなぞるようにしていくつかの山々をめぐるルート設定がなされており、2級から3級のカテゴリー山岳を4カ所通過する。そのうちの3つがレース後半に集中しており、なかでも2級山岳コート・ド・トロワエピ(登坂距離4.9km、平均勾配6.8%)、3級山岳コート・ド・サンク・シャトー(登坂距離4.6km、平均勾配6.1%)は上りの難易度に加えて、頂上からのダウンヒルもテクニカル。

 さらにレースのポイントに挙げられているのが、最後の19.5km。特にレース最終盤は平坦基調であることから、展開次第では逃げ切りを狙う選手と追撃を図る集団との熾烈な戦いが見られることも。レース序盤から多くの選手が逃げを狙ってアタックを仕掛けるとの現地予想もあり、有力選手間の駆け引きも含め、注目度の高いステージを迎えることになった。

 歴史的にドイツ文化が色濃いフランス中東部のアルザス地方へと入ったプロトンは、同地方に位置するコルマールへとフィニッシュ。レース途中からはアルザスワインに使われるブドウの畑が眼前に広がり、街に入るとレンガ造りの建物が軒を連ねるあたりにドイツからの流れを汲むことを感じさせる。

アルザス地方のブドウ畑を縫って進むプロトン Photo: A.S.O./Pauline BALLET

山岳賞ウェレンスを含む4人がレースをリード

 戦前の予想通り、レース序盤は出入りを繰り返す。一時は8選手が飛び出したが、集団はこれを容認することなくチェックに急ぐ。選手・チームの思惑が飛び交う中、20km地点を過ぎたところで4選手が先行開始。いずれも総合成績には関係しない選手たちであることや、人数の少ない逃げだったこともあって、メイン集団の容認を得ることとなる。

レースを先行した4選手。牽引するティム・ウェレンスは山岳賞のマイヨアポワを着用 Photo: Yuzuru SUNADA

 レースを先導したのは、山岳賞のマイヨアポワを着るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)、マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)、トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)。メイン集団に対し、2分台のタイム差で進んでいく。44km地点で迎えたこの日最初のカテゴリー山岳である3級コート・ド・グレンデルブリュックは、ウェレンスが1位で通過している。

レース前半から中盤にかけてはボーラ・ハンスグローエがメイン集団をコントロール。集団を牽引するのはルーカス・ペストルベルガー Photo: Yuzuru SUNADA

 形勢に動きはないまま、71km地点に敷かれた中間スプリントポイントへ。先頭グループではクラークが1位で通過。1分30秒ほど経ってやってきたメイン集団は、フィニッシュさながらのリードアウトを受けたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭となり、全体の5位での通過。さらに、サガン、マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)と続いた。

 以降は、先頭グループとメイン集団とは2分を切る程度の差で残り距離を減らしていく。この間に通過した109.5km地点の2級山岳コート・ドゥ・オー・ケニグスブールで、ウェレンスが再度の1位通過。山岳賞争いでポイントを伸ばすことに成功している。

サガンがチームメートに報いる勝利

 レースの流れが変化したのは、2級山岳のコート・ド・トロワ・エピでのこと。先頭グループでは、まずシュミットが脱落。3人となって先を急ぐが、頂上まで2kmのところでスクインシュがウェレンスとクラークを引き離して単独先頭に立つ。スクインシュはペースを落とすことなく進み、トップで頂上を通過した。

レース後半の山岳区間をゆくプロトン。マイヨジョーヌのジュリアン・アラフィリップは集団前方に位置する Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭グループから遅れたウェレンス、クラークを挟んで、メイン集団が頂上へ到達。集団もこの上りで人数を減らし、ヴィヴィアーニやカレブ・ユアン(ベルギー、ロット・スーダル)ら一部の有力スプリンターはこの時点で戦線から下がった。

 頂上からの下りでさらに勢いを増した集団は、フィニッシュまで残り22kmでスクインシュをキャッチ。レースをふりだしに戻して、最後の上りとなる3級山岳コート・ド・サンク・シャトーへと入っていく。

 チーム サンウェブがペーシングを担い、上りのペースをコントロール。頂上目前で山岳ポイント狙いのクサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・ゴベール)が前をうかがったが、頂上を1位通過すると集団へと戻る。一団のまま下りに入ると、ダウンヒルを得意とするマイヨジョーヌのアラフィリップが先頭へ出てくる場面もあったが、展開に大きな変化はないまま最終盤の平坦区間へと移っていった。

残り7kmでアタックを試みたルイ・コスタ Photo: Yuzuru SUNADA

 残り7kmでルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)が単独でアタックを試みたが、残り3kmを切ったところで集団に捕まる。各チーム、スプリントでの勝負を見据えて集団前方のポジションを固めていった。

 最終コーナーを抜けると残りは450m。ここで上がってきたのはバーレーン・メリダとミッチェルトン・スコット。そして残り200m、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)の加速をきっかけにスプリントが開始した。

 トレンティンのスプリントとは逆サイドから伸ばしてきたのはサガン。最後はバイク1台分の差をつけて文句なしのステージ優勝。今大会初勝利、ツール通算12勝目を、“ハルクポーズ”で飾ってみせた。

ステージ優勝に“ハルクポーズ”を決めてみせたペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

 完勝に心躍らせるサガン。レース後の記者会見では、「毎日トライを繰り返してきたが、ようやく勝つことができた。素晴らしい働きをしてくれたチームメートにありがとうと言いたい。彼らにようやく報いることができた」とコメント。このステージでチームは、レース前半から中盤にかけての集団コントロールと、スプリントトレインの構築に力を注いだといい、「あとは私がベストを尽くすだけだった」と勝利を振り返った。

 サガンに続き、フィニッシュ手前で追い込んだワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が2位。よい形でスプリントに入ったトレンティンは3位だった。

 このステージを終え、総合成績は前日からの大きな変動はなし。アラフィリップも危なげない走りでマイヨジョーヌをキープしている。他の賞では、ポイント賞のマイヨヴェールでサガンが、山岳賞のマイヨアポワでウェレンスがそれぞれ得点を伸ばし、ジャージ争いをリード。新人賞のマイヨブランはファンアールト、チーム総合ではユンボ・ヴィスマがトップを守っている。

マイヨジョーヌをキープしたジュリアン・アラフィリップ Photo: Yuzuru SUNADA

 翌11日は大会は6日目。いよいよ最初の上級山岳ステージを迎える。ミュールーズからラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユを目指す第6ステージは、レース距離160.5kmの中に7カ所ものカテゴリー山岳が詰め込まれる。スタート直後から1級山岳を目指す上りが始まると、あとは上りと下りの繰り返し。フィニッシュ地点のラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユの頂上へは、登坂距離7km、平均勾配8.7%。残り約1.5kmに20%、そして最後の最後に24%の激坂が待ち受ける。

 マイヨジョーヌ候補の多くがこのステージを第1関門と位置付けており、今後の争いへとつながる1日となることは必至。総合系ライダーの走りを確かめるには最適なステージといえそうだ。なお、この日6つ目のカテゴリー山岳となる2級コル・ド・シュヴレールにボーナスポイントが設置される。

第5ステージ結果
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 4時間2分33秒
2 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +0秒
3 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
4 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
5 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)
6 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ)
7 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
8 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)
9 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
10 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 18時間44分12秒
2 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +14秒
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +25秒
4 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)
5 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +40秒
6 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
7 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム イネオス) +45秒
8 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +46秒
9 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +50秒
10 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) +51秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 144 pts
2 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) 97 pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 92 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 17 pts
2 トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) 9 pts
3 クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・ゴベール) 6 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 18時間44分26秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) +26秒
3 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +32秒

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 56時間42分43秒
2 チーム サンウェブ +1分44秒
3 EFエデュケーションファースト +1分57秒

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