本番で観戦禁止エリアは縮小するのか東京五輪プレ大会で物議醸す観戦エリア、テストイベントのスタンスから本番を探る

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 7月21日に開催される2020年東京五輪の自転車ロードレース競技のテストイベント「READY STEADY TOKYOー自転車競技(ロード)」では、大規模な交通規制が実施される。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は7月9日の定例記者会見で、テストイベントの意義を説明しつつ、交通規制への協力・理解、観戦マナーの順守などを広く求めた。また、不満の声が上がっている観戦禁止エリアに関する考えも提示。会見内容から2020年の大会本番に向けた観戦エリアに関する基本スタンスを探った。

会見に臨んだ2020年東京五輪・パラリンピック片山右京スポーツマネージャー Photo: Masahiro OSAWA

テストイベントでは安全な遂行を最優先

 「READY STEADY TOKYOー自転車競技(ロード)」は2020年7月25日に行われる五輪ロードレースの本番に向けたテストイベントだ。東京都、神奈川県、山梨県、静岡県の1都3県に渡り、約180kmの公道を使用、総勢約1万人がイベントの遂行に向けて動き、国内ロードレース史上、類を見ない大がかりなものとなるという。

交通規制(全域版) 画像:「READY STEADY TOKYO -自転車競技(ロード)」特設サイトより

 同イベントには、10のナショナルチームが参加し、参加選手の名前には、イタリア選手権で勝利したダヴィデ・フォルモロ(ボーラ・ハンスグローエ)、ブエルタ・ア・エスパーニャの覇者ファビオ・アル(UAE・チームエミレーツ)といった大物もエントリーする。

 ただし、テストイベントでの映像配信はなし。ゴールは2万人以上を収容できる富士スピードウェイであるにも関わらず無観客(一部例外を除く)となる。全く色気のない大会になるが、定例会見ではテストイベントの目的について、競技運営、計測、運営スタッフ、道路の利用制限、警察・救急との連携などの面をテストと位置づけつつ、何よりも組織委員会が重視しているのが、安全なのだという。その安全を担保するためにも、まだ周知が不足している当日の交通規制に関して、メディアの力を借りたいと述べた。

観戦禁止エリアとは何か

 一方で物議を醸しているのが、観戦禁止エリアについてだ。観戦禁止となるのは、大別して次の5つのケースに該当する個所となる。

① 車道上での観戦
② 車道と歩道の区分がない或いは歩道の幅が狭く歩行者の往来が確保しにくいエリア
③ 急な下り坂のカーブなど観戦者の安全が確保できないエリア
④ トンネル内
⑤ その他、競技運営上支障をきたすエリア

 安全にイベントを遂行する上で、交通規制と併せて、観戦禁止エリアを設定することに問題はない。しかし、山梨県と静岡県が公表した観戦禁止エリアは、勝負どころが軒並み禁止エリアになっており、ロードレースの醍醐味を失うものとして、SNS上で多数のファンから失望の声が上がった。

山梨県が公表した山中湖村沿道観戦情報 画像:山梨県HPより
静岡県が公表する観戦禁止エリアが記載された沿道マップ 画像:静岡県HPより

 この件に関する見解を問うと、片山右京スポーツマネージャーから返ってきたのは、安全を最優先した結果として、観戦禁止エリアが存在するという考えだった。

 「テストイベントで重視するのはオペレーションの部分。ここの優先度が高い。選手、観客の安全を考え、なるべくリスクを回避したいという考えで実施する。ロードを観戦したことのない人が下り坂に行ってしまったら…、選手の姿がよく見えるからと歩道橋から観戦していて、万が一物を落としてしまったら…など万が一を考えて安全に安全を重ねてテストイベントを行う。想定外を考えた準備もしているが、それでも100点満点カバーするのは難しい。多くの人にロードレースの魅力を知ってほしいが、リスクがあると知ってほしいというのがこちらの願い」

 ちなみに、観戦禁止エリアへの立ち入りは原則として不可となるが、「(観戦禁止エリア内であっても)私有地から見てはいけないというわけではない。全部を説明しきれるわけではない」(片山氏)とし、観戦禁止エリアでの観戦が絶対NGであるとも言えない。曖昧な部分があることも付け加えておきたい。

テストイベントと本番の観戦エリアは同一なのか

 ファンにとっては残念なテストイベントとなりそうだが、注目すべきはテストイベントのルールが2020年の大会当日に適用されるのか否かである。観戦禁止エリアが縮小されるとは考えにくいが果たしてどうか。

 これについて片山氏は観戦場所を考慮しないわけではない、といった見解を示した。「そこも随分議論してきていて、個人的には選手に触れなければ、峠道では出るスピードが限られているので(観戦禁止エリアになっている)明神峠も危なくはない。本当に禁止にする必要があるのかとも思う。ただし、テストイベントに関しては何度も言うが、禁止にせざるを得ない。本大会も(観戦禁止エリアでの観戦が)できないかといえば、決まったわけではないが、資機材を設置しながら観戦場所を作るという想定もしている。テストイベントでできなかったから、本大会ではできないというわけではない」。

 片山氏のコメントはわずかな望みを残したとも取れそうだ。しかし、会見全般を通じて見えてきた大会運営のスタンスを考慮するとどうだろうか。「観戦文化のない日本国内で安全にロードレースを遂行する」ことを重視しており、このスタンスがら大会本番も崩れるとは思えない。安全を確保しつつ、観戦エリアを拡大させるのは難しい作業となりそうだ。

 少なくとも、ロードレースを観戦する文化がない日本において、欧州並みの観戦環境を期待するのは困難と考えたほうがよさそうだ。そうはいいつつも、熱烈なファンからの理解が少しでも得られるよう、この先、調整されていくことを望みたい。

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