ツール・ド・フランス2019 第4ステージヴィヴィアーニがスプリントを制して大会初勝利 全グランツールでのステージ優勝を達成

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス2019は現地時間7月9日に第4ステージを行い、大集団でのスプリント勝負となったステージ優勝争いは、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)がものにした。ツールでは初のステージ優勝。同時に、5月のジロ・デ・イタリアで未勝利に終わった悔しさを晴らす快勝となった。チームとしてもステージ2連勝で、前日の勝者であるジュリアン・アラフィリップ(フランス)は総合首位の証、マイヨジョーヌを保持している。

ツール・ド・フランス2019第4ステージ。スプリントによるステージ優勝争いはエリア・ヴィヴィアーニ(右端)が制した Photo: Yuzuru SUNADA

今大会2回目の平坦ステージ

 この日は第1ステージ以来となる平坦ステージ。フランス北部の主要都市であるランスとナンシーとを結ぶ213.5km。おおよそ真東に進行するプロトンは、中盤と終盤に1カ所ずつ4級山岳をクリアしていく。2つ目の上りはフィニッシュ手前15kmに待ち受けるが、その難易度からしても主役候補のスプリンターたちには大きな影響を及ぼさないと見られる。

スタートラインでガッチリと握手するマイヨジョーヌのジュリアン・アラフィリップ(右)とマイヨヴェールのペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

 第1ステージでは、終盤での大規模クラッシュによって混乱したプロトン。有力スプリンターの中には、落車に巻き込まれた選手やポジションを乱された選手も少なくないだけに、この日が仕切り直しのステージと据えるライダーもいるはず。今大会のスプリンターたちの脚色を見るには最適の1日となった。

 ちなみに、スタート地のランスはシャンパーニュ(シャンパン)の醸造で有名。レース前半は醸造で使われるブドウ畑が広がる中を進んでいき、いくつかの街を抜けてフィニッシュ地のナンシーへと到達する。

スタートアタックの3人がレース後半までリード

 第1ステージ、第3ステージに続き、このステージもスタートアタックをきっかけに逃げが決まる。先行したのはミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)、フレデリック・バカールト(ベルギー)とヨアン・オフルド(フランス)のワンティ・ゴベール勢の3人。オフルドは前日に続く逃げとなる。

レースを先行した3選手 Photo: A.S.O./Pauline BALLET

 すぐにメイン集団が容認したこともあり、着々とタイム差が広がっていく。3分ほどまで広がったところで、スプリントを狙うチームがアシストを出し合って集団のコントロールを開始。

 この間、集団では数回クラッシュが発生したが、いずれも大きなけがには至っておらず、問題なく集団へと復帰。コース上は北からの強い風が吹き続けていたが、プロトンの動きには作用せず、全体的に落ち着いたレース進行となった。

 121km地点で迎えた、この日1つ目の4級山岳は先頭3人のうちシェアーだけがポイント獲得に動き、労せず1位通過。続いて、147km地点に設定された中間スプリントポイントでは、バカールトがトップで通過した。

 メイン集団は、中間スプリントポイントを前にしてようやくスピードアップ。有力スプリンターの多くがポイント獲得に挑み、ライバルのチェックに集中したヴィヴィアーニが好タイミングで加速。集団トップ、全体の4番手で通過。ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)と続いた。

 その後、メイン集団はタイム差を調整するためペースを緩めるが、先頭グループもさほどスピードを上げなかったため、その差は1分台で推移。残り50kmを切ったあたりから再び縮小傾向となっていき、やがてタイム差は1分を切ることとなる。

沿道からの声援を受けながら進むメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

ヴィヴィアーニがツール・ド・フランス初勝利

 完全にメイン集団からの射程圏内にとらえられた先頭の3選手。これを嫌って、残り28kmでシェアーがアタックすると、バカールトだけが続き、オフルドはメイン集団へと戻る形に。2人逃げの状態でやってきたこの日2つ目の4級山岳ではバカールトが遅れ、シェアーの独走へと変わる。

着々と先頭グループとのタイム差を縮めていったメイン集団 Photo: A.S.O./Pauline BALLET

 以降、1人粘り続けたシェアーだったが、勢いに勝るメイン集団が上りの途中でキャッチ。レースはついにふりだしへと戻った。集団はチーム サンウェブのペーシングで頂上を通過。フィニッシュまで残すは15kmとなった。

 山岳ポイントからの下りを終えた残り11kmでリリアン・カルメジャーヌ(フランス、トタル ディレクトエネルジー)がアタック。数秒差で逃げたが、5kmほど進んだところで集団が吸収。すでに集団では各チームが隊列を組んでポジション争いに入っており、勝負はそのままスプリントにゆだねられることに。

 スプリンターチームと、危険回避を目的に上がってくる総合系チームとが入り乱れる集団前方。混戦の中から、残り1kmで主導権を確保したのはドゥクーニンク・クイックステップだった。

 マイヨジョーヌのアラフィリップ自らトレインを率いると、その先数百メートルはミケル・モルコフ(デンマーク)、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)の順にエーススプリンターのヴィヴィアーニを引き上げ。そして残り180m、ヴィヴィアーニがスプリントを開始した。

スプリントによるステージ優勝争い。エリア・ヴィヴィアーニ(右から2人目)にアレクサンドル・クリストフ(先頭中央)とペテル・サガン(先頭左から2人目)が迫る Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭に出たヴィヴィアーニをチェックしたのは、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ)とサガン。三者ともハンドルを投げ出してフィニッシュラインを通過したが、勝ちパターンを整えてスプリントへと持ち込んだヴィヴィアーニに軍配。クリストフらにおおよそ車輪1つ分の差をつけて、このステージを制した。

ステージ優勝の表彰を受けるエリア・ヴィヴィアーニ Photo: Yuzuru SUNADA

 キャリア2回目となるツール出場のヴィヴィアーニは、これがうれしい初のステージ優勝。5月に開催されたジロ・デ・イタリアでは、走路妨害による降着などもあり未勝利に終わっていたが、雪辱を期して出場を決意した今大会で目標を達成した。これにより、ジロ、ツール、ブエルタ・ア・エスパーニャ、3つのグランツールすべてでのステージ優勝を達成。レース後には、「今シーズンの大きな目標が果たされた。第1ステージでうまくいかず悔しかったが、前日(第3ステージ)のアラフィリップのステージ優勝でチームは切り替わった。これはモルコフとリケーゼの完璧な働きあっての勝利」とコメントした。

 ドゥクーニンク・クイックステップにとっては、これでステージ2連勝。ヴィヴィアーニの勝利に貢献したアラフィリップも個人総合首位をキープし、マイヨジョーヌの着用を続ける。自身初となるマイヨジョーヌでのレーススタートは「これまでにない素晴らしい経験だった」とし、ヴィヴィアーニの勝利には「個々の仕事をしっかりと行った結果。私は私の仕事をしたまで」と振り返った。次のステージに向けては、「総合に関係しない多くの選手が逃げを試みると思うが、もしマイヨジョーヌを狙う選手が動くとあらば戦う準備はできている」と、ジャージキープに意欲を示した。

マイヨジョーヌをキープしたジュリアン・アラフィリップ。このステージではスプリントトレインの牽引でも貢献した Photo: Yuzuru SUNADA

 翌10日に行われる第5ステージから、プロトンはフランス北東部のヴォージュ山脈へと入る。サン=ディエ=デ=ヴォージュからコルマールまでの175.5kmは、2級から3級の山岳を4つ上っていく。そのうち3カ所がレース後半に集中しており、2級山岳コート・ド・トロワエピ(登坂距離4.9km、平均勾配6.8%)と、3級山岳コート・ド・サンク・シャトー(登坂距離4.6km、平均勾配6.1%)は、上りに加えて下りもテクニカル。フィニッシュまで20kmを切ると、あとは下りと平坦となり、力のある選手同士の駆け引きも見もの。選手・チームの思惑が行き交う緊迫の1日となりそうだ。

第4ステージ結果
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 5時間9分20秒
2 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ) +0秒
3 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
4 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
5 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
6 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
7 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ)
8 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
9 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
10 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソルシオンクレディ)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 14時間41分39秒
2 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +20秒
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +25秒
4 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)
5 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +40秒
6 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
7 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム イネオス) +45秒
8 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +46秒
9 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) +51秒
10 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 104 pts
2 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 81 pts
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) 75 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 7 pts
2 クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・ゴベール) 3 pts
3 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) 2 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 14時間41分59秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) +20秒
3 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +26秒

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 44時間35分4秒
2 チーム サンウェブ +1分44秒
3 EFエデュケーションファースト +1分57秒

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