全日本選手権の実走バイクをチェック東京五輪の注目競技「BMXレーシング」 トップ選手が使う機材の最新潮流とは?

by 織田達 / Satoshi ODA
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 1970年代初頭、アメリカのキッズバイクとして生まれたBMXは2008年にオリンピック正式種目となりました。2020年東京オリンピックでも競技種目となっており、国内外でオリンピック出場を目指す選手たちによって戦いが繰り広げられています。映画『E.T.』で日本のKUWAHARA製のBMXバイクが登場したのは、様々なメディアで紹介されていますが、では一体BMXバイクとはどんなものでしょうか? Kasukabe Vision FILMzの織田達さんによるリポートをお届けします。

最新のBMXバイクとは? 全日本BMX選手権に出場したトップ選手の機材をチェック Photo: Satoshi ODA

映画『E.T.』から隔世の感

 レース用BMXバイクと言えば、ある一定年齢の方々には鉄の丸パイプフレームと想像されそうだが、レースでの勝利のために軽量化がすすめられ、アルミフレームが主流となった。現在でもコマーシャルモデルはアルミフレームが圧倒的に多いが、2008年の北京オリンピックで正式種目となることが決定されると、大手ブランドからオリンピックでの勝利を目指すためより軽いカーボンフレームが発表された。それ以降様々なブランドからカーボンモデルが発表され、現在では多くのブランドがフラッグシップモデルとしてトップライダーにフレームを供給している。

KUWAHARAの『E.T.』20周年レプリカモデル(Cyclist編集部・澤野私物、ミルククレート付き)。このバイクに憧れたファンも多いはず Photo: Kenta SAWANO

 またレース中の転倒事故防止のため、BMXには後輪だけにしか制動装置がないが、2018年7月よりUCIが正式にディスクブレーキを許可したことによって、ディスクブレーキシステムを採用するモデルも登場した。しかし、わずかな重量アップを嫌い、従来通りのVブレーキシステムを使用する選手も多い。加えてタイヤもかつて主流だったブロックタイヤは転がり抵抗軽減のためにほとんどがスリックタイヤに進化した。

 最近のBMXレースバイクがどんなものなのかを7月7日に広島で行われた全日本BMX選手権に出場した選手のバイクを紹介しよう。BMX=ダイヤモンド形状のフレーム+ゴツゴツのブロックタイヤは間違った認識であることを気がつくだろう。

男子エリート王者・中井飛馬「WIAWIS ROKON」

 2019年男子エリートチャンピオン中井飛馬選手のWIAWIS ROKON。世界のトップを目指す選手が集まって合宿しながらトレーニングを行なっている組織・WCC(ワールドサイクリングセンター)チームにも供給され、ワールドカップでも勝利を挙げているこのモデルは現行BMXレーサーの最先端とも言える。中井は本国から直接サポートを受けている。またクランクなどのパーツ類はシマノから、タイヤチューブなどはTIOGAから直接供給されている。

2019年チャンピオンの中井飛馬が乗るWIAWIS ROKON。この形が世界でも最先端のモデルとなる。もちろんカーボンフレームだ Photo: Satoshi ODA

女子エリート優勝・丹野夏波選手

 2019年女子エリートチャンピオン丹野夏波選手が乗るのもWIAWIS ROKON。中井と同じく本国から直接供給を受けている。IRCからタイヤの供給を受けており、新しく開発されたSIRENがセットアップされていた。

丹野夏波が乗るのもWIAWIS ROKON。中井とはサイズ違いになる Photo: Satoshi ODA

ディスク専用モデルも

 決勝でクラッシュしてしまった2018年チャンピオンの松下巽選手が乗るのはGT Speed series XXL ディスクブレーキ専用モデル。松下も本国からファクトリーサポートを受けている。カーボンフレームが主流だが、このGTはアルミフレーム+カーボンフォークを採用している。独特のリアエンドが特徴的だ。

本国アメリカのファクトリー供給を受けている2018年チャンピオンの松下巽のGT。アルミフレーム+カーボンフォーク+カーボンリムの組み合わせ Photo: Satoshi ODA
特徴的なキャリパーマウントとリアエンド Photo: Satoshi ODA

シマノが手厚くパーツサポート

 惜しくも準決勝で敗退してしまった2016年チャンピオンの吉村樹希敢選手はSYSTEMATICBMXから供給を受けているCHASE ACT1.0 XLに乗る。吉村も多くのパーツをシマノから直接供給を受けている。シマノはBMX専用のライン「DXR」シリーズを用意している。

2016年チャンピオンの吉村樹希敢が乗るCHASE ACT1.0 XL。巨大なチェーンリングに注目 Photo: Satoshi ODA
剛性が高そうなチェーンステー。サポートを受けるシマノのステッカーも貼られている Photo: Satoshi ODA 

瀬古遥加は特別カラーリング

 スペインのフレームメーカーAutonomy Bikesの「BLADE EVO」を特別にカラーリングしてもらったのは2018年までジュニア〜エリートのタイトルを5年連続獲得していた瀬古遥加選手。丹野と同じくIRCからタイヤの供給を受けておりこちらもSIRENがインストールされていた。

瀬古遥加の乗るAutonomy BikesのBLADE EVO。「世界にひとつだけのカラーです!」 Photo: Satoshi ODA

飯端美樹はANSWERで軽量化

 老舗のブランドSE BIKESのPE RIPPERに乗るのは飯端美樹選手。本国アメリカから直接供給されている。ANSWERの軽量パーツをセットアップし戦闘力を高めている。飯端は長年エリートクラスで活動していたが、現在は年齢別クラスに移り単独で海外のレースにも参戦している。女子ジュニアで2位となった籔田寿衣も同じバイクに乗る。

飯端美樹のSE BIKESのPE RIPPER。SE BIKESは1970年に誕生したBMXの老舗ブランドだ Photo: Satoshi ODA

栗瀬裕太と言えば「マングース」

 YBPでお馴染みの栗瀬裕太選手が乗るのは、こちらも老舗BMXブランドのMONGOOSE。供給元はモトクロスインターナショナル。ラジアル組みされたフロントホイールが特徴的。栗瀬は現在マスターズクラスで走るが、スタイリッシュなライディングは今なお健在だ。

栗瀬裕太のスタイリッシュなライディングを支えているのは老舗BMXのMONGOOSE Photo: Satoshi ODA

 老舗BMXブランド、HAROのCitizen Carbon Frame XLに乗るのは山口大地選手。クランク、ペダル、チェーンリングなどはシマノから供給を受けている。他に吉井康平選手、高山一成選手などがTEAM HAROとして同じバイクに乗っている。

TEAM HAROに供給されているCitizen Carbon Frame。国内では山口大地、吉井康平、高山一成らが乗る Photo: Satoshi ODA
ディスクブレーキ化も進んでいる Photo: Satoshi ODA

注目「カーボン+クロモリ」ハイブリッド

 最後に紹介するのはエリート時代3度の日本一となり、マスターズでも3年連続日本一の佐伯進選手が乗るカーボンとクロモリのハイブリッドフレーム「CREDIT BLADE」。カーボン+クロモリと聞けばシクロクロスで竹之内悠選手が乗る東洋フレーム製のフレームが思い浮かぶが、このフレームも同じ東洋フレームによるもの。佐伯はGOKISO、MAVICからもパーツの供給を受けている。

佐伯進が乗るCREDIT BLADE。カーボンとクロモリのハイブリッドフレーム。CREDIT RACINGブランドとしてプロデュースされた Photo: Satoshi ODA
東洋フレームはBMXフレームビルダーとしても老舗ビルダーだ Photo: Satoshi ODA

 世界を相手に戦う選手たちのバイク、いかがだったでしょうか? この他にもファクトリーから直接バイクを供給されているライダーが数人存在し、こだわりのパーツをチョイスして組み上げている。コースの特性に合わせギヤ比の調整など、シングルギヤが故にシビアなセッティングが必要。カーボンのフレーム、フォーク、リムとチタンのパーツで組み合わされたバイクの重量は6~7kgほど。ワールドカップを転戦するライダーはそんな軽量バイクで8mのスタートヒルから一気に加速し10mを遥かに超えるジャンプを飛んで行くのだ。

 お近くでレースが開催されるときは是非会場で実物をご覧いただきたい。

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